「ふたりの人生は、何がちがったの?」。格差社会にメッセージを投げた漫画
努力をすれば報われる。それは正しいことかもしれないけれど、きっと現実はそれだけじゃないはず。誰にでもチャンスがある世界にするためには、何が必要なのか?
そんな問題を描いた、Toby Morrisさんのマンガ。
貧しい家庭に育った子供が、貧しいままになってしまうという現象は「貧困の再生産」とも呼ばれ、その視点をわかりやすくまとめたこの作品はアメリカでも話題になりました。
リチャードとポーラの人生
左はリチャード。両親はいい感じ。
右はポーラ。親は...まあ、あんまり。
家庭のちがい
リチャードの家は暖かくて清潔。棚は本でいっぱいで、冷蔵庫はごはんでいっぱい。
ポーラの家は人でいっぱい。ものはあんまりない。汚くて、うるさくて、病気になりがち。
両親のちがい
リチャードの親は、子どものためになんでもしてくれる。
「いい子だ!」「賢いわね!」
ポーラだってそうだよ。だから両親は、仕事をかけ持ちしているんだ。
学校のちがい
リチャードはいい学校に行く。設備が整っていて、子どもたちもいい子ばかり。先生たちは自分の仕事を愛している。
ポーラの学校では、クラスの人数が多すぎる。予算もないし、見た目にもそれが出ちゃってる。先生たちは疲れ果てていて、ストレスでやつれている。
「あぁ、新しいバイト探さなきゃ...」
成績のちがい
リチャードは親からとっても期待されている。
「B+ですって?まあ、家庭教師をつけないとね」
...ポーラとはちょっと違う。
「B?へー、いいじゃない!」
学生時代のちがい
長い時間の中で、小さな違いが積み重なっていく...
リチャードは、親が大学の学費を払ってくれている。
ポーラは、仕事を掛け持ちしながら職業訓練校にお金を借りて通っている。
就職のちがい
...そしてだんだん、大きな違いになっていく。
「あの会社で働いている友人がいるんだ。話をつけてインターンに行けるようにしてやろう」
「ありがとう、お父さん」
「俺の面倒を見るより、ちゃんと勉強しなさい...」
「お父さん、あなた病気なのよ」
信頼のちがい
積み重なる小さな違いは、そっと忍び寄る...
「ローンの審査がおりましたよ。おめでとうございます!」
「悪いけどうちでは引き受けられませんね。別のところに行っては?」
仕事のちがい
そしてリチャードは、自分がトップに立つべき人間だと思いはじめる。すべて自分の力で成し遂げたと。
「君はロジャーの息子だね?噂は聞いているよ。いつも見ているからね」
その頃ポーラは、自分の立ち位置を知りはじめる。
「仕事はさせるが、ミスはするなよ」
人生のちがい
「リチャードさん、あなたの成功の秘訣はなんですか?」
「あの...失礼します...」
でも、そうならなければいいな、と僕は思う。
2人のちがいって何?
「成功する秘訣は、泣き言を言わずに一生懸命努力することですね。与えられることを待ってばかりいる人にはうんざりです。僕は何も特別なものは与えられませんでしたよ」
「…」
本当に、そんな世の中にならなければいいな、と僕は思う。
※本記事では一部翻訳に誤りがあったため、訂正を加えております。(2017/02/14 18:00)