マンガ家タナカカツキ氏が語る「ネイチャーアクアリウム」の世界【前半】

世の中には、様々なクリエイターがいる。その中には、水景クリエイターという珍しい人たちが存在するのだ。彼らは、水槽の中で、自然の生態系を再現する職人たちだ。

その歴史において、パイオニアとして活躍したのが天野尚(あまのたかし)氏。生涯をかけて、自然保護に注力した同氏は、ADA(アクアデザインアマノ)の創業者でもあり、著名な写真家という顔も持つ人物だ。

現在、東京ドームシティのGallery AaMo(ギャラリーアーモ)において開催されているのは、「天野尚 NATURE AQUARIUM展」だ。果たして、ネイチャーアクアリウムとは一体何なのか?今回、その魅力を探るべく、天野氏に影響を受けたマンガ家のタナカカツキ氏と本展示会の担当者である源田宏人氏にお話を伺った。

タナカカツキ マンガ家

1966年大阪生まれ。1985年マンガ家デビュー。
著書には『オッス!トン子ちゃん』『サ道』、天久聖一との共著「バカドリル」などがある。カプセルトイ「コップのフチ子」の企画原案。水草レイアウトの魅力にはまり、2013年『水草水槽のせかい すばらしきインドア大自然』を刊行。2016年には世界水草レイアウトコンテスト4位に輝く。

きっかけは娘が獲ってきた
夜店の金魚

マンガ家タナカカツキ氏 「ネイチャーアクアリウム」の世界

タナカカツキ  世界水草レイアウトコンテスト2016 銀賞
(世界ランキング4位)「光陰」
© AQUA DESIGN AMANO CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

ーータナカさんのプロフィールに水草レイアウトの世界ランカーと紹介されていたので、とても興味を持ってきたんですけれども、先ほど世界第4位だと伺って。スゴイですね。

タナカ  ありがとうございます。

ーーまずは、タナカさんとネイチャーアクアリウムとの出会いからお話しいただけますか?

タナカ  すごくざっくりいきますと、金魚を飼っていたんです。それも趣味程度で、娘が夜店で獲ってきたみたいなレベルなんですけど、それを飼っていると、やっぱり水槽が汚れるんですね。

ーー 藻とかですか?

タナカ そうなんです。面倒くさいですよね。面倒くさいんですけれども、結構、僕はまめなほうなので、洗っていたんですよ。水槽もきれいに。週末に洗っていたんですよね。ということは、1週間で濁ってくるんですよね、普通の水槽って。それで、こんな大変なことを皆んなしているわけないなと思い、調べたところ、初めてバクテリアの存在を知ったんですよね。

――バクテリアですか?

タナカ はい。バクテリアが、水をキレイにするということを学んでから、水槽をほっといたんです。すると、水はどんどん濁ってくるんですけど、ある時点で止まって、透明になってくるんですよ。

――なるほど。

タナカ 水槽内で、バクテリアが育ってるんです。で、小さな生態系ができあがってくるんですね。水草も植えていたんです。まあ、浮草ですね、金魚草って言われてもいます。あれ、普通はどんどん溶けてなくなるものなんですけれども、なぜかうまく、1回溶け出してからまた繁茂しだして、成長しだして、汚いときは匂いもするんですけど、匂いもなくなっていく。

それで、面白くなって調べ出したら、ネット経由で、ネイチャーアクアリウムにたどり着いた。それがはじまりでしたね。

飼育ではなく
生態系をつくる

マンガ家タナカカツキ氏 「ネイチャーアクアリウム」の世界

©2017 AQUA DESIGN AMANO CO.,LTD.

――それで、ネイチャーアクアリウムを取り入れて、金魚を飼い始めたのですか?

タナカ そうですね。まず、水槽のような小さなスペースで生態系をつくるということができるんだということに、すごく驚いて、生態系をつくることに向けた水槽づくりがあることも知って。要は、飼育じゃなくて、生態系をつくるっていう流れですよね。

それで、水草をバンバン植え出したんですけど、要は草を植えると、バクテリアが有機物を分解して、養分にしてくれるので、水草がバンバン育っていったんですよ。そのうち水草を植えるんですけど、どうもネットで見る画像は、めちゃキレイなんですよね。植え方も。どうしてるんだろうなとか、そういうところからでしょうかね。

それで、だんだん金魚が邪魔になってきて、金魚を知り合いにあげて、もう生態系をつくるっていう方向に(笑)。

――もう水草オンリー(笑)?

