ビル・ゲイツが30億円出してでも手に入れたかった「秘密のノート」

何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。

それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。

アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?

レオナルド・ダ・ヴィンチの命日

今日、5月2日は“万能の天才”レオナルド・ダ・ヴィンチの命日。1519年、イタリア・ルネサンス期を代表する芸術家は、67歳でその生涯に幕を閉じました。

美術史において多大な影響を与えた稀代の芸術家は、ほかにも、解剖学、地質学、天文学、植物学、地質学、建築学、音楽などにおいても才能を発揮していたことはよく聞く話。

さらには、都市計画にも強い関心を示し、工学、土木工学を応用した都市デザインの考案や、力学を応用した現在のヘリコプターやパラシュートの原型となる発明をつくりあげるなど、学問のジャンルを超えてあらゆる分野で創始者と呼ぶに相応しい功績を残した、まさしく天才。

これら、ほぼ独学で学んだというんですから。どんだけ万能なの?

なかでもインパクトが強いのが『モナ・リザ』や『最後の晩餐』といった傑作を遺した絵画でしょう。けれど、世界的評価を受けるアーティストとしては珍しく、じつは現存するダヴィンチの作品はわずか16点ほどというのは意外ですよね。

さて、生前ダヴィンチは人体解剖図や空想の発明品を数十冊のノートに書き留めていたんだそう。それも他人には解読できないよう、独自の速記法を用いたり、鏡面文字で逆さまに書いていたり。

そうまでして他者からの詮索を拒んだ虎の巻。そのうちのひとつに「Codex Leicester(レスター手稿)」と呼ばれる秘密のノートが存在します。

イギリスの旅行代理店「Thomas Cook」の創始者トーマス・クック(のちのレスター卿)が18世紀に入手し保管していたことから、こう名付けられたもの。

1507年〜08年にかけてダヴィンチが左手で、それも鏡面文字を用いて書きあげた内容は、水の動きに関する流体力学、化石に関する地球物理、さらに月の明るさに関する研究をはじめとする天文学など。そこにダヴィンチの科学的考察がびっしり羅列されているんだとか。

永くトーマス家の家宝だったその手稿が、20世紀にアメリカへ渡りました。実業家で美術品蒐集家でもあったアーマンド・ハマーが1980年、510万ドルでこれを購入。当時の物価で換算するとおよそ5億1000万円ほどだそう。

そして1994年、ある人物のもとにレスター手稿が渡りました。ビル・ゲイツです。同年11月に行われたクリスティーズ・オークションにおいて、ゲイツは3080万2500ドル(当時の物価で約30億円)で落札。

その後、ゲイツは手稿をスキャニングし、デジタル画像として展開。Codex Leicester全ページデジタル化は大きなニュースとなりました。

ちなみに手稿は現在、毎年1年に1度だけ、たった1カ国の1カ所でのみ公開される貴重な資料として世界を巡っているんです。

すでに2005年に東京にそれが来てしまったので、ふたたび日本にレスター手稿がやってくるのは……もしかしたら来世紀まで待たないといけないかもしれませんね。

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