新常識!? 「箸袋」でつくられる日本版チップ
食事の席でつくられた箸袋の創作物をTIP(ありがとうのしるし)に見立てる試みが、いま話題になっている。
その名も「JAPANESE TIP」。
ことの始まりは、主宰の辰巳雄基さんが飲食店でアルバイトをしていたときのこと。食事を終えたお客さんが残していった、無造作に変形させられた「箸袋」がきっかけだった。食べ残しや、食べ散らかされたテーブルに日々心を痛めていたときでもあり、その「箸袋」をお客さんからの「ありがとうのしるし」だと受け取るようにしたのだそう。
「もしこれが、お客さんからのごちそうさま!ありがとう!のしるしなら片付けがもっと楽しみになるのに」。
そんな発想から、箸袋の折り紙を「JAPANESE TIP」と名づけ、広めていくことに。2012年に活動がスタートし、辰巳さんは日本一周の旅をしながら、協力店をつのり、創作物を集めたのだった。
かっこいいもの、へんてこなもの。
1万3000点の「ありがとう」
全国から集まったこれらは、すべて「ありがとう」の気持ち。自由に思いを張りめぐらせながら見てみてほしい。
創作物の正体がなんのかは・・・つくった人のみぞ知る。
ここでひとつ、「折」という文化についてふれる。
まず、「包む」ということは、日本古来から相手を尊ぶ所作として大切にされてきたもの。神への供物や贈り物を想像すると、ピンとくるのではないだろうか。そして、包んだ時に紙に折り目がつくことに着目して生まれたのが、包みを美しく折って飾る儀礼「折」。この文化は「JAPANESE TIP」と通ずるものがある。辰巳さんは、「JAPANESE TIP」を通して、“相手を大切にする心”だったり、日本の礼儀や文化を考えるきっかけがつくれたら、という風にも考えている。
“あたりまえ”はそんなに
あたりまえじゃないってこと。
海外に行くと改めて日本のお店の対応の丁寧さに気づかされる、と辰巳さん。食べ物についても、日本は食料廃棄率が世界でもトップだったり。日本人は、お店でおもてなしを受けることに対しても、好きなものを好きなだけ食べられる環境に対しても“あたりまえ”になり過ぎているのではないだろうか。
箸袋を折りながら食べ物の「ありがたみ」を感じとる。そして、おもてなしに対する「ありがとう」を表現する。気持ちのこもった「JAPANESE TIP」というコミュニケーション、あなたも今日からはじめませんか?