毎日がまるで旅。日本にいながら世界中に友達ができる仕事って?

世界中いろいろなところを旅して周りたい。心の底ではそう願っているのに、日々の生活に追われて、もうずいぶん旅から遠ざかってしまっている……。そんな人に教えたいのが日本にいながら世界中を旅するように暮らせる方法です。それは家の空き部屋を使って『Airbnb(エアビーアンドビー)』のホストになること。世界中からゲストを迎えることで、自分の部屋が国際交流の場へと変わるのです。そこで得られる体験は、きっとかけがえのないものになるはず。
実際に「Airbnb」のホストとして活躍している3人の方に、旅するように暮らしている今の生活について話を伺ってきました。
Kazuhiroさん

自宅の2階部分をすべて「Airbnb」に提供。きっかけは職業柄「Airbnb」のシステムに興味があったから。元フランス料理のシェフという経歴を活かし、料理を媒介にしてゲストとコミュニケーションをとっている。猫と過ごせる部屋が評判。

Mariさん

これまで20か国以上を訪れた旅好き。着物や茶道などの日本文化に精通していて、心のこもったおもてなしを心がけている。友人の誘いをきっかけに「Airbnb」に登録し、都内で部屋を提供中。

Norikoさん
3人の娘を持つお母さん。外資系の企業で働いていた経歴と、過去12年間海外からの留学生の短期ホームステイを受け入れていた経験を活かして、今年の2月から「Airbnb」のホストを始めた。

01.
世界中に友だちができる

「Airbnb」は世界中に述べ1億4000万人の利用者がいます。世界中から訪ねてくるゲストをもてなすことで、国境を超えた友人関係を築くことができるんです。

Mari「はじめて迎えたゲストはドイツ人の教師の女性。私が作った夕食を一緒に食べながら、いろいろなことを話しました。歳が近かったこともあってとても盛り上がり、今でも誕生日にメッセージを送り合う関係なんです」

Kazuhiro「この間台湾に旅行に行ったとき、以前ゲストとして来てくれた人の家に泊めてもらいました。観光に連れて行ってくれたり、ご飯をごちそうしてくれたり、たくさんのおもてなしをしてくれてとても嬉しかったですね」

Noriko「NYから来た67歳の女性は、今でも自分の近況を頻繁にメールで知らせてくれます。初めは戸惑っていましたが、ケータリングフードの会社を経営していたというバイタリティで、あっという間に日本にたくさんの友だちができたそうです。毎日帰ってくるたびに『Noriko聞いて!』とその日あったことを話してくれて。とっても仲良くなりました」

02.
活きた英語が身に付く

ゲストとコミュニケーションをとるなかで、自然と活きた英語が生まれる。実際に相手の目を見て、声を聞いて話すからこそ、本当の意味で”伝わる”語学力が育つのです。

Kazuhiro「英語はそんなに得意じゃなかった僕も、ゲストといろいろな話をしているなかで、徐々に英語力が鍛えられてきた気がします」

Noriko「もともと英語は好きで、使う機会も多かったのですが、こんなにたくさんの国の人と会話ができるなんて、話好きの私にとってはこれ以上ない幸せです」

Mari「お互い誤解が生まれないように、真意が伝わる正しい英語を話さなくちゃと、言葉の意味や使い方が間違っていないかどうか、きちんと調べるようになりました」

03.
体温のあるコミュニケーションができる

短い期間でも、ゲストとひとつ屋根の下で過ごすことで心の距離がぐっと縮まります。気持ちの通ったコミュニケーションをとるのは、同じ日本人同士でも難しいこと。それが初対面の外国人相手でできるなんて、なかなか味わえない体験です。

Noriko「私はいつもゲストに『あなたのことは自分の娘だと思って接するからね』と伝えるんです。だから、富士山に登りたいと言うタイ人の女の子のために行き方を調べたり、帰りのフライトに間に合うギリギリの時間までうちで過ごしていた韓国人の女の子と一緒に駅まで走ったり。本当に家族の一員のように思っています」

