旅先で集めた、世界のおいしいみやげ料理【お肉編】

聡明な女性はいつの時代も家事を合理的に再編成し、台所を賢く支配するーー。そんな切り口で1976年に刊行されたベストセラー『聡明な女は料理がうまい』より、世界の旅先で集めた「お肉」のみやげ料理を紹介しましょう。もちろん、自分なりにアレンジしてもOK!下記のレシピを参考にしてみてくださいね。

ハンガリー
「チルケ・パプリカシュ」

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ハンガリーからは、土のにおいがするような素朴なおそうざい、チルケ・パプリカシュのレシピを。ヒゲのはえたたくましいおばさんが、自分で首をしめた鶏をごちそうしてくれたのだ。

recipe/若鶏1羽をばらし、玉ねぎ1個をみじんに切り、ピーマン2個を縦割りにしてタネを除き、トマト2個をさいの目に刻み、じゃがいも3〜4個の皮をむいて四つ割りにする。深い厚手の鍋に大さじ5杯の油を熱し、鶏と玉ねぎを入れ、塩小さじ2杯ほど振りかけ、中火で20〜30分炒めてから、残りの野菜を入れ、さらに20分。じゃがいもがやわらかくなってきたら塩を足し、パプリカ小さじ3杯ととうがらし粉1つまみを入れてまぜ、さらに数分後小麦粉大さじ2〜3杯を振りかけてまぶし、じゃがいもが浸るくらいの水を注いで煮る。

イタリア
「サルティンボッカ」

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イタリアもフランスに負けない食い倒れの国だ。日本だとレストランにはいってピザやスパゲティだけ食べてもおかしくないが、イタリアではピザは立ち食いのおやつであり、スパゲティは前菜と主菜の間にはさまるスープと同格の間奏曲にすぎない。主菜として最もポピュラーなのは子牛肉で、その代表的な料理の一つ、サルティンボッカを私もよく作る。

recipe/子牛(オトナの牛でもいい)肉の薄切りをさらにたたいてできるだけ薄くのばした上に、同じくらいの大きさのロースハムの薄切りを重ね、セージの葉を入れて塩とこしょうを振り、クルクルと巻いてつまようじでとめたものを一人あたり2〜3本。たっぷりのバターでこんがりと焼いたところへ白ワインをひたひたに注ぎ、ちょっぴり煮立ててから火を弱めてふたをし、10分ほど煮る。

ニュージーランド
「子羊のキャセロール」

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国じゅうが牧場のような緑の国土に、人口の何倍もの羊が暮らしているニュージーランドだから、当然食卓にも盛大に羊が登場する。羊にヨワイ私が初めてそれをおいしいと思ったのはカンタベリー・ラムという、蜂蜜を使った子羊のキャセロールだった。

recipe/にんにくをよくすり込んだ子羊肉400グラムを一口切りにしてそのままオーブンに入れられる種類の鍋でたっぷりのバターで炒め、塩、こしょうし、大さじ1杯の蜂蜜をまぶしつける。肉がこんがり色づいたら、小麦粉大さじ1杯を振りかけ、よくまぜながらさらに数分炒め、カップの水を注ぐ。そこへにんじん2本の薄切り、玉ねぎ1個のみじん切り、おろししょうが小さじ2杯を入れて煮立て、鍋にふたをしてオーブンに入れ、1時間ほど、ラムがやわらかくなるまで熱する。

オーストラリア
「牛のしっぽのシチュー」

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カンガルーのしっぽのシチューというのは、まずこの国でしか食べられないであろう珍味だが、牛のしっぽを同じように料理してみたら、このほうが私にはおいしかった。

recipe/玉ねぎ3個、にんじん3本、かぶ3個、セロリ3本をそれぞれざく切りにし、牛脂で10分ほど炒めたところへ、2センチぐらいに切ったしっぽ1本分を入れ、10カップのブイヨンを注ぎ、ベイリーフとメースとナツメグを入れて煮立て、火を弱め、ふたをして3時間煮る。いったんさましたスープを固まった脂をすくいとってからこして鍋に戻してまた煮立て、量が足りなければ水を足し、塩とこしょうで味をととのえ、赤ぶどう酒1カップを入れて仕上げる。

