【ヤクザ式】逆転の発想で相手を納得させる「7つの言い換え術」

ビジネスでも、人間関係でも、普通に生活してれば困った状況というのは起きるもの。そうした事態に陥ったとき、どうすればいいか。ここで「言い換え」がものを言うのである。それでは、困った状況を切り抜ける「逆転」の「言い換え術」を紹介していこう。

01.
相手が気を緩めた隙に
「無理なお願い」をする

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「殺れ」といきなり親分から命じられたら、どんな血の気の多いヤクザでも「誰をです?」と思わず聞き返すだろう。

「××組の会長だ」
「エエーッ」
「名前を聞いた以上、断りはなしだぜ」

これも説得術のひとつで、私は「倒置法の言い換え」と呼んでいる。倒置法によって相手の疑問を喚起しているのだが、相手にしてみれば自分が疑問を抱いたと勘違いしている。ここがポイントで、自分が疑問を抱き、それを相手に問い、答えさせ、疑問が氷解した、という無意識の心理的な流れが「なるほど」という納得になるというわけである。

「おい、社長がお前のことを怒ってたぞ」といきなり告げれば部下の顔はこわばるだろう。足に震えがきそうになったタイミングで「有能なくせに、能力をあえて見せないようにしているってな」と言う。部下が安堵の笑みを浮かべたところで「ちょっと厄介な案件があるんだが」と頼みごとをすれば「承知しました」と返事をするものだ。倒置法で疑問を抱かせて引きこみ、不安を抱かせ、それが解消されて気分をよくしたところで頼まれれば、誰しもノーとは言いにくいものだ。

02.
「社長だって新人時代があったんだ」
と原点に帰る

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「千里の道も一歩から」と言われて、否定する人はいない。千里という距離が一歩の積み重ねであることは厳然たる事実だからだ。だが、実際には一歩を踏み出したからといって誰もが千里に達するとは限らない。ここに言い換えのヒントがある。最初にとてつもなくビッグなものを引き合いに出し、後から「千里→一歩」と言い換えることによって相手の錯覚を誘い、説き伏せるのだ。

子供に勉強させようとするなら「やればできる」とストレートに励ますより「ノーベル賞をもらった××先生だって、算数は1+1=2から勉強したんだよ」と話して聞かせたほうが説得力がある。「社長だって入社したときは一介の新人に過ぎなかったんだ」と言って励ませば、(よし、俺だって!)と新入社員はファイトを燃やすのだ。

03.
「やる」ではなく「もらってくれ」
とへりくだって言う

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週刊誌記者をしていた30代のころ、取材が縁で知り合ったヤクザの長老から、高価なモンブランの万年筆をプレゼントされた。長老は、こう言って差し出した。

「俺には無用のものだ。もらってくれないか?」

もらってくれないか、というひと言に、私は感激した。「やるよ」と言っていい立場であるにもかかわらず、へりくだった言い方をしたのだ。このことがキッカケで注意して聞いてみると、ひとかどの人物は自分が相手より優位な立場にあるときは、必ずへりくだった言い方をすることに気がついた。

たとえば、著名な実業家をホテルで取材したときのこと。「帰り道ですから、途中までお送りさせてください」と車に同乗するよう勧めてくれた。あるいは「このコート、着てくれないか?」と言ってプレゼントしてくれた先輩作家もいれば「お食事にお招きしたいのですが、来ていただけますか」という言い方をした議員もいる。「やる」を「もらってくれ」と言い換えてみせるところに、人間関係の要諦があるのだ。

04.
「ネガティブなこと→大丈夫」
「ポジティブなこと→慎重に」

占い師は話術と言い換えが勝負だ。いくら鑑定に精通していても、これがヘタだと客はつかない。

「結婚できるでしょうか」「ダメだね」と言下に否定されたら、客はムッとくる。良縁に恵まれないという結果が出れば「大丈夫。婚期が遅れれば遅れるほど、良縁に恵まれます」とポジティブな要素を必ず付け加える。一方、良縁に恵まれるという鑑定結果であれば、「良縁に恵まれますが、慎重のうえにも慎重を期すこと」とクギを刺す。この一語をあえて添えることで(本当に良縁があるんだ)と客はうれしくなってくるのである。

