一級建築士に学ぶ、後悔しない家づくりの「5つのヒント」
「家を建てる」というのは、多くの人にとって一生に1度の大切なイベント。家族全員が納得できる家を建てるためには、どのようなことに気を付ければいいのでしょう。自著『住む人が幸せになる家のつくり方』から、家族を幸せにする家づくりのヒントを紹介します。
01.
「動機」や「思い」を
深掘りしていく
家を建てる理由について、もう一度考えてみましょう。これから買ったり建てたりする人は、どうしてその家を手に入れようと思っているのか、自らに同じ問いかけてみてください。すでに今住んでいる家については、その家でどういう希望を一番成し遂げたいと思ったかを、家族で話し合ってみましょう。
次のその動機を、違う視点からとらえ直すのです。たとえば会社への通勤時間が30分圏内に引っ越すというのを第一の動機にした人は、一見、利便性だけを求めているように見えます。でも、通勤が30分になったら、出勤するストレスも減るし疲れもとれる。そうなれば家に帰っても余力があるし、通勤で時間がとられないぶん、時間を家族のためにたっぷり使えると考えていたりするものです。
一段、そしてまた一段深く考えることで、もともと見ていた動機の基礎に、しっかり幸せな要素が入ってくるはずです。これだけで全く意識が変わってくるでしょう。
02.
幸せな家族が実践している
習慣を身につける
家族の幸せを意識する家にしようと思ったら、細部にまで家族が合意して、共に作り上げたという気持ちを共有することが大切です。
たとえば、男女の性差で視点は大きく異なるもの。男性はどちらかというと全体を見る、女性は手触りや感覚、使い勝手といったところをしっかり見る才能があります。男性と女性、双方の主張が調和した家づくりは、お互いの価値観の違いを認めることから始まります。
また、主張がぶつかった場合は、なぜそちらの方がいいのかという理由を掘り下げて話を聞くこと。そうすると、やはり何か特別な思い入れが出てくることも。多くの場合、子ども時代に住んでいた家の記憶がイメージに大きく影響しています。
歴史の背景が違うからこそ、全然違うところもあるのを尊重し合い、合意をしていくことで具体的な家づくりのイメージができていくのです。
03.
子どもが引きこもらない
家づくりのコツを知る
家作りの相談を受ける中で、非常によく聞かれる質問があります。「子どもが引きこもらないようにするには、どうすればいいですか?」
家族にとって本当にいい家づくりを考えるのなら、リビングルームを家の中でいちばん居心地のいいつくりにして、自然と家族が集まりたくなるような場所にすること。
たとえば家の中でいちばん日差しが入って、景色も眺められて気持ちがいいエリアを、家族みんなが集う場所にします。そこから楽しそうな笑い声が聞こえてきたら、部屋にひとりでいるのがつまらないと思うのではないでしょうか。
子どもが小学生くらいになると親がよくやりがちなのが、「勉強いしなさい」と部屋に追いやることです。これが重なると、思春期の頃に、一人きりになる口実として部屋にこもるようになります。こういうことを防ぐためにも、子ども部屋で勉強させずに家族みんなで勉強や仕事に取り組める場所を作ることをおすすめします。そこで一緒に勉強させていれば、思春期の頃に少し引きこもることがあっても、居心地のいいリビングルーム周辺にまた出てくるようになります。
04.
周辺環境も
生活の一部と考える
家を建てるには、周辺環境も大事な要素のひとつ。そこも含めて住む場所を考えると、より生活がクリエイティブになります。
居住スペースに限りのある街中での暮らしでは、そのぶん充実した施設や共有スペースをいかに利用するかがポイント。発想の転換です。家の中に書斎が作れなければ図書館が書斎だと思えばいいし、近所のおしゃれな喫茶店は、家の中に友人を呼べないときのセカンドリビングルームとして活用すればいいでしょう。
そういった周辺環境を自らの生活の一部に取り込もうという意識が、より成熟した大人の住まい方を可能にしてくれます。土地を買うときには、近隣の環境も生活の一部に組み込んで考えてみましょう。
05.
成功者ほど、
風水を活用している理由って?
表立って言うことは少ないようですが、大きな会社を経営している人や、成功している人は、風水や家相、方位学などをフル活用しています。といっても取り入れ方はさまざまで、それに従う人もいれば、それをひとつのデータとして、自分なりの独自のやり方を生み出して活動するために使っている人もいるのです。
面白いことに、いわゆる一般の方になればなるほど、風水などは迷信で、そんなものを信じること自体にアレルギーがある人が多いという印象です。成功している人がどうして表立って言わないかといえば、他人から怪しいと思われるからという人が多いようです。
風水というのは占いやオカルトではなく、長年蓄積された確率論的な話。先人が積み重ねたデータから確率的に起こる可能性が高いとわかるのならば、無視するよりは、活用するのもひとつの方法になるでしょう。
そのような利用からか、ネットなどにも、成功者が風水を活用しているという情報はほとんど出てきません。私の体験上、彼らのほとんどが必ずと言っていいほど風水などを情報として活用しています。
風水というのは占いやオカルトではなく、長年蓄積された確率論的な話。先人が積み重ねたデータから確率的に起こる可能性が高いとわかるのならば、無視するよりは、活用するのもひとつの方法になるでしょう。
『住む人が幸せになる家のつくり方』
コンテンツ提供元:サンマーク出版
株式会社川本建築設計事務所代表取締役。1級建築士。広島と東京を拠点に「快適で幸せな建築空間作り」を専門にする建築家。設計活動を行う傍ら、全国的に講演活動や執筆活動を行っている。