タナカ 最初、草オンリーだったんですけど、やっぱり魚を入れると水草が育つ感じがするんですよね。

――でも、魚はもうあげちゃってる(笑)。

タナカ 魚はあげているんですけど、金魚は雑食なので水草を食べるんですよ。なので、水草を食べない、カラシン系っていわれる小さい熱帯魚を入れるんですね。

ーーカラシン系?

タナカ はい。水草を食べない種類なんですよね。つついたりはするんですけど、金魚のようにパクパクとは食べない。この小魚を入れていると、うまくいくんですよね。その小魚が出す排せつ物、有機物で、その水草も育ち出すんですよ。それで、水がどんどん透明になっていく。そういうのが部屋でできるってすごいなと思って、そこからどんどんハマっていきました。

水槽づくりは
1年かけて1本!?

マンガ家タナカカツキ氏 「ネイチャーアクアリウム」の世界

©2017 AQUA DESIGN AMANO CO.,LTD.

タナカ さらにですよ、コンテストがあるということもびっくりして。

――僕も驚きました。「世界水草レイアウトコンテスト」って、世にも珍しいですよね。

タナカ 一体、何のコンテストなのって(笑)。それで、1位とか、10位とか、100位とか順位づけされているんですけど、その違いが分からないんですよね。

――そうですよね、初めは違いなんてわからないでしょうね。

タナカ はい。このコンテスト、どこ見てんの???っていう状況。ただ、1,000位とか、1,500位とかになったら、やっぱり違いが見えてるくるんですけど。上位の方は、もう分からないですよね。

――僕もそれ、すごく聞きたかったんですけど、素人は想像もつかないじゃないですか。一体、どんな基準なんですか?

タナカ その美観や、その景観や、そのデザインをチェックいるんですけど、根本的に水槽内の生態系がきちっと整っているかどうかを見ているんです。生態系が整っていると、魚は本来の形になり、色になる。水草も同じで、本来の形、色になるんですよね。なので、魚の量だったり、水草の繁茂の仕方、あるいは構図などで生態系できてるなって徐々に分かってくるんですよね。

――それ、どれくらいで分かるようになったんですか?

タナカ 僕は、1年くらいで分かるようになりました。

――1年もかかるんですね。

タナカ でも、本来はもっとかかる。アクアショップの方に、10年かかるところを1年でやったって言われましたから。

――じゃあ、すごいじゃないですか。もともと、そういう才能があったっていうことですか。

タナカ いやいや、ずっーとやっていたんですよ。寝てる時以外はずっーとやっていた(笑)。

――マンガを描かないでですか(笑)?

タナカ そう、マンガを描かないで(笑)。当時、世にある水草のブログは、全部、目を通して。いろいろやってみて、それで、徐々に分かるようになってきたんです。

――水草って、僕の中では、ものすごくニッチにだと思うんですけど。

タナカ 基本そうだと思います。まだまだ、ニッチですよ。

――けど、やっぱりマニアの方っていうのは多いんですか?

タナカ めちゃめちゃいます。だって、コンテストの応募者は50数ヵ国ですからね。世界中にいて、さらにあれだけつくり込んだ水槽を応募してくるのって、2,000人なんですよ。ということは、どれだけいるかっていうことなんですよ。2,000人も応募するホビーってあります?ほぼないです。漫画よりも全然時間かかるんですよ。水槽づくりって1年かけて1本とかなんですよ。 

世界における
水草代表国とは?

マンガ家タナカカツキ氏 「ネイチャーアクアリウム」の世界

©2017 AQUA DESIGN AMANO CO.,LTD.

――その間に水草も育つだろうから、少しずつその形が水槽の中で変わっていく感じなんですか?

タナカ そうです。もちろん、完成をシミュレーションしながら設計して植えるわけですよ。

――完成のイメージ通りになることって、どれぐらいの確率なんですか?

タナカ もちろん、最初はならないです。だって、分からないじゃないですか。どれだけの環境なら、こういう葉の肉づきになるなんて分からないので、もう経験しかないですよね。でも、徐々に分かるようになるんですよね。自分の得意な素材とかできてくるので、この草なら任せとけみたいな。あと、草が育つ水っていうのは、地域によって違うんですよ。日本とブラジルではやっぱり違いますから。なので、各国、得意分野があるわけですよ。

――東南アジアとヨーロッパが強いみたいですが?

タナカ 東南アジアは強いですね。それは、水草が育つ環境だからなんですよね。一方、ヨーロッパは、水の硬度が高いので、なかなか、水草は育たないんですよ。カルシウムが多すぎてしまうんでね。

マンガ家タナカカツキ氏 「ネイチャーアクアリウム」の世界

2014年グランプリ作品
©2017 AQUA DESIGN AMANO CO.,LTD.

