地球から一歩出れば、生命の根幹を担うのは「炭素」ではない?

先日、メキシコ政府が地球外生命体のミイラを発見したというニュースが世界中を駆け回った。しかし、各種ニュースやSNSでは、「胡散臭い」「偽物に決まっている」といったコメントが相次ぎ、実物もいかにも作り物のようだと話題になっていた。

しかし、今回はそれ以上に信憑性の高い、生命の起源や核心に迫るような研究について紹介したい。

今月23日、宇宙科学メディア『Space.com』にて、地球外生命体に関する興味深い記事が掲載された。

私たち人類をはじめとする地球上の生命が、炭素を用いる有機化合物に基づいて構成されているというのは、一度は耳にしたことがあるだろう。

しかし記事によると、ケイ素のような炭素を含まない他の元素や地球上ではほとんど見られないような珍しい(あくまで、地球視点だが……)元素が、他の惑星で生命体の根幹を担っている可能性があるという。

この研究を行なっているウィスコンシン大学マディソン校の科学者たちは、生殖に強く関係するため地球上の生命にとって不可欠な、“自己触媒作用”と呼ばれる現象にフォーカス。

聞き馴染みのない「自己触媒反応」とは、雄雌ペアのウサギが生殖を行って出産、成長、生殖、出産……というように命をつなげていく、自己持続的な現象のことを指しているという。

今回の研究では、研究者たちは有機化合物=炭素を中心とする複合体以外でも、自己触媒作用が発生するのかということを調べた。

その結果、生殖と同じように分子の複数のコピーを生成するというこの現象は、水銀や希ガスのような、一般的に生命とは関係のない元素でも起こりうるということが発覚したようだ。

また、過去の研究結果を参照するため、彼らは2世紀にも及ぶ期間で蓄積されてきた文書を見返すことも実施。結果、驚くべきことに、彼らは270種類もの自己触媒反応のパターンを発見し、その多くは炭素を必要としないものだということを示した。

よって、生命が誕生、存続していく上で必要不可欠な自己触媒反応という現象が、以前考えられていたよりも、より一般的なものである可能性を示唆したのだ。

さらにこれらの反応は、気温的、圧力的に極端な条件下でも起こる可能性があるとともに、地球上にはほとんど存在していないような物質や、存在していたとしても他の物質とほぼ反応しないことで知られる希ガスでも起こりうるということを解明した。

つまり、このような極端な物質、条件でも自己触媒作用が起こるのだから、より一般的な条件や物質では容易に作用が起こると考えられるという。

彼らは、今後これらの反応を実験的に検証し、地球外生命体の探索など、実用的な応用が可能かどうかが今後の研究課題。

これらのサイクルが今後の研究にどのような影響を及ぼしていくのかはまだ不透明な部分が大きいというが、他の惑星の生命体の存在を理解するための新たな可能性を開くものであり、地球上でも実用的な利益をもたらすかもしれない。

「いるに決まってる!」と叫ばれ続ける地球外生命体の存在。

あまりにも広大な宇宙のことは半分ロマンのように受け止める人が多いが、もしかしたらこの先、私たちが生きているうちにその存在が証明、さらには発見されるような日が来るのかもしれない。

根本的に地球上とは違う原理で生命が誕生、持続している可能性が高いとのことでしたが、確かに地球上の常識がこの広い宇宙で通用するわけがないですよね(笑)

今回、あえて宇宙人ではなく「地球外生命体」という表記にしてみました。だって、向こうからしたら自分たちが人だ!なんて1ミリも思ってないはずですからね。

Top image: © NASA images/Shutterstock.com
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。