Mari「よく行くお店やスポットに一緒に出かけることがあります。私は海外に行くと、ガイドブックに載っているような情報ではなく、地元の人のリアルな声を聞きたいんです。だからゲストにも、住んでいる私だからこそ知っている情報をたくさん教えてあげたいんです」

Kazuhiro「僕は必ずと言っていいほどゲストと一緒にお酒を飲みますね。お酒好きな人なら、朝まで飲みながら語らうことも。それからキッチンで料理を作ってあげたり、ときには作ってもらったりもします。もともと月に1度ホームパーティを行っているのですが、そこに泊まっているゲストを招いたこともあるんですよ」

04.
「DIY」でいろいろなことに挑戦できる

「Airbnb」はすべてが「Do It Yourself」。部屋の設備やおもてなしの方法まで自分次第で工夫できます。

Noriko「娘たちが海外で『Airbnb』を利用したときの経験を活かしていろいろな工夫をしています。注意事項を英語で書いて置いておいたり、電気やエアコンのスイッチにわかりやすい表示をつけたり。そういうちょっとした気遣いはどんどん取り入れるようにしています」

Kazuhiro「一緒にコーヒーを飲んだり、料理を作り合ったり、キッチンがコミュニケーションの中心になっています。僕がよく作って保存している豚肉のパテを一緒に食べてワインを飲みながら過ごす時間はとても楽しいんです」

Mari「部屋の使い方や周辺の情報などをpdfファイルにまとめてゲストに贈っています。スマホで見られるので便利だと好評です。それから、タイミングが合えば日本食をふるまうこともあります」

05.
日本のよさを知ってもらえる

訪れるゲストのなかには、日本の文化や食べ物などに興味を持っている人も多いんです。ホストである自分が日本人の代表として「和の心」を伝えれば、日本をもっと好きになってもらうきっかけになるかもしれません。

Mari「茶道をやっているので、お茶を点ててあげることもあります。それから、日本の文化の感覚的な部分を伝えられるといいなと思って。例えば玄関で靴を脱ぐのは、ただ部屋の中が汚れないようにする為じゃなく、いけないことっていう感覚が強いんだよ、って教えるとすごく興味をもってくれるんです」

Kazuhiro「とくに日本らしさを意識しているわけではないのですが、布団で寝るというのは珍しい体験のようです。それからお酒好きな人には日本酒をすすめることもありますね。おいしいと言ってもらえると嬉しいです」

Noriko「近所の商店街は、日本の下町風情が残っているからとっても楽しんでくれるんです。だから地図に近くの食べ歩きにおすすめのお店やおすすめの銭湯の情報を載せて渡してあげます」

06.
「空き部屋」が世界を広げてくれる

「Airbnb」のホストになることで得られる経験は、かけがえのないものばかり。空き部屋が自分と世界をつなぐ媒介になってくれるのです。

Noriko「自分や娘たちが経験したことを活かしておもてなししていくと、ありがとうと言ってもらえて、達成感を得られるし、なによりも嬉しい。そういう輪が世界中で広がっていくことは、まさにいいことの数珠つなぎですよね。世界はつながっているんだなと実感しています」

Mari「これまでは海外に出向いて異文化交流をしていましたが、今は向こうから来てくれるので、日本に居ながらいろいろな価値観や文化に触れることができます。一緒にごはんを食べたり、隣の部屋で寝たり、より密なコミュニケーションができる素敵な経験です」

Kazuhiro「世界中に飲み友だちができたことが本当に嬉しいんです。リピーターとして何度か会いに来てくれるゲストもいるし、彼らが住んでいる国に出向けば、そこでまた再会できる。人と人とのつながりをより強く感じるようになりました」

旅するように暮らす日々が
あなたを待っている

お話をうかがったホストの方たちが、口を揃えて言っていたのは「空き部屋があるなら、とにかくホストを始めてみればいい」ということ。特別な資格や準備は必要ありません。誰かをもてなして楽しんでもらいたいという気持ちがあれば誰だってホストを始めることができます。

世界中を旅して周ることはできなくても、世界中を旅するように暮らすことはできるのです。その一歩はきっとここからはじまります。
旅するように暮らせるAirbnbのホスト生活、あなたも始めてみては?