私が、何もないけど豊かな「フィリピンの小さな島」に嫁いだ理由

「この島で彼と生きてゆけば、私は絶対に幸せになれる」

そんな直感に突き動かされ、日本での何不自由ない生活を捨て、世界最貧困レベルに属するフィリピンの小島へと嫁いだ、ふたりの日本人女性に出会った。

セブ島へ英語留学に訪れた私が、ある週末、セブ島から小舟で1時間ほどの海に浮かぶ「カオハガン島」を訪れたときのことだ。

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カオハガン島は、「何もなくて豊かな島」として知られている。海と島の幸を囲みながら彼女たちの話を聞くと、慌ただしい日本社会で心身ともに疲れた女子たちの心に、スっと染み入る言葉がいくつも出てきた。

忘れないうちに、ここに書き留めておこう。

ただ、この島に
いるだけで癒される。

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今回インタビューに協力してくれたのは、ともにカオハガン島の男性と結婚し子育て真っ最中、ヨガインストラクターのよしえさん(写真右)と、京大卒という高学歴を持ちながら、どうしてここに? というほど小さな島へ嫁いだ、ゆうこさん(写真左)。

——まず、カオハガン島にやってきたきっかけを教えてください。

ゆうこさん
「島民の家にホームステイをしながら家事や仕事を手伝ったり、子ども達とアートで交流する大学生向けのスタディツアーに参加したのが、この島との出会いでした。それまで勉強ひとすじ、いい大学に入り、周囲が期待する道をまっすぐに生きてきた私ですが、就職活動をするなかで『本当にこのまま、すんなりと日本の会社に入っていいのか。常識に囚われず、自分に合った生き方を探してもいいんじゃないか?』と悩むようになりました。

以前、叔父と叔母に教えてもらったスタディツアーのことをふと思い出して参加してみると、その魅力に取りつかれ、何度も島に通うようになりました。もっともっとこの島にいたい。そんな気持ちが高じて、ついには長期滞在を始めたんです」

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よしえさん
「私の場合は、日本で働いていた雑貨店で『カオハガン・キルト』を販売していました。『どうやら小さな島でおばちゃん達がチクチクとキルトを縫っているらしい、一体どんな島なんだろう?』と、興味の赴くまま島を訪れました。それが7年前。そして不思議なことに帰国して2年くらい経った頃、カオハガン島のことをしみじみと思い出したんですね。『日本はこんなに慌ただしいのに、あの島は、本当に時間がのんびり流れていて、いるだけで癒されたなぁ』って。

そうして何度か島を訪ねているうちに、島に住んでみたいという気持ちが膨らみました。偶然、帰国中だった島のオーナーである日本人の崎山克彦さんにお会いする機会があり、『島に住んでみたいんです』と申し出たら『え? いいよ。おいでよ〜』と、まるでお家に誘うように明るく言っていただきました。直感で生きるタイプの私は、迷うことなくそれまで歩んできた日本での人生を全部脱ぎ捨て、移住してきました。この流れが、非常に自然で。なんだか島に導かれるようでしたね」

「痛いほどの感謝」が
こみ上げてきた。

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——具体的には、この島のどんなところに魅かれたのでしょう?

ゆうこさん
「人間がとても人間らしいところです。私は昔から『何のために生きるのか?』ということに関心があって。たとえば、島のスタディツアーでは、その日の夕飯に食べる豚の命をいただく瞬間を朝に見る機会があるのですが、島民たちは日本の学生がそうしたことから目をそらし、自分の命を支えてくれている生き物への感謝を忘れていることに対して、違和感があるそうなんですね。

実際に、その日のご飯がどのようにして食卓に運ばれてくるのか目の当たりにすることで、痛いほどの感謝がこみ上げてきました。そして、こうしてたくさんの命に生かされていることが、どんなに尊いことか、理解できたのです。自分自身も自然の一部であり、限りある命を生きている。島に来て、一人一人が自分の命に感謝し、その命をまっとうする人生が、人間にとって一番良いんじゃないか? という自分なりの答えが出ました」

よしえさん
「大きな自然に囲まれている島の中で、人間や動物が調和して生きているところです。眩しく照らす太陽からエネルギーを、心地よく吹く風から癒しを、海からの恵みをいただく。それに感謝しながら、のんびりと過ごすシンプルな生活を送る島民たち。

初めて島を訪れた際に、村を散策していると、手招きされ「食べて行ったら?」と、家族団らんの食事に誘われました。竹のテーブルの上に盛られた山盛りのご飯と魚のスープ。ほんの一瞬、島を訪れているだけの旅行客をこんなにも自然に受け入れ、迎えてくれる島民の温かさに感動しました。その輪の中に入ってしまえば、もう家族になってしまったのではないかと思える人懐っこさが、今まで感じたことのない感情を呼び覚ましました。心のどこかに小さな明かりが灯ったような、とても心地よい感覚。この感覚をずっと感じていたいと願ったのを覚えています」

「夫からのアプローチで
始まりました」

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—— 島に惹かれて何度も訪れるなかで、旦那さんとはどのように出会ったのですか?

