投げる?保管する?子どもの乳歯は、「セル(細胞)保管」が当たり前の時代がくる

初めて子どもの歯が抜けると、上の歯は軒下に、下の歯は屋根に放り投げる。こんな風習があったのも今は昔。最近では、「へその緒」のように乳歯用のケースまで存在します。けれど、これからは第三の選択肢となる保存方法に注目する方が正解かもしれません。

抜けた乳歯を
銀行で厳重保管!?

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デンタルリテラシーが高いアメリカには、こんな風習があります。

子どもの乳歯が抜けると、「トゥースフェアリー(歯の妖精)」がやってくる。抜けた歯を夜、子どもの枕の下にしまって眠ると、妖精がその歯をお金(一般的には硬貨)に変えてくれる、というもの。クリスマスの感覚で、親がそっと歯をコインに差し替えるのです。

ところが、ここ数年こうした風習よりも、アメリカの親たちは別のオプションを選択しているという話が。なんでも、乳歯を銀行に預けるんだとか。

「再生医療」の
カギを握るのが乳歯

昔ならば放り投げていた歯に、いま医療現場から熱い視線が注がれている。こう指摘するのは「Health & Love Page」。国立歯科・頭蓋顔面研究所(NIDCR)のSongtao Shi医師が、歯に含まれる歯髄(歯の神経)からいくつかの幹細胞を発見した2003年の調査を持ち出し、この幹細胞が「再生医療」の現場で注目されていることを強調。

そもそも再生医療とは、人間の細胞が持つ再生能力を利用して、自分自身の幹細胞を使って、病気やケガで損傷した臓器を元どおりに再生させる医療技術のこと。

この“再生の種”となる幹細胞は、分裂して同じ細胞をつくる能力と、別の細胞に分化し際限なく増殖できるんだそう。その幹細胞が詰まっているのが歯髄。

つまりは、将来自分の身に起こるかもしれない病気やケガに備えて、子どもの頃の健康な状態の乳歯を、特別に設計された保存液の中で保管し、「来るべき時に備える」ための歯髄バンクに預けておこうという動きが、古い風習に代わって高まっているようなのです。

ただし、歯髄バンクに預けられるのは、虫歯やウィルスに汚染されていないもの。すなわち、自宅で抜けて子どもだけじゃなく両親がベタベタ触ったり、そもそも虫歯の歯では、いくら乳歯でも細胞が死滅してしまうこともある。そこでアメリカでは、グラグラ抜けそうになった歯を、バンクと提携する歯科で抜歯してもらうことが一般的だとか。

日本にもある
「歯髄細胞バンク」

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幹細胞による再生医療は、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した、山中伸弥教授(現・京都大学iPS細胞研究所所長)のiPS細胞作製を機に、ますます注目されるようになってきました。

そこに、乳歯のなかの幹細胞そのものにも再生の可能性が秘められている、といった今日の研究結果が加わり、誰にも歯髄保管を選択するチャンスがめぐってきた訳です。

さて、じつは日本にも「歯髄細胞バンク」はあり、すでに1,000人近い人の歯が保管されているそうです。なんでも、乳歯だけでなく、親知らずでも幹細胞の保存が可能だとか。つまり、永久歯であっても大丈夫。

ただし、それなりにコストは掛かります。こちらのバンクの場合、登録、培養、10年保管でおおよそ30万円。11年目以降はさらに10年保管で12,000円といった具合。

「歯を大切に」。すでに誰の中にも刷り込まれているこの意識。これが本当の意味で自分の健康と不測の事態に備える「宝」となり得るなら……。細胞保管という選択肢、アナタはどう思います?

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