気候変動の悲劇。温暖化で犬が人を襲う可能性が11%高くなる

新しい研究によると、気候変動の影響で犬に噛まれる事故が増える可能性があると警告されている。

ハーバード大学医学部の見解では、紫外線レベルが高い日には、犬が人を襲う可能性が11%高くなるという。

気温や大気汚染が高まると、人間は暴力犯罪をより多く犯す傾向があることから、研究者たちは、環境要因が犬の噛みつき率に影響を与えるかどうかを調査した。

その結果、暑い日や晴れた日、スモッグの多い日には、犬と人間の相互作用がより敵対的になる傾向があることを発見した。このことから、猛暑や大気汚染は、社会的負担となるだけでなく、動物の攻撃性のコストも含むということが示唆される結果となった。

気温の上昇によって体に何が起こる?

高い気温は、身体にどのような影響を与えるのだろうか。

研究者の説明はこうだ。気温が高いと、心拍数、血圧が上昇し、発汗し、息が苦しくなり、ストレス感情が高まる。また、熱波は男性ホルモンであるテストステロンの分泌を急増させ、攻撃的な感情を増大させるんだそう。

45年にわたるアメリカの研究によると、例年より暖かい年や季節には暴力的な攻撃が増加することもわかっているんだとか。

研究結果

今月『ネイチャー』誌に掲載されたこの研究は、2009年から2018年の間にアメリカの8都市で発生した犬の咬傷(こうしょう)に関するデータを調査したものである。データセットには、報告された犬の咬傷6万9525件が含まれ、10年間で1日平均3件の咬傷があった。

その結果、犬の咬傷は紫外線レベルが高い日に11%、暑い日に4%、オゾンレベルが高い日に3%増加した。 降雨量が多い日には、犬の咬傷はわずかに1%減少した。

この調査には、犬種、性別、去勢・避妊手術の有無など、その他の要因に関する情報は含まれていない。

しかし、研究者たちは、暑い気候が犬をより攻撃的にするのだと推測している。

特にアメリカで「man's best friend(人間の最良の友)」と呼ばれ親しまれている犬が、気候変動によって人間の脅威になり得るかもしれないとは……。なんとも悲しい研究結果となった。

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