アメリカ移住3年。アーティスト・増田セバスチャンがいま思う“Kawaii”とは?

世界を席巻する、日本発のポップカルチャー「Kawaii」。その歴史を紐解く展覧会がこの春ロサンゼルスで開催される。

キーマンとなるのは、きゃりーぱみゅぱみゅのライブ演出や舞台美術などで知られ、原宿Kawaiiの第一人者とも言われるアーティスト・増田セバスチャン。2021年にアメリカへ移住し、去年6月には自身がクリエイティブディレクションを務める寿司レストランがニューヨークにオープンしたことでも話題に。

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代表作『Colorful Rebellion -Seventh Nightmare-』も会場に

同展「Yes, Kawaii is Art -EXPRESS YOURSELF-」は、増田氏によるLAでの初個展。2021年に大阪と東京で行われた「Yes, Kawaii is Art」をベースに、新たな作品も加わるという。

メインコンテンツは、2020年〜21年にかけて京都芸術大学の学生と共同で実施したリサーチプロジェクトの成果物。Kawaiiが世界へ広がった変遷を、戦後の少女雑誌をはじめとして相関図年表にまとめたものだ。

また、2020年の東京オリンピックイヤーに向けて実施された“Kawaiiの集合体で世界は変えられるのか?”がテーマのアートプロジェクト『TIME AFTER TIME CAPSULE』や、ベルリンのKawaiiコミュニティと共同制作したVR作品『Sense Share Bear』、世界のKawaiiコミュニティとのオンラインセッションの様子なども展示される。

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『TIME AFTER TIME CAPSULE』

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『Sense Share Bear』

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世界のKawaiiコミュニティとのオンラインセッションの様子

開催を前にしたアーティスト本人のメッセージを最後に。んー、日本にも巡回してほしい!

Kawaiiと聞いて、何を思い浮かべますか? 愛らしさや可愛らしさ。またはキッチュでカラフルで子供っぽいものでしょうか。一般的に知られているこれらのイメージは、Kawaiiのごくごく表層的な部分です。

本展で言及する「Kawaii」は、若者を中心とした大衆文化・運動体・哲学として約80年の時をかけて独自の発展を遂げた新しい価値観のこと。現在、Kawaiiは人種・宗教・性別・年齢・国境を飛び越えて、若い世代の武器あるいは防具、精神的支柱、原動力となっています。

アメリカに移住して3年。僕が目にしたのは、自由に満ち溢れた華々しい風景ではなく、経済的な格差、断絶する社会、ドラッグストアでの略奪、スクールカースト、人種/性別/セクシャリティ差別の日常でした。そんな中届いた「Kawaiiが私の精神安定剤なの」「Kawaiiがあるから今、生きていられる」…という彼らの言葉が、今回展覧会を行う理由です。

自分らしさとは何か?これからの時代をどうサバイブしていくのか?未来を生きるヒントが、ここにあります。

 

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。