日本のすぐ隣の地域では、毎日1万人もの子どもが家を追われている──ユニセフが明かす衝撃の事実

ユニセフが新たに公開した報告書によると、洪水や嵐、干ばつ、山火事などの気象災害により、6年間で4,310万人の子どもが避難生活を余儀なくされたという。

これはつまり、1日あたり約2万人もの子どもが避難していることになる。

世界中で起こる異常気象はますます深刻化しており、人々は“当たり前の生活”を突然手放すことを強いられている。

大規模な災害は大人であってもトラウマものだが、子どもにとってはより耐え難いこと。住宅や学校、病院などを失くすことは、教育の機会や命を救うワクチン、そして社会的な繋がりを失うことにもなる。

今回の報告書によると、2016年から2021年までの過去6年間で避難を強いられた子どもたちの半数以上(2,230万人)は中国、フィリピン、インドの子どもであることが明らかになった。

理由として、モンスーンの雨やサイクロンなどの激しい気候、そして子どもの人口が多いことが挙げられる。また「早期の警報発令」や「避難能力の向上」によって、避難できた人数が多かったということもあるようだ。

子どもが避難を強いられる理由のうち、洪水が嵐による被害が占める割合はなんと95%。原因のほぼ全てが水害であり、残る5%を山火事や干ばつが占めている。

比較的小さな島国であるドミニカやバヌアツでは特に嵐の被害が多く、ソマリアや南スーダンなどアフリカに位置する国は洪水の被害を多く受けている。

一方で、アメリカやカナダ等では山火事により81万人の子どもが避難したものの、データ分析システムを基とした「早期の警報発令」や「防災計画が整っていること」などの理由から、予め避難できていたとするデータもある。

この報告書について、ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセル氏は次のように語った。

我々は課題に対応するための手段と知識を持っているにも関わらず、行動が遅すぎます。

地域社会に準備を整えさせ、避難のリスクがある人々を保護し、住む場所を追われた子どもたちを支援するために、取り組みをさらに強化する必要があるのです。

これは、子どもたちが直面する異常気象のリスクへの危惧であり、その被害を最小限に抑えるための警鐘である。

ここ6年間で、洪水や嵐により避難を強いられた子どもは世界中に約4,000万人。水害大国である日本に住む我々にとっても、決して他人事ではありません。

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