「ネガティブなこと→大丈夫」「ポジティブなこと→慎重に」と対比的に言い換えてみせるのが、相談に対する回答の基本原則だ。もし、あなたが人生相談を受けたときは、この対義語を用いた言い換えを念頭にアドバイスすればいいのだ。

05.
話のテーマに応じて
「私」と「みんな」を使い分ける

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たとえば道路建設のための地上げ。一流はやんわりとこう諭す。「立ち退きに賛成してくれているみんなが迷惑してるんだよ」あんたのワガママがみんなに迷惑をかけている、とテーマを「あんた」から「みんな」にすり替え、『良心の呵責』をチクリと刺激することで説得にかかるのだ。

逆に話を「私」にもっていくべきケースもある。たとえば坊主の説法。「お浄土はホントにあるんですか?」と疑いのまなこで問われた知人僧侶は「さあ、行ったことがないので、あるともないとも私には言えません」と軽くいなしてから「ないと困るんです。お浄土がないと、この私が困るんです。お浄土があってそこに生まれ変わることができると信じているからこそ、私は安心して死んでいけます」

浄土というものを「私」に引き寄せることで聴衆を説得するのだ。訴えかけるときは「私が」を強調し、説得や翻意を迫るときは「みんなが」を前面に押し出す。テーマに応じて「私」と「みんな」を自在に言い換えて用いれば、たいていのことは意図した結果が得られるものだ。

06.
具体的に答えさせるよう
間接的に「攻めていく」

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質問するとき、聞きたいことを単刀直入に尋ねるのではなく、答えざるを得ない質問にして間接的に攻めていく方法がある。

たとえば週末、部下や後輩に用事を言いつけようとする場合。「土曜日は空いているか?」と問えば、警戒して返事を濁すだろうが「土曜日の予定は?」と、予定があることを勝手に前提にしてその内容を問えば具体的な返事をしなければならなくなる。仮に予定が入っていなければ、「特に予定は」と答えるしかない。言質を取ったところで「実は急ぎの仕事があって」と畳みかければよい。実際に聞き出したいことの逆から尋ねることで、主導権を握れるのだ。

07.
「倒産の危機だ。覚悟してくれ」
と不安のハードルを一気に上げる

イヤな仕事や役割を命じるときは不安感をうんと煽り、結果がそうした最悪の事態にはならず「ラッキー!」と思わせられれば、丸く収まって儲けもんということになる。これはウラ社会の面々が得意とする説得術で、ヤバイ仕事を命じるときは最悪の事態を口にする。

「身体、懸けてもらうぜ」「5年や10年の懲役じゃすまねぇだろう」

最悪の事態を口にしているのだから、どんな結果になろうとも最悪よりはましになり、(ああ、よかった)となるのだ。

経営が苦しくなった知人の編集プロダクション社長は社員の給料を一律2割カットすることにしたが、それを発表する前に「倒産の危機だ。万一の覚悟だけはしておいてくれ」と大いに不安を煽った。社員たちの不安がピークに達したところで「2割カットで会社は生き残れるぞ!」堂々と発表し、社員たちは安堵の歓声を上げたのである。大事なことは最悪の言葉に言い換えて、不安のハードルをうんと高くすることだ。

説得は「言い換え」が9割
コンテンツ提供元:光文社

向谷匡史/Tadashi Mukaidani

1950年生まれ。数多くの大物ヤクザを取材した週刊誌記者を経て、現在は浄土真宗本願寺派の僧侶。『会話は最初のひと言が9割』(光文社新書)、『ヤクザ式ビジネスの「かけひき」で絶対に負けない技術』(光文社知恵の森文庫)、『ヤクザの実戦心理術』『ホストの実戦心理術』(KKベストセラーズ)など記者時代の経験を活かした著書を多数もつ作家としても活動している。

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