――そうなんですね。なんで、ヨーロッパは強いんですか?

タナカ それは、オランダがあるからなんですね。オランダは、園芸大国なんです。歴史も長いんですよね。だから、軟水にするやり方とかも、もうほぼ知識的にも広がっているんですよ。

――じゃあ、オランダ勢は、強いんですね?

タナカ オランダは、最初は強かったですけど、それから、もう何十年と経っているので、今だったら、オランダ周辺の国であるフランスとかが強いです。

――強い国は入れ替わるんですか?

タナカ そうなんですよね。じつは、コンテストの趣旨というか、向き合い方が、ちょっと変わってきたんですよ。昔は、水草を育てるということはすごい難しかったので、その競争だったんですよ。でも、今は、水草が育つようになったのでね。

――肥料とが進化したからですか?

タナカ そうですね。90年代以降は、水草自体を育てやすくなってきたんですね。それこそ、天野さんのショップが水草を育てる器具などを出されて、そこからやっぱり、応募者の趣旨というか、向き合い方が変わってきました。昨今では、水草はうまく育てられるという前提で、デザインの競争になってきたんですよね。

マンガ家タナカカツキ氏 「ネイチャーアクアリウム」の世界

2015年グランプリ作品
©2017 AQUA DESIGN AMANO CO.,LTD.

――それは、この業界の世界的な流れなんですか?

タナカ 流れですね。コンピューターグラフィックス(以下、CG)にすごい似てるんですけど、最初はやっぱり技術者がやっていた。でも、今は、CGっていうのは美観の世界にいってますよね。昔はこんなことできるという単なる技術競争だったのが、どんどん作家性が問われる世界になっていってる。

――なるほど。ちなみに東南アジアは、どこらへんが強いんですか?

タナカ そうですね、マレーシア、ベトナム、シンガポールは、すごい強いですね。というのは、植物が自生していたりする環境が身近にあるからだと思うんですよ。東南アジアの方は、熱帯とかジャングル、森というのを子供の頃から、きっと体験しているんですよ。日本人の周りにも、植物はありますよね。基本的には、周りに植物があるところが強いんですよね。扱い方も、やっぱり慣れているんでしょうね。

――じゃあ、アマゾンのジャングルがあるブラジルなんかも?

タナカ そうですね。強いですね。

源田 日本の中だと、どこが強いとかあるんですか?

タナカ 日本だとやっぱり東京、名古屋が強いですね。それはやっぱりショップの数が多いからなんですけど。それは、つまりは、このコンテストが、絵画とかデザインコンテストだからなんですよね。水草のコンテストでありながら、水草っていう自然素材を使った世界のデザインコンテストだからなんですよ。

このコンテスト主催しているのは、ADAは、アクアデザインアマノという企業なんです。企業名にデザインが入ってる。デザインの世界なんですよね。デザインをコンピューターでやるのか、絵筆でやるのか、自然素材でやるのかの差だけなんです。ネイチャーアクアリウムをやってきた人たちというのは、自然素材で絵を描いてきた人たちなんですよね。

それで、アクアリウムっていう見方すると、ちょっとぶれちゃう。でも、アートって見方すると、一本スジが通ってくるんですよね。

マンガ家タナカカツキ氏 「ネイチャーアクアリウム」の世界

2016年グランプリ作品
©2017 AQUA DESIGN AMANO CO.,LTD.

新しいデザイン表現としての
ネイチャーアクアリウム

マンガ家タナカカツキ氏 「ネイチャーアクアリウム」の世界

©2017 AQUA DESIGN AMANO CO.,LTD.

――まさにアートですよね。発色も、造形美も。さっき、源田さんに、これ本物ですか?って聞いたんです。緑の発色が、作り物みたいに鮮やかだなって感じました。

タナカ 特に最近は、LEDを使っているんで、発色がよくなったんですよ。ここ近年の流れですね。

――LEDを使って、水草を育てているんですか?

タナカ 今は、そうですね。その前は、やっぱり水銀灯とか、メタルハライドランプとか、蛍光灯なんですけど。発色に関しては、ここ何年かでグンと上がっています。

――タナカさんにとって、ネイチャーアクアリウムの魅力とは、どこにあるのですか?

タナカ 基本、ものをつくるのが好きで、僕もずっと絵を描いてきて、絵の延長にネイチャーアクアリウムがあるんですね。だから、絵を描いているっていう感じなんですよね。なので、アクアリウム自体には、ほぼ興味がないですよね。魚、全く興味ないし。魚は、いまだに分からないですよ。

――でも、魚は入れたんですよね?

