10年に及ぶ、"パラダイムシフト" を目指す旅 -目崎 雅昭

目崎 雅昭 Mezaki Masaaki

慶應義塾大学商学部卒。1993年メリルリンチ証券へ入社。東京、ニューヨーク、ロンドンで勤務しメリルリンチ社内で世界一の収益をあげる。 1998年退社後、世界100ヶ国以上へ10年近い歳月をかけた旅に出る。2006年には旅の途中にロンドン大学にて社会人類学の修士号を取得。その後、2011年6月『幸福途上国ニッポン』を出版。現在は日本メガソーラー整備事業株式会社の代表取締役社長を務める。再生可能エネルギーに注目し、日本全国にメガソーラー発電所を建設中。

日本メガソーラー整備事業(株)代表取締役社長/国際文化アナリスト/幸福研究家 著書:『幸福途上国ニッポン』アスペクト社(韓国語版が、ペーパーロード社より発行)共著:『これからの「教育」の話をしよう』NextPublishing [オンデマンド (ペーパーバック)]、世界の旅の軌跡:魂の旅人 目崎雅昭オフィシャルサイト

 

001.予想外から生まれる、面白い世界

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目崎さんの経歴はとても興味深いですが、学生時代にいまにつながる体験はありますか?

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日本の大学に通っている時は、「日本の大学はぬる過ぎる」と感じ、アメリカの大学に編入しようと思い英語を勉強していました。そんな中、知人に突然「スイスのジュネーブで甥っ子がフランス語の夏期講習に行くから来ない?」と誘われ、なんとなくついて行く事に。その時まではアメリカに行こうと考えていたし、英語もまともにできないのにフランス語をやっても仕方ないでしょと思っていたのですが…。

しかし、ジュネーブへ行ったことが、僕のひとつの転機になります。

スイスは、僕の知っていたアメリカとは全く雰囲気が違いましたし、周りは英語も他の言語も当たり前にできる欧米人ばかりで、英語もまともにできない日本人がただひとりの環境。それは強烈なインパクトがありました。自分はなんてダメなんだろう…と叩きのめされ、劣等感を感じる一方、なんとかしてやろうという反骨心も沸き、そこでコミュニケーションを取るために試行錯誤したことが僕の根幹になっています。

ロジカルに考えれば、アメリカに行って英語を勉強するほうが、よっぽど正しい道に見える。でも、計画していた事の外に、ふっと全く違う道が提示された時、とりあえず乗ってみようと冒険してみる。その先に見える世界は全く予想できないものだからこそ、すごく面白いものが開けてくる、という学びを得ました。

002 お金だけで幸せになれるだろうか?

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目崎さんはメリルリンチ証券で順風満帆なサラリーマン生活を送っていたように思えるのですが、退社され、突然10年近くもの旅に出たのはなぜですか?

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会社内ではそこそこ順調でしたが、5年の月日が経ち、トレーダーにありがちな「カネからカネをどうやって生むか」という資本主義的な世界観にだんだん自分が毒されてゆくのを感じていました。このままでは自分が人格的に破綻するだろうとも思っていたし、もともと持っていた起業への気持ちが、ここに来てムクムクと湧いてきて…。

しかし、もし起業をすれば、結局、利益を追い求める。利益を少しでも多く出そうと思えば、普通はなるべく小さい投資で最大限のリターンを、と考えるでしょう。その一番効率的なのが金融の世界です。これまでその最先端の世界にいて、働く人たちのメンタリティに嫌気がさしていた僕が、起業すれば、また元の場所に行き着いてしまうだろうと思いました。学生時代からの起業したい気持ちはものすごく浅いレベルだったとその時気づいた。

じゃあ、自分が今までインプットしてきた世界観や価値観を超えるほどの新しい価値観をインプットしないと、今、悩んでいる中だけでは絶対に答えが出ないと思いました。それには、インド、アフリカ、南米など、想像もつかないような世界に行くしかない。そこに答えがあるかわからないけれど、少なくとも、今の世界観を根底から覆してくれるような、何かがあるんじゃないかという期待があった。仮に世界を全部見て、それでも答えが出ないならしょうがない。今までとはできるかぎり違う世界に、できるかぎり長期間、身を置いてみようと旅に出たのです。

003 日本基準からの脱却

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旅を経て、目崎さん自身に起きた変化はなんでしたか?

