ミニマリストが語る、無駄なモノがついつい増えてしまう「8つのワケ」

以前のぼくは「欲しいモノを持っていない」自分を不幸に感じていた。しかし本当は僕の願いはすべて叶っていたし、欲しかったものはすべて持っていた。家も仕事も服も、全部以前のぼくが欲しいと思って手に入れたモノだった。だからぼくはもう全部持っていた。なのにどうしてぼくはモノを増やしてしまったのだろうか?

自著『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』から、その理由を紹介する。ぼくたちは、あまりにもいらないものを持ちすぎている。

01.
「慣れ」という毒が
モノを増やす

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例えば服。休みを1日まるっきり買い物に費やし、ヘトヘトになりながらも手に入れたお気に入りの服。家に帰ると鏡の前でファッションショーの幕が上がる。翌日、新しい服を身につけて始めて出かけるときの、少しくすぐったいような、誇らしいような気持ち。欲しくてたまらなくて買った服なのに、毎年「着る服がない」とつぶやいている。なぜ持っている服に満足できず、不幸だと感じてしまうのだろう?

答えは誰にでもわかる。ぼくたちは叶った願いに次第に「慣れ」たのだ。「慣れ」はだんだん「当たり前」のものになる。「当たり前」のものに、最終的には「飽き」てしまうのだ。

02.
人は刺激の「差」を
検出する生き物

厄介な「慣れ」には、人の習性、つまり人が物事を感じ取る仕組みが関わっている。そもそも人の神経ネットワークは、刺激の「差」を検出する仕組みになっている。ある刺激から別の刺激に変化した「差」自体を刺激として受け取るのだ。

かつてどうしても手に入れたいと願い、手に入れたモノ。そのモノに満足し続けられないのは、この「差」がないと神経が判断してしまうからだ。いつもと同じ、いつものモノ。変わり映えがせず、当たり前にあるモノ。刺激の「差」を検出できないから、慣れて、当たり前になって、最後はそのモノ自体に「飽き」ていく。

03.
「得た」喜びは
3時間しか持続しない

The best way to get to work

そしてこの、人が刺激に「慣れる」スピードはとんでもなく早いことが知られている。ハーバード大学でその講座が最も人気があったという心理学者、タル・ベン・シャハーのエピソードがある。彼は16歳でスカッシュのイスラエル・チャンピオンになった。毎日6時間ずつ、5年間の練習の成果がついに報われたのだ。しかし、優勝の祝賀会のあと、帰宅した彼は自分の部屋で、長年の夢が叶った幸せがすでに消え去っていることに気づいた。その喜びは3時間しか続かなかったという。

一握りの人間だけしか達成できない大きな目標。そんな大きな喜びですら、人はすぐに「慣れ」てしまうのだ。

04.
5倍高い指輪は
5倍うれしいわけではない

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さらに残念な事実がある。1万円の指輪と、5万円の指輪、30万円の指輪を手に入れたとき、それぞれの段階で感じる喜びは大体同じだということだ。5万円の指輪が1万円の指輪をもらったときの5倍うれしいわけではない。喜んだ笑顔の口角が5倍にあがるわけではないし、喜びの笑顔が続く時間が5倍になるわけでもない。人の感情はどこまでいってもたかが知れている。モノの価格には限界がないが、「人の感情には限界がある」のだ。

どれだけモノを手に入れても満足できないのは、新しいモノを手に入れたときの喜びが、いつもあなたが小さなことで感じている喜びと大差ないからだ。

05.
モノを手に入れていない状態で
「飽きる」未来を予測できない

モノを手に入れても手に入れても、いつしか飽きてしまう。人はなぜ「飽きること」に「飽きもせず」、次々モノに手を出してしまうのか?

その理由は、人が「未来」の感情を「現在」を元に予測してしまうというところにある。お腹が空いた状態でスーパーに行き、必要以上に買いこんでしまったことはないだろうか?こんな風に人はたった30分後の自分の感情すら予測できない。

モノをまだ手に入れていない現在の状態からは、そのモノを手に入れた後に感じる未来の「慣れ」→「飽きる」気持ちがうまく想像できない。そのモノを持っていないときには、手に入れた瞬間の気持ちが、その後もずっと続くように感じてしまう。これが新たなモノを求め続け、モノが増え続けてしまう永遠ループの原因の1つだ。

06.
「自分の価値を伝える」手段が
モノだと思っている

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何のために人はそんなにたくさん必要でないモノを持とうとするのか。それは「自分の価値を伝える」ためだ。

ぼくたちは自分の価値を、モノを通して誰かに伝えようと懸命なのだ。「自分には価値がある」と思わずには、人は生きていられない。これは食欲や睡眠欲などの生理的な欲求に次ぐ、最も強い欲求で、あらゆる行動の中に紛れ込むことになる。

例えば服。ロックなファッションは型にはまらない感性を、ナチュラルなファッションは優しく穏やかな人柄を伝えてくれる。趣味のいい家具も、壁に貼ったポスターも、自分の価値を伝えてくれる。

モノを「自分の価値」を伝える手段にしていると、モノはどんどん増えていく。しかし、増えたモノは次第に「自分の価値」そのものになってしまう。つまり「モノ」こそ「自分自身」だと勘違いしてしまう。こうしてさらにモノは増えていくのだ。

ぼくたちに、もうモノは必要ない。
コンテンツ提供元:ワニブックス

佐々木典士/Fumio Sasaki

ワニブックスに勤務。すべてを保存し、何も捨てられない汚部屋出身。2010年ごろから身の周りのモノを手放し始める。2014年クリエイティブディレクターの沼畑直樹とともに、ミニマリズムについて記すサイト「ミニマル&イズムless is future」を開設。

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