ママ達が仕事と子育てを両立できる「ノルウェーの常識」を聞いてみた

「保育園落ちた日本死ね」の匿名ブログをきっかけに、待機児童問題が一気にフィーチャーされたことは記憶に新しいですが、世界を見渡せば、日本社会が参考にしたい子育て環境先進国が多く存在しています。

その最先端を行く国のひとつが、今回私が旅をしている北欧・ノルウェー。

「