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旅の目的でもあった、自分の価値観が根底から覆されたことです。旅に出る前は、インドには数ヶ月滞在し、世界の旅は3年で終わらせようと思っていました。なぜなら、3年が社会復帰できるギリギリのラインだと考えていたからです。しかし、旅中の瞑想や様々な地に深く溶け込む生活などを経て、その3年という縛り自体も、日本的な価値観に基づいた判断だと気づきました。結果的に及んだ10年という歳月は、日本以外の価値観や文化の多様性を見て、新しい自分の判断基準を築くには十分な年月でした。

それと共に、僕の興味は、ずっと感じていた日本社会のおかしさに向いたのです。例えば、1958年から日本のGDPは7倍近くになっても、国民の生活満足度指数は7倍にはなっていない。どうすれば日本の社会で、一人一人が本当の意味で充実した人生が送れるかを、僕自身ずっと考えてきた。それをもし達成できたら、その方法を汎用的なものとして、世の中に提供できればと思っています。

それは、僕がやろうがやるまいが、300年後には変わっているかもしれない。けれど、僕が何かをやることで200年ぐらいの前倒しには貢献できるだろうと思います。たかがその程度でも、これからの人生をかける価値はありますし、日本社会の枠組みを変えていくことが僕のライフワークだと思っています。

004 予期せぬ仲間たち、日本のシステムを壊していく

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帰国されてからは、どんな活動をされましたか?

 

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始めに本を出版しました。それは、単に有名になろうとかではなく、僕の個人的なマニュフェストが必要だと思ったのです。僕の考えはこうです、と伝えて、共感してくれる人がいればつながれる。そこから、さらに色々な活動ができると思ったのです。結果、沢山の人たちに共感してもらえて、大きなネットワークができました。そういう人たちは、ビジネスだけでのつながりではなく、真面目な思いが根本にあるから、仕事の上でもとても協力しやすいのです。そんな仲間ができたことは予想外でした。そんな中、たまたま再生可能エネルギーの事業をやろうという話になり、仲間たちと始めました。それは偶然声をかけられた事ですが、ジュネーブに行った時のように、予想外の道に乗っかってみてもいいんじゃないかと思いました。そして、1年ほど前に会社を立ち上げ、日本中にメガソーラーを作り、太陽光発電を化石燃料よりも低コストで供給しようとしています。

僕が最終的にやろうとしているのは、自分自身が幸せになることに加えて、いかに世の中の多くの人間が幸せになれるようなシステムを創っていくか、です。人間は幸福のために生きていると思うし、幸福以外に重要なことはないはずなのですよ。でも、その根本的な意識の統一さえもできないシステムに日本はなっている。僕が憎いのは、人じゃなくてシステムなのです。どうやったらこのシステムを壊していけるか。その手段を、ずっと模索してゆくことが僕の人生のテーマです

 

005 「日本」を理解して、世界の多様性を受け入れる

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なぜ目崎さんは、若者は世界に出た方がいいと考えるのですか?

 

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よく、若者に海外に出ろと言うときに、「就職に有利だから」「これからの時代の生き残りに必要だからだ」みたいなことを言う人がいますが、そんな事きっとピンとこないですよね。結局、「なぜ世界に目を向けなければいけないのですか?」という問いに対する答えを提示できなければ、誰だって納得はできないと思うのです。重要なのは、「日本にこのままずっといて、本当にすばらしい、幸せな人生を送っていけるのかどうか」という事です。なにが幸せかを判断できるのは自分だけで、一人一人がそれぞれ違った「自分なりの幸せ」を見つけていくことが大切だと思います。多くの人は、自分がなにをしたいかわかっていない。それは、日本の社会にいる限り、生まれてから一度も問われないからです。

代わりに「あなたは何をしなければいけないのですか?」という義務ばかりを要求されます。で、たとえば就職活動で「あなたは人生でなにをやりたいですか?」と問われても、わかる訳がないのですよ。それは本人だけの責任ではない。日本のシステムの問題です。それを認識するため、そして「あなたは人生でなにをやりたいですか?」の問いを知るために世界に出ることが重要なのです。旅は、世界を知ることだけでなく、自分の文化を再認識し、自分自身と向き合うことでもある。いろんな学びのプロセスのひとつです。だから、旅にどれほど勧めても勧め足りないほどの意味があると思います。

TABI LABOインタビューアー吉澤 翔太 / Shota Yoshizawa東洋大学国際地域学部3年生。フィリピン・セブにて語学留学、ボランティア、日本国内ヒッチハイクを敢行。世界を六感で体感しながら、グローバルな世界観に生きることを志す。
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