「あの判断は間違っていた…」と後悔する前に知っておきたい脳のクセ

「ジャッジメントミス」という言葉をご存知でしょうか?判断を要する場面で、情報や経験の不足、思い込みなどによって判断ミスを犯してしまうことです。

ジャッジメントミスを少なくするために知っておきたい原因と対策が、宇都出雅巳さんの著書『仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方』にまとめられています。「なぜあんな判断をしたのだろう…」と後悔する前に、読んでみてください。

脳に存在する
「速い思考」と「遅い思考」

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私たちが何かを判断するとき、2つの思考回路を使うと言われています。ノーベル賞学者のダニエル・カーネマン博士は、その著書『ファスト&スロー』(早川書房)の中で、人が思考を巡らせるとき、脳の中では「速い思考」と「遅い思考」の2つが使われていると説いています。

速い思考は、文字通り瞬間的に行なわれる思考で、意識的な努力が不要です。例えば「1+1=?」に対して反射的に「2」と思い浮かぶなど。瞬時に答えが思い浮かぶものは速い思考を使っています。

速い思考は、計算だけではありません。初めて会った人に対して、「この人は信頼できそう」といった直感に基づく反応も、このおかげです。ただし、速い思考は記憶を頼りにしているので、記憶自体に偏りや誤りがあったり情報が不足していると、間違った判断をしてしまいます。

速い思考に対して、じっくりと判断を下すのが遅い思考。直感的に考える速い思考とは異なり、意識的かつ論理的に判断を下すときに使われます。できるだけジャッジメントミスをなくしたいのであれば、速い思考が下す判断を、遅い思考で検証するというプロセスが必要になります。

「なぜあんな判断を…」と後悔するときは、たいてい速い思考の仕業。理性的な人や自分を客観視できる人は、速い思考の判断を疑ってかかります。できればこういう人になりたいものです。

最大の
「ジャッジメントミス」とは?

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いくら速い思考を抑え込んで遅い思考で考えたとしても、少なからずジャッジメントミスは起きます。ビジネスにおけるジャッジメントミスは、主に未来予測からです。社会は実験室のように単純な世界ではなく、さまざまな人間の思惑が絡むので、完璧な判断をすることなど、無理な話。そもそも正解などないのです。

そういった意味では、人が犯しうる最もタチの悪いジャッジメントミスは、判断するときには言っていなかったのに、結果が出たあとで「あの判断は悪かった」とミスを指摘することかもしれません。結果を知っていれば何とでも言えます。

不確かな未来についてジャッジメントミスをなくすことは難しいですが、少しでも減らすための努力は必要です。

恐怖のメカニズム
「真実性の錯覚」

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「真逆に振って考える」というのは、実に単純な思考術ですが、これはジャッジメントミスを減らす強力な手段です。ただし、実際に自分の判断にあえて反対することはなかなかできるものではありません。というのも、速い思考が持つ性質から、私たちは放っておくと自信過剰になってしまう脳の特性を持っているので、そういった速い思考が「真実性の錯覚」をもたらしてしまうのです。

真実性の錯覚とは、馴染み深いもの、見やすいもの、わかりやすいものを真実だと思い込みやすい、脳が勝手に起こす錯覚のこと。それが客観的に見て正しいかどうかは関係なく、単に見やすいか、わかりやすいかで人は信じてしまいます。

真実性の錯覚は他人に対してだけでなく、自分自身にも働きます。自分が正しいと思うことを人に伝えれば伝えるほど、自分自身でもそれを強く信じるなど、自分を洗脳しているような状態になるのです。そうなると、自分の考えを否定したり、反対意見の立場に立って考えたり、反対意見を素直に聞いたりすることは難しくなります。

ここでの打開策は2つ。1つは思いっきり痛い目にあって現実を知ること。もう1つは脳がミスを犯しやすいという弱点を知ること。「今、自分はこう考えているが、人の脳はミスを犯しやすいから、どこか間違っているかもしれない」と、疑問を抱くようにするのです。そうすれば、深い思考のトラップから抜け出せるだけでなく、判断の精度も飛躍的に上がるでしょう。

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