ゆうこさん
「彼がマクタン島で働いていたとき、たまたまカオハガンに帰る同じ船に乗りあわせたのが最初の出会いでした。そのとき、彼が私にひと目惚れをしてくれたのです。島でもときどき顔を合わせるようになり、あるとき、共通の友人に『ゆうこ、心を開く準備はできてる?』と聞かれ、何のことかと思ったら、彼がアプローチをしたがっていると。そこから周囲の後押しもあって、お付き合いが始まりました。大人になっても、子どものようにキラキラと澄んでいるきれいな目が、彼の人間性を表しているように感じました」

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—— そんな出会いから、どのようにして結婚まで?

「彼と同じ時間を過ごせば過ごすほど、結婚したら絶対に幸せになれるという確信が生まれました。物事をとてもシンプルに考え、周囲の人を笑わせるのが大好きなんです。ただ、国際結婚ってハードルが高いし、この島での結婚生活は想像もつかなかったんですけど、まるでそんな私を急かすように息子が私のお腹の中に来てくれて。彼との結婚を決意しました。今でもときどき、私の声ではない、息子のメッセージがふと頭に入ってくることがあるのですが、そのときは、『お母さん、どうして幸せになれるって分かってるのに、お父さんと一緒にならないの?』と言われたようでした。息子が私に与えてくれた成長のチャンスだったのだと理解しています」

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取材班が乗船した小舟を先導してくれたのも、偶然ゆうこさんの旦那さんだった。

—— よしえさんは、どのように旦那さんと?

よしえさん
「私の場合は、一番最後に旅行に来たときに友だちとして知り合ったのですが、次第に夫がカオハガンスタイルの熱烈なアプローチをしてくれるようになったんです」

—— カオハガンスタイル!?

「彼は海に潜ることが大好きなので、よく私のために貝やウニを採ってきては、おいしく調理してくれて。なんてワイルドなプレゼントなんだろうってびっくり(笑)彼は自然のなかで生きていくための術をすべて身につけているし、さらに生命力にあふれていて、当然、日本では出会ったことのないタイプ。私にできないことはなんでもやってのける彼に気づけば恋に落ちていました」

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—— よしえさんもお子さんが生まれたばかりだとか。

よしえさん
「はい。いま娘が3か月で家族3人で暮らしています。夫の実家も近くにあり、そこには父と母と兄弟の姪っ子もいるんですが、私たちの家のほうが風通しが良くて涼しいのか、段々みんなこっちに移動してきていて、大勢で半同居みたいになっちゃっているんです(笑)家族みんなでいたほうが楽しいので、私は嬉しいです!」

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島のみんなで
一緒に子育て。

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—— カオハガン島での子育てはいかがですか?

よしえさん
「私が宿泊施設の運営などの仕事をしている昼間は、家族が娘の面倒を見てくれるのでとても助かっていますね。とくに夫の母である『お母ちゃん』は子育ての先生として、とても尊敬しています。子どもの育て方をまったく知らなかった私は、お母ちゃんからすべて教えてもらいました。

日本との文化の違いもあるけど、そもそも日本での子育てについて知識がゼロの私は、この島で夫の嫁として生きていくためにお母ちゃんの言う通りに習いました。お母ちゃんの子育ての教えで最も尊敬していることは、体験に基づいた植物療法の知識。娘の体調が悪いときは、カオハガンに自生している植物を体にもみ込んでシャワーで流したり、薬として飲ませたり。子育てを自分ひとりで抱え込むことなく、家族や島のみんなが一緒に娘を育ててくれている環境は本当にありがたいです」

ゆうこさん
「そうですね、島に育ててもらっている感じです。大自然の中で島民の温かさに包まれ、子どもたちがのびのびと成長することが、これから楽しみで仕方ありません。私の義母は、子どもが9人、孫がすでに26人いて、子育てについては大ベテラン。とても助けてもらっている部分と、考え方の違いが浮き彫りになり苦労する部分があります。それでも拙いビサヤ語で夫も交えながら、私が子育てで何を大事にしたいかと伝えてきた結果、どちらも息子を心から大切に思っていることがお互いに分かり、とても良い関係で子育てができています。毎日たくさんの人に声をかけられ、私が仕事で忙しいときや疲れているときは、他の大人やいとこ、近所の人に相手をしてもらえる。そんな環境で育つ息子は、まっすぐに愛情を受け取り、人を信頼して育つはず。この環境で息子を育てられることに、最高の幸せを感じます」

もしもあなたが仕事や恋や子育てに疲れたら、カオハガン島へ行ってゆうこさんやよしえさんと潮風のなかでのんびり語り合ってみてほしい。

「◯◯しなければならない」という固定観念が払拭され、より自由に生きられるようになるはずだから。

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島の日本人オーナー・崎山夫妻と。
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カオハガン島には、観光客が長期滞在できるゲストハウスや、小さなカフェ、バーもあり、事前に予約すれば島民の家に入ってその生活を体験することができる。

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「カオハガン島 オフィシャルHP」
http://caohagan.com/「セブ社会人留学」
セブ島への英語留学と、アクティビティ&アイランドホッピングの旅をコーディネーションしてくれる留学エージェント
http://cble.jp/「islandsblue」
カオハガン島への旅のお問い合わせ先(旅行代理店)
http://www.islands-blue.com/

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