タナカ 一応は入れました。でも、それは水草を良く育てるためや絵を描くために、魚を入れているだけで、別に飼っているという意識もないんですよね。魚を入れると、発色よくなるなぁくらい。

――なるほど。じゃあ、どちらかというと、水草に興味がある感じなんですか?

タナカ うーん。結局、生態系全部なんですけど、絵とデザインに興味があるんですね。絵とデザインの新しい表現が出てきたなという感じなんですよね。

――ふーん、新しい表現なんですよね。だからこそ、自分の思い通りにならなかったり?

タナカ なかなか、ならないですね。

――それも、楽しかったりするんですか。

タナカ そうですね。僕、CGを20年ぐらいやってきたんですが、コンピューターの面白さもやっぱりそこだったんですよね。人間は絶対できない描画をやってくれて、さらにシミュレーションを超えてくるんですよね。頭でイメージしたものを超えるという醍醐味がコンピューターにありまして、自然はCGにそっくりなんですよ。

マンガ家タナカカツキ氏

こちら側がある程度、命令するから、こうなるなとある程度は想像できるんですけど、やっぱり超えてくるんですよね。予想していない発色になったり、見え方がガラッと変わったり。いい部分だけを、いいとこ取りして、カットしていく。はさみを何回も入れるんですよ。

――水槽の中に手を突っ込んではさみを入れる?

タナカ それはもう毎日のようにやるんですよ。

――1回水を抜くんですか?

タナカ 抜かないですね。水を抜いちゃうと生態系が壊れちゃうので、水は入れたままです。できるだけ手も突っ込まないようにするんですけど。どうしてもやっぱりやっちゃうというか。いじくるのは、最小限度にしてます。いじるとやっぱり、自然災害で、また水が濁ってきちゃうのでね。

――じゃあ極力もう、成り行きというか、自然のままに任せるんですか?

タナカ いやいや、それがですね。極力触らないで、自然そのものに任せても、美しくならない。水草が繁茂しすぎてバランスが崩れていくんですよ。

――じゃあ、各国の方たちも常識のように手を入れるんですね。

タナカ そうです。皆んな、手を入れます。手を入れないと美しくなってくれないんですよね。要は、自然と同じ状態になっちゃうんですよ。大自然で、人の手が入らないところって、どんどん山が壊れていくじゃないですか。

――荒れていく感じですか?

タナカ そう、荒れていくんですよ。どんどん荒れていくんですよね。下にある草がどんどん枯れていく。だから、水槽の中で、光がちゃんと届くようにデザインしていくんですよ。

――そうなんですね。でも、さっきアマゾンの話が出ましたけど、アマゾンなんて広すぎて手の入れようがないのに、なんであそこまで育つのかなっていう疑問を感じるのですが。

タナカ アマゾンもジャングルに入ると、もう倒木だらけっていうか、枯れているのもあるし、意外と見た目にはむちゃくちゃなんですよね。でも、きれいなところだけ写真に収めますから、ジャングルっていうと、ぐわっとあるようなイメージだけど、本当はぐちゃぐちゃですからね。日本の自然もそうですよ。日本の原生林とかも、中に入るともう真っ暗ですから。キノコの世界なんです。

生態系と人間について

マンガ家タナカカツキ氏 「ネイチャーアクアリウム」の世界

――その崩れた状態も生態系とは言えないんですか?

タナカ 言えます。ただ生態系が整うのには、すごい時間かかるんですよ。要は、そのキノコがまた育って、そこで山火事が起こって、なくなって、そこからまた樹木が再生してくるんですよね。ずっと動いてるんですよ。動いている状態が生態系なので、ある時期ぴたって止まっているものはないんですよね。

だから、植物がわあっと生えるのを止めることはできないですよね。このまま放っておくと、何もしないと、どんどん朽ちていって、なくなって、立ち枯れの木だけが残る。それでまた、小さい双葉が出て、また森になる。原生林に行くと中は暗がりなんで、植物生えてないですよね。高い木だけがある。

――なるほど。生態系って難しいですね。

タナカ そうですよね。

――人の手を加えちゃいけないって思っていたんですけど、逆に加えないとキレイにはならない。

タナカ というより、人間がキレイって思う状態ってあるじゃないですか。あれってほとんど人が手を入れています。

――植木とかもそうですよね?

タナカ 植木もそうですし、そもそも、今の山並みってほとんど植林じゃないですか。

――日本はそうですよね。

タナカ それで、里山を美しいとか言っていますけど、あれ、ほぼ人口の自然ですよね。だから原生林とか行くと、たぶん、おどろおどろしいと感じるはずです。

――富士の樹海とかのイメージですよね?

