みんな意外って言うけど、カセットテープは“音”が良い!

ふたたび流行っているのは知っている。CDより小さくて、本体のカラバリもたくさんあって、“なんかかわいい”っていうのもわかる。取り扱っているお店が増えて、いろんなところで目にもする。けど、結局カセットテープって、何がいいの…?流行に先駆けてカセットを取り扱ってきた東京・吉祥寺にある『toosmell records』の赤石 悠さん(32)に聞いてみました。

カセット初体験の若い子を
ニヤニヤしながら見てます

 ——いきなり聞いてしまいますが……カセット、売れてますか?

赤石:なんだかんだ、売れてきてますよ。買ってくれるのは若い子が多いかな。でも日本だとまだこれからっていう感じじゃないですかね?売っているお店が増えたから、やっと認識されてきたところじゃないかな。去年は、フィッシュマンズもライブ会場限定でカセットをリリースしていましたよね。

 ——若い世代には、カセットテープやプレイヤーは“懐かしいもの”ではなくて、まったくあたらしいカルチャーとして映っているっていうのもありますよね。

赤石:たまに「WARP」(併設されているライブハウス)にライブを観にきた高校生の子とかも寄ってくれるんですけど、カセットプレイヤーを見ても何なのかわからないみたいで。「これ何なんだろう?....でもなんか、見た目はかっこよくない?」っていうのをコソコソ話してたりして。僕はそれをニヤニヤしながら見ています(笑)。

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おなじみのジャケットも、カセットテープ規格になるとすごく新鮮。

とにかく音がいい。
これホント!

 

赤石:アメリカやヨーロッパではレコードブームに次いでカセットも主流のひとつになってきているみたいです。現行のバンドが音源を自主リリースする時もほとんどカセットです。“メディアとしてカセットテープが好き” なひとが多いんだとか。もうCDやCD-Rはほとんど売れないらしいです。

海外のレーベルは2011、2012年あたりから新作をがんがんテープで出していて。向こうではかなり浸透してきていますよね。このお店に置いているテープもほとんど海外のもの。中古もあれば、現行もあります。

 ――なるほど。結局、カセットテープって何がいいんでしょう?

赤石:僕がびっくりしたのは、めちゃくちゃ音がよくて!結構、じゃないですね、衝撃的なくらい。こればっかりは聴いてみないとわからないと思うので、お客さんにもまず直接聴いてもらっています。

CDとかスマホで聴き慣れている曲を聴いてみると、よくわかると思いますよ。ビートルズでいいですか?(といってプレイヤーに『Help!』をセットしてくれる)

 ——想像よりずっときれいな音ですね!音はあきらめているというか、音質の悪さも味…と受け入れられているものだと思っていました。

赤石:感動しますよね!? まさかここまで、とは思わないですよね。みなさん、やっぱり意外って言います。ちゃんといい音なんですよ。とにかく、まずは聴いてみてほしいですね。

洗練されたソニー
無骨なパナソニック

 ――カセットだけじゃなく、プレイヤーもいろいろと取り扱っているんですね。

赤石:はい。ほとんど海外から仕入れてますね。この迷彩の「ショックウェーブ(パナソニック)」は、今でこそオークションとかでめちゃくちゃ高くなっちゃっているんですけど、中学生のときにこれ使っていたから懐かしいですよ。デカくてゴツいですよね。一応、防水・防塵仕様になってるんですけど、実際のところはナゾです(笑)。

発売当時は「サーフィンしながらでも聴ける!」っていう触れ込みで売っていたものもあるみたいで。いや、ぜったい壊れると思うんですけど(笑)。ただ頑丈なのは間違いないですね。自分も何度も派手に落としてしまったりしたけど、まずそれくらいでは壊れることはないです。「ショックウェーブ」も「ソニースポーツ」もまずデザインがかっこいいですよね。

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左の2つが『パナソニック ショックウェーブ』、右の2つが『ソニー スポーツ』。

堂本光一くんも使ってた!?

赤石:この2つのメーカーのプレイヤーが、もうすげぇ流行ってたんです。みんな大体「ショックウェーブ」か「ソニスポ」って感じだったと思います。

 ——パナソニック派? ソニー派? みたいな。

赤石:そうそう、メーカーで使っているひとたちが分かれるんです(笑)。「ソニスポ」はB-BOYっていうか、ヒップホップ。それこそBUDDHA BRANDとかキングギドラ(現KGDR)とか、さんぴんCAMPが開催された頃(1996年)というか。その世代のリスナーの間ですごく流行っていたみたいで。俺(32歳)よりちょっとうえの世代のひとたちですね。で、その下の自分みたいな世代は「ショックウェーブ」を使っている人が多いという印象です。

 ——カルチャーが反映されているんですね。

赤石:あ、昔やっていた『ぼくらの勇気 未満都市』(日本テレビ系)っていうKinKi Kidsが主演のドラマ知っています?

 ——最近、20年ぶりにスペシャルドラマがやってましたよね。

赤石:俺、リアルタイムで観てたから、懐かしくて当時のをもう1回観返したんですよ。そしたら、ドラマのなかで(堂本)光一くんが黄色の「ショックウェーブ」使ってて!「やべぇ、『ショックウェーブ』じゃん!」ってめちゃくちゃテンションあがりました(笑)。第1話で、一瞬しか出てこないんですけど。

しかも「専用ヘッドホンまで使ってるわ!」みたいな(笑)。専用ヘッドホンがあって、それで聴くと低音のところはブルブル振動するんですよ。あの機能の必要性はよくわからないんすけど(笑)。

あなたはソニー派?
それともパナ?

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 ——メーカーによって音の違いって、あります?

赤石:『ソニースポーツ』は、すごく音が繊細な印象です。パナソニックのほうが比較的どこか粗めというか。ベースのブースト(※特定の帯域の音量をあげること)具合とかも、「とにかく上げとけ!」みたいな。“超力技”っていう感じで(笑)。

 ——(笑)それだけ聴くと、ソニーがいいように思えますが…?

赤石:でもこれ、結構ひとによって好みがあって。ソニーで聴いて、「やっぱり音がクリアで繊細だからこっちだな」っていう人もいれば、パナソニックで聴いて「粗いほうが味わい深いな」っていうひともいて。音像のダイナミックさにおいては「ショックウェーブ」かな、と。そこは完全に好みだと思います。ヒップホップとか、音の隙間が多かったりビート感の強い音楽は、カセットプレイヤーで聴くと特にハマる気がします。

お店で聴き比べもできるので、ソニーとパナソニック、どっちも聴いてみてほしいですね。

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