NYのニューススタンドは、カラフルだけど、ちょっと寂しげだった。
ある日Instagramを見ていたら、カラフルなニューススタンドの写真が目に止まった。なんだか不思議な魅力を感じたのだけれど、一体どうしてニューススタンドなんかの写真を撮っているのかが、気になった。
そこで、撮影をしたフォトグラファーNei Valente氏に、聞いてみた。以下は彼が語ってくれた内容をまとめたもの。ニューススタンドの写真の奥には、いろいろな背景があることがよくわかる。
変わりゆく、いつもの風景
「これは、僕が住んでいるニューヨークにあるニューススタンドを撮ったものなんだ。雑誌や新聞を売っているニューススタンドは、1950年代にはNYだけでも1,500以上あって、人々にとってはとても身近な存在だった。
でもデジタルデバイスの普及が、すべてを変えた。人々はスマートフォンでニュースを見るようになって、ニューススタンドの数は今では300くらいにまで減ってしまったと言われているんだ」
「写真を見てもらえれば分かる通り、大抵こうしたニューススタンドにいるのは、移民の人たちだ。彼らにとって、こういった小売店は生計を立てるための大切な存在だった。でもその数は劇的に減ってしまっている」
「売っているものも、50年前とは全然違う。その名の通り、昔はニュース、つまり新聞や雑誌を売っていた。でも今ではほとんどお菓子屋さんみたいになっているところが多い。
それに皮肉なことだけど、バッテリーのようなデジタルデバイスのためのアクセサリーも売っているんだ」
「写真を見ていて
初めて気がつくこともある」
「僕は街が好きだ。そして、そこに住む人も好きだ。だからこうして、外に出て人々の暮らしをもっと撮りたい。みんなが何をしていて、これからどうしていくのか。写真を見ていて初めて気づくことがあるんだ。このプロジェクト以外にも、いろいろな写真をこれからも撮り続けていきたいと思う。
かつては情報の宝庫であり、街の文化のひとつでもあった「ニューススタンド」。デジタル化が進むなかで変化し、一つひとつに個性が光るのも、この淘汰によって形作られたものなのかもしれない。
「だからこそ」なのか、店員たちの表情にも深みを感じざるを得ない。
街の変化は面白いし、時代が街を変えることもあるのだ。