タナカ そういうことですね。あの感じです。怖いんですよ。

――あそこは、余計に怖いですけどね、磁場があって(笑)。

タナカ 例えば、アマゾンでも川が流れているエリアだと、その周りは自然が豊かなんですよね。川があるところは光が入りますからね。でも、川から離れて中に行くと、真っ暗なんです。

――じゃあ、そこでは、うまく循環していない感じなんですか。

タナカ 循環している途中なんですよ。やがて、高い木ばかりになって、火事になって、また木が生えて、の繰り返しなんですよ。

――僕たちの生きるペースと違うから、そういうふうに見えないっていうだけなんですね。

タナカ そうですね。あとは、僕たちが見ている映像っていうのは、切り取られているものなので。

グランプリを虎視眈々と狙う
タナカカツキ氏の戦略

マンガ家タナカカツキ氏 

――話は変わりますが、ネイチャーアクアリウムをどれくらいやられているんですか?

タナカ 今、9年目ですね。

――9年目で、世界第4位ってすごいですね。

タナカ じわじわ攻めています(笑)。

――制作する時は、どんなことを考えているんですか?

タナカ まず、目標がありまして。このコンテストに参加した時から、やっぱりグランプリを目指しているんですよ。

――やるからにはですね。

タナカ それで、すごく調べ倒しました。審査員、世界で15人いるんですよね。全員の趣味を洗い出した(笑)。

――そこから(笑)?

マンガ家タナカカツキ氏 「ネイチャーアクアリウム」の世界

タナカカツキ  世界水草レイアウトコンテスト2012 優秀賞
(世界ランキング22位)「山雨一過」
© AQUA DESIGN AMANO CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

 

タナカ そうなんです。要は、この表現は嫌いだっていう審査員いるんですよね。だから、そういうところで減点にならないように、細心の注意でつくっているんですけど。

――例えば、どういう表現が嫌われるんですか?

タナカ 例えば、すごく大ざっぱにいうと、新しい表現をイヤっていう人はいますよね。

――ちょっと保守的な感じの。

タナカ はい。やっぱり審査員でも、保守派と革新派って分かれているんですよ。それで、年によって、審査員の気持ちも移行したり、あと審査員が新しく入れ替わったり、いろいろあるんですよね。

なので、まず、保守が多いときは、保守路線にするんですよね。完全にマーケティングでつくっているんで。自分の表現、一切してないんですよね。完全マーケティングで、これが好きでしょ!っていうのをつくっているんですよ。ヒットソングをつくるみたいなつくり方をしています。

――僕は、無心だとか、何も考えないっていう答を期待していたんですけど(笑)。結構、そこには計算があるんですね。

タナカ ええ、めちゃめちゃ戦略的ですよ(笑)。ただ、戦略的につくっても、やっぱり自然物なので難しいですよ。なかなか思い通りにいかないんですよね! 

マンガ家タナカカツキ氏 「ネイチャーアクアリウム」の世界

タナカカツキ  世界水草レイアウトコンテスト2017 優秀賞
(世界ランキング14位)「ORO!」
© AQUA DESIGN AMANO CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

【天野尚 NATURE AQUARIUM展】
■開催日:2017年11月8日(水)〜2018年1月14日(日)
■時間:平日 12:00〜17:00 / 土日祝 10:00〜17:00
※最終入館は閉会時間の30分前まで。
※年末の営業時間については下記の通り。
 12月30日(土)12:00~17:00
 12月31日(日)12:00~17:00
 1月1日(祝)  12:00~17:00
 1月2日(火)  10:00~17:00
 1月3日(水)  10:00~17:00
■会場:東京ドームシティ Gallary Aamo(ギャラリー アーモ)
■主催:株式会社東京ドーム、株式会社ドリームスタジオ
■制作協力:株式会社アクアデザインアマノ(ADA)
■後援:読売新聞社
■公式サイトは、コチラ

【トークショー開催概要】
「世界ランカーが語る、水草レイアウトの世界」
12月9日(土)18:30~20:00(開場17:30)
出演者:深田崇敬(グラフィックデザイナー、水景演出家)、タナカカツキ(マンガ家)

※開場からトークショー開始時間までは場内を自由にご観覧いただけます。

定員:各日50名(先着) 
料金:2,000円(税込)
発売日:11月8日(水)12:00~
発売場所:
(1)チケットぴあ(http://w.pia.jp/t/amano-na/)Pコード:①637-481 ②637-485
(2)Gallery AaMo内チケットカウンター(展覧会期間中)

Licensed material used with permission by Gallery AaMo
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。