仕事のミスをなくす。「絶対に忘れない」テクニック

上司からの頼まれごとを失念する…、書類をどこに置いたか忘れてしまう…。どうして自分はメモリーミス(忘れてしまう)をしてしまうのか?原因を探って対策をしたくても、具体的にどうしたらいいのか分からない、というビジネスパーソンも多いはず。

宇都出雅巳さんの著書『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』では、そもそも人間の脳自体がメモリーミスを犯しやすいメカニズムになっているので、それに合わせた対策が必要だ、と訴えています。「忘れやすい自分」とおさらばするには?

物忘れの主犯格
「ワーキングメモリ」って?

記憶についての研究が各所で進み、「ワーキングメモリ」という記憶回路が、覚えた直後に忘れてしまう原因だと分かってきました。

ワーキングメモリとは、脳のメモ帳のようなもので、情報を長期間にわたって貯蔵する「長期記憶」とは異なり、何かの目的のために一時的に貯蔵される記憶領域のことです。ワーキングメモリの容量はとても小さく、新しい情報が入ってくると、古い情報がはじき出され、その瞬間に忘れてしまいます。

 「これは大事だから覚えておこう」と注意を向け、情報をつかみ続けることは可能です。例えば「高橋工業、高橋工業、忘れるな自分!」とつぶやき続ければ忘れることはないでしょう。しかし、職場ではひっきりなしに新しい情報が入ってきます。いくら注意をしていても、不意に新しい情報が入ってくると脳は新しい情報に注意を向け、古い情報である「高橋工業」をパッと手放してしまうのです。

第一歩は、まず「今は覚えている感覚がしっかりあるけれど、この記憶を放したら忘れてしまう」と、ワーキングメモリの特性を認識することが大切です。

メモに残せば
ワーキングメモリを解放できる

よく成功者の体験談で、ふと思いついたアイデアを、紙ナプキンに殴り書きした…といった話が出てきます。たとえ紙ナプキンであっても、それを書いて残しておくかどうかは、大きな分かれ道になります。「人の記憶力は頼りないのだから、ムダな抵抗はやめなさい」という先達の教訓もあるほど、人の記憶はあてにならないのです。

メモは、物事を忘れないようにするための記憶補助ツールです。メモをとる習慣がない人からすれば、メモ自体がバカらしく、その手間を省いて作業の効率をアップしている気になっているかもしれません。しかし、メモに書かず頭で覚えようとすることのほうが、ワーキングメモリのムダづかいで、仕事に対する非効率化の原因になっているのです。

ワーキングメモリは短期的に記憶を保存するだけではありません。作業台の役割もしているので、覚えておかないといけない量が増えれば増えるほど狭くなり、複雑な情報の処理ができない状態になります。その点、メモに書き残せば、即座にワーキングメモリを解放できるので、仕事の精度やスピードはアップします。

とは言っても、相手の言葉を一語一句メモするのは時間のムダです。書くことにばかりに気を取られてワーキングメモリを消費してしまうので、肝心な話の中身を受け止められなくなります。メモは「記憶のフック」として機能すれば十分です。脳のメカニズム上、ひとことでもメモに書いておけば、よほど情報が多いか時間が経つかしなければ、芋づる式に情報が引き出せます。メモのとり方などは気にせず、習慣化してみましょう。

場所とイメージで
覚える「場所法」って?

メモの他にも、物事を記憶する方法はあります。例えば、場所とイメージの活用。人間は、あまたある情報のなかでも、場所とイメージに関する記憶を非常に得意としています。それらを活用した記憶術を「場所法」と言い、これは何かを短時間で覚えたいときに便利な手法です。

場所法 3つのステップ

1. 記憶する場所を決める。
2. 記憶したい項目をイメージに変換する。
3. 1.で決めた場所に2.で変換したイメージを置く。

記憶する場所は、あなたが歩きなれた道がいいでしょう。例えば自宅から最寄駅の駅、バス停、コンビニなどへの道。とりあえず自宅の玄関からはじめて、数個の場所を思い出してみてください。

記憶する場所を
自宅マンションの玄関→集合ポスト→マンション前の駐車場→ゴール
とします。

次に記憶したい項目を
「発注先にメール」「上司に仕事の報告」「会議用の資料作成」

これを記憶したい場所に置いていくと、
・自宅マンションの玄関で発注先へメール
・集合ポストでハガキを見ながら、上司へ仕事の報告
・駐車場の車の中で資料作成

と、このようになります。

単にイメージをその場所に置くだけでもいいですが、状況を面白おかしくしてインパクトを出すと、さらに覚えやすくなります。バカバカしく感じられるかもしれませんが、これは記憶力を競う競技でも多くの参加者が実践しているテクニックです。覚えたいことがあるときは、ぜひ実践してみてください。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。