佐々木俊尚が実践!「昆虫を食べる」6つのメリット

みんな、昆虫食には興味ないだろうか? 私は最近、激しく興味を抱いている。なぜかって?

栄養価が高く、国連食糧農業機関(FAO)から食糧不足を解消する手段として注目されているという社会的背景もある。昆虫を食べるという行為を通して、さらに自然と一体化してみたいという気持ちもある。しかし何より大きいのは、自分の本能的な問いだ。

「虫って美味しいんだろうか?」

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そして最近、私はついに昆虫を調理して食べる経験を得た。コオロギにミールワーム、ゴキブリ(といっても日本のアレではなくアルゼンチン産で、見た目はアレほど怖くはない)。揚げたり炒めたりして実際に食べてみると、驚くほど美味しいのに驚かされた。

とはいえ虫を食べるのにはかなり勇気が必要だ。「気持ち悪い……」と二の足を踏む人も多いだろう。そこでこの心理的障壁を乗り越える方法を、「昆虫食伝道師」として活動している篠原祐太(http://yshinoearth.com/)に語ってもらうことにした。

4歳から昆虫食を始め、今は自宅で4万匹を超える虫と同棲している、昆虫食に魅力を世界に広めようと活動中の20歳の慶應大生だ。
彼は、昆虫食を実践すると得られる5つの喜びについてこう教えてくれた。


 01.
童心に返って
昆虫採集を楽しめる

大人になると、研究者やマニアでなければ昆虫採集することはなくなる。でも久しぶりに虫を探しに野原に出てみると、とても楽しいことに気づく。
夏になるとうるさく鳴き始めるセミ。夏の草原のバッタ。花見の季節が終わるとサクラの樹に沸いて出る毛虫は、まるで桜餅のように甘い香りがして美味しい。秋のコオロギ。
こうい虫たちをどうやって捕まえるか、童心に帰って知恵を絞ってみよう。

02.
お金がかからない

釣りや狩猟と違って、昆虫採集なら奥深い山中や渓谷、大海原に出る必要もない。都会にもたくさんいるし、大きな川の河原にでも出かければそこはバッタやコオロギなど、食べられる虫の宝庫だ。つまり交通費はほとんどかからないってこと。道具も、せいぜい虫取り網ぐらい。青虫みたいなゆっくりした動作の虫なら素手でもつかめる。虫かごだってなくても別に構わない。どうせ食べるんだから、ポリ袋でじゅうぶんだ。

03.
食糧を腐らせずに持ち歩ける

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東南アジアの田舎に行くと、生きたままのニワトリを持ち歩いてる人もいるけれど、日本では「生きた食糧」はそうかんたんには持ち歩けない。
でも虫なら小さいし、清潔な餌と一緒に空気の入るポリ袋やケースに入れておけば、バッグの中に入れて生きたまま持ち歩ける。

04.
サバイバル能力が高まる

災害や遭難の時に、食糧が欠乏すれば人は死んでしまう。虫を食べた経験がない人は、目の前に虫がいてもそれを「食糧だ」と思えないだろう。
でも昆虫食の経験があれば、いざというときに虫を食べて生き延びることができるかもしれない。さらに昆虫食の経験があれば、「何でも食べられるものは食べてしまおう」という気持ちになれる。道ばたに生えてる雑草でも食べられるようになる。サバイバルの可能性はますます高まるのだ。

05.
チャレンジ精神を獲得できる

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これが実のところ、昆虫食の最大のメリットだ。虫を食べるという行為に「気持ち悪い」「生理的に耐えられない」と思う人は多いだろう。でも実際に食べてみると、たいていの人は「あれ?意外に美味しいんじゃん」と驚く。

それまで持っていた先入観が壊れて、「なんだ、食べられるんじゃないか」と気づく。自分の先入観が壊される瞬間を、人は自分自身を題材にして目にするのだ。「先入観なんていつだって壊れるものなんだ」と知ることは、人生観を変え、さまざまなチャレンジを容易にしていくことになる。これは大いなるチャレンジの始まりだ。

自分の先入観をぶっ壊し、「いつでも自分はいろんなチャレンジができるんだ、先に進めるんだ」と会得するために、昆虫食という小さなチャレンジに手をかけてみよう。

06.
命を頂く実感が得られる

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私たちがふだん食べているものは、命のある動植物だ。にもかかわらず、命を頂くことを実感し、その命に感謝して食べるのは難しい。「食べ物」と「生き物」がまったく別物になってしまっているからだ。牛や豚や魚に比べ、多くの人にとって、虫は「生き物」としての側面が強い。そんな虫を食することで、命と向き合う感覚、命をいただく実感を味わうことができるのも昆虫食の大きな魅力だ。

地球上の食物連鎖の中で、他の動植物に生かされていることを実感するということは、生きる上でも大切な学びになるのではないだろうか。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。