ゴムを使わない「次世代コンドーム」がHIV撲滅に大きな可能性を秘めている(米研究者)

高強度ありながら“肌に最も近い素材”と言われる、ハイドロゲル製のコンドームの開発競争が、近年激化しています。この次世代型コンドームの登場により、エイズウイルス(HIV)感染の予防ばかりか、HIVそのものを撲滅する可能性を秘めている。世界が注目する記事を紹介します。


新素材の次世代型コンドーム

高強度のハイドロゲルは、東京大学大学院工学系研究科が世界で初めて開発に成功したもの。高い含水率を有し、生体軟組織に類似した組成を持つことから、人体に優しい医療材料の有力な候補として、注目を集めていました。

すでに、コンタクトレンズやおむつなどの衛生用品として用いられており、これをコンドームに応用するべく、開発競争が進んでいました。

従来のコンドーム素材は、主にポリウレタンや天然ゴムのラテックスを用いたものが一般的でした。このハイドロゲルの特性を活かし、最初にコンドーム開発をしたのが、豪ウーロンゴン大学の研究チーム。2014年のことでした。


ビル・ゲイツが、次世代コンドーム開発者に10万ドル出資する!?

研究チームの開発に出資をしていたのがビル&メリンダ・ゲイツ財団であることからも、新製品開発は大きな注目を集めていました。彼らはすでに10万ドル(約1,200万円)の研究助成金を得て、次世代コンドームの更なる研究開発にあたっています。
それにしても、同財団が次世代コンドームの開発に力を入れる理由、それがエイズウイルス(HIV)感染を食い止めることにある、と「CNN」はゲイツの狙いについて触れています。

HIV撲滅の大いなる“一歩”となるかもしれない

今年に入って、アメリカからもハイドロゲルを用いたコンドーム開発の急先鋒が現れました。HIV撲滅に向けての決定打になるかもしれない。こう信じこませてしまうような、革新的アイデアで大きな評判を呼んでいます。

米テキサス州の「テキサスA&M健康科学センター」Mahua Choudhury博士率いる研究チームが、開発に乗り出した新しいコンドーム。それは、“破けにくい”という観点から更に一歩踏み込んだもの。万一、破れてしまった場合でも、HIV感染の危険を軽減する驚きの工夫がなされているようです。

なんと彼らは、素材のハイドロゲル自体にHIVウイスルを殺菌する、植物由来の抗酸化物質(酸化防止剤)を含ませることに成功。さらには、使用感も従来のラテックス製品と変わらないばかりか、性的快楽や男性の勃起を高める効果まであるというのです。

「もし、このコンドームの開発が成功すれば、HIV感染防止の決定打になるはずです。感染症を予防する革新的な製品の開発を目指しているだけではありません。この製品がエイズそのものを撲滅することができる。その可能性を感じているのです」

Choudhury博士のコメントを大きく取り上げる「Daily Mail」は、現在、HIV感染者はおよそ3,690万人、昨年新たに200万人の感染が確認されたと伝えています。

HIV感染の予防・啓発に大きな可能性を秘めた開発であることは、間違いなさそうです。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。