台湾版「グラミー賞」音楽で言語の境界線をなくし、多様性を称える

台湾は6月、長い歴史と知名度を誇る、中国語圏の権威ある音楽賞「ゴールデン・メロディー・アワード」で、言語の多様性を称えた。

この賞は、「台湾版グラミー賞」なんて呼ばれるくらいの大きなアワードだ。

台湾の文化部(文化省)影視・流行音楽産業局が主催しており、今年はアルバム1667件、作品数では2万4604件と、過去最多の応募数を記録したという。

34回目の開催となった今回のイベントでは、海外からのスペシャルゲストとしてKing Gnuが出演したことでも話題となった。

言語の多様性を祝福

今年のアワードでは、北京語歌手のほか、台湾語、客家語、先住民族の言葉で歌うアーティストが表彰された。

これはまさに、北京語以外の言語を普及させようとする政府の努力を浮き彫りにした。台湾では北京語が教育や行政の主要言語であることに変わりはないが、その他の言語も強く奨励されているんだそう。

これとは対照的に中国では、憲法で少数言語が保護されているにもかかわらず、主に北京語を奨励している。

この賞では、ベテラン・スターのジュリア・ペンが、客家語でアルバムを録音したことがないにもかかわらず、客家語の最優秀歌手賞を受賞。エンノ・チェンは、台湾語を話さないにもかかわらず、台湾語の最優秀女性歌手賞最優秀台湾語アルバム賞を受賞した。

同イベントの民族語カテゴリーでは、パイワン族の歌手カシワとマツカが母国語でラップと歌を披露し、カシワは栄誉ある審査員賞を受賞した。

台湾の人口はわずか2300万人ほどだが、その音楽シーンは、検閲に縛られない自由な創作活動により、中国語圏の世界では突出した影響力を持っている。

© tsai_ingwen / Instagram

台湾の蔡英文総統は自身のインスタグラムのページでこう綴った。

「音楽への愛が異なる民族間の言語の境界をなくした。ここでは、台湾語、客家語、先住民の言葉、北京語、英語、日本語など、どの言語を使っていても、みんな自由に歌うことができ、それがまた私たちをひとつにしてくれる」。

Top image: © iStock.com/Artit_Wongpradu
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。