エジプト
「牛肉とオクラのシチュー」

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エジプトからは牛肉とオクラ(Bamia)のシチュー。

recipe/肉はシチュー用400グラムを一口切りにし、オクラも400グラム、ヘタを除いておく。よく熟れたトマト2個と玉ねぎ1個もそれぞれみじん切りにする。厚手の鍋にバターを熱し、まず玉ねぎとにんにく1かけらをよく炒めた上に肉を加え、焦げめがついたらオクラを、さらに数分後にトマトも加えて炒めてから、ひたひたに水を注ぎ、トマトピューレー大さじ1杯と塩、こしょうを適宜入れ、一煮立ちしたら火を弱めて焦げつかないように必要ならときどき水を加えながら1時間余りコトコトと煮る。肉がやわらかくなったら塩、こしょうを足して味をととのえ、レモンの汁も半個分ほど絞り入れる。

レバノン
「イモス」

ベイルートは、飛行場のまわりの海と丘と林をながめただけで、早くも魅惑される美しい都だったのに、内戦でひどいことになってしまったらしい。心やさしいゲリラたちがときにワインをくみ交わし、Immosを食べて元気をつけるという裏街のあの小さなレストランは無事だっただろうか。
イモスは“母の乳”という意味で、子羊の肉を羊乳のヨーグルトで煮たものだ。“若いけものはその母の乳で煮よ”とかいう言い伝えがあるそうだが、日本で手にはいるヨーグルトは牛の乳だから、子牛肉を使ったイモスにしよう。

recipe/子牛肉400グラムを薄切りにして塩、こしょうし、玉ねぎ1個の薄切りといっしょにきわめてやわらかくなるまで長時間蒸す。圧力鍋があればずっと時間は短縮する。プレーンヨーグルトカップ2杯をボールにあけて液状になるまでかきまわし、卵白1個分と塩1つまみを加えて木じゃくしでたたき込むようによくまぜてから(こうしてから煮ないとしばしば熱で固まって分離してしまう)、鍋で肉と合わせ、十数分煮、塩とこしょうで味をととのえ、にんにく1かけらを刻み、バターでカリッと香ばしく炒って振りかける。このイモスに、サフランかカレー粉で色と香りをつけたサラッとした炒めごはんを添える。

フィリピン
「アドボ」

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フィリピンには陽気でもてなし好きの友だちが多いが、だれの家でごちそうになっても出てくるのがアドボという豚の角煮。

recipe/豚ばら肉800グラムほどを3センチ角のぶつ切りにして深鍋に入れ、水カップ1杯、にんにく5〜6片、しょうゆカップ1/2杯、酒と酢各大さじ2杯、チリパウダーとパプリカ各小さじ1杯を加えて強火にかけ、煮立ったら中火にして30分以上煮る。長く煮たり、煮返したりするほど味がしみておいしい。

※書籍からの引用にあたり、表現を一部編集しています。
※料理写真はイメージです。

聡明な女は料理がうまい
コンテンツ提供元:アノニマ・スタジオ

桐島洋子/Yoko Kirishima

文藝春秋に勤務の後、フリーのジャーナリストとして海外各地を放浪。70年に『渚と澪と舵』で作家デビュー。72年『淋しいアメリカ人』で第3回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。以来、メディアの第一線で活躍するかたわら、独身のままかれん、ノエル、ローランドの3姉弟を育て上げる。ベストセラーとなった『聡明な女は料理がうまい』や、女性の自立と成長を促した『女ざかり』シリーズをはじめ、育児論、女性論、旅行記などで人気を集めた。

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