冒険好きなフォトグラファーが「もっと早く行けば良かった」と、西表島

古来にはマラリアが猛威を振るい、琉球王朝時代には何度も移民に失敗。食すれば死を招く植物も多く存在する。亜熱帯に属する西表島は、自然が猛威を振るい続けたがために、結果として美しい自然を現代に残している。

島を巡るための道路は半周しかなく、自然がありのままの姿で、そこにある。

たとえば、島の横断は冒険ビギナーにうってつけだし、大学の冒険部にとっての西表島はいわば登竜門とも言える。今回はネイチャーフォトグラファー柏倉陽介氏と共に周るツアーを通し、イージーに、でも十分な満足感がある「写真欲を満たす旅」に出かけてみよう。

どこまで行っても
マングローブに囲まれる

西表島は日本で唯一、7種のマングローブが生息する土地だ。湿地に根をはりこむ姿は、ファンタジーの「トレント」。走り出しそうな異形の者がならぶマングローブの森は、おいしく凶暴なヤシガ二の生息地でもある。

マングローブは海に面した湿地に生息する木。だから、その美しい姿を撮影するには、干潟を延々と歩く必要がある。水面の美しさは、西表島の特徴だ。

マングローブがきれいに映り込む海面を楽しみたい。

呼吸のための根を出しながら生きるマングローブの森は、この呼吸根のおかげでいろんな動物・植物が生息する複雑な生態系…ざっくり言うと、ジャングルになる。

ゆえに、その実態は「人を寄せ付けない迷いの森」だ。

柏倉氏のネイチャーフォトツアーでも、幾度となくマングローブの鬱蒼とした森に足を踏み入れる機会がある。そのたびに、さらにさらに奥へ行きたくなる欲をかき立てられる。

でも、ツアーではほんのその入り口まで。さらに秘境へ行きたければ、アドベンチャーの経験値が必要だ。

美しい
テクスチャが誘う

湿地帯がほとんどを占める西表島は、緑に恵まれ、水面に様々な模様が映し出される。ダイナミックな滝や、ジャングルもいいけれど、マクロの世界が写真好きを誘う。

珊瑚礁にしきつめられた海面も、美しさを放つ西表島テクスチャのひとつ。

海底の文様が、凪いだ海の水面にあやしくきらめく姿は、もしかすると珊瑚礁の島へ上陸するときよりも感動的だったかもしれない。

干潮のタイミングがあってはじめて「陸地」が現れる珊瑚礁で出来た島、バラス島。南の島よろしく、どこまでも青緑の海が続く西表近海にある。

周囲はダイビングスポットで、海中の景色は遙かに海上を上回る。写真奥に、白い沈んだ道が見えるだろうか。

こんな小さな島に、渡り鳥が集まる幻想世界。絶滅危惧種のエリグロアジサシだ。この付近にはホオジロザメも回遊するという。

知られざる
鍾乳洞へ

自然の宝庫である西表島には、まだまだ隠された秘境があり、それらの数々には名前すら無い。道路脇からアクセスできるこの鍾乳洞も、そのひとつだ。

なかに入るまでに、幾多の鋭い刃を持つ植物「アダン」を乗り越える必要があるけれど、おおよそ20分もトレッキングすればたどり着くことができる。

出会えるのは、ジャングルの中にある洞穴。

どの方向にレンズを向けても絵になるこの場所は、カメラ好きにはたまらない。

これらの写真は、ドキュメンタリーTVの「ナショナル ジオグラフィック」が“ドキュメンタリーを体験する”をコンセプトに主催する「ナショジオ ツアー」の第1弾「ネイチャーフォトグラファー柏倉陽介と行く『西表島写真の旅』with ソニーα」に同行し、撮影したもの。

大学の探検部から始まったという柏倉氏の「自然に挑む撮影スタイル」を少しでも共有体験できたとあって、多くの参加者が筋肉痛に喘いだ。

「ナショナル ジオグラフィック」は、空中都市マチュピチュ(1911年)や沈没したタイタニック号の発見(1985年)など、歴史に残る数多くの実績を有するナショナル ジオグラフィック協会を母体とし、あらゆる領域の“未知”へ挑み、次世代の“知”へと変えていく世界最高峰のドキュメンタリーTV。事実に基づき、エンターテイメント性を兼ね備えたコンテンツを創造し、より多くの人の知的好奇心を刺激し続ける。

Photo by 稲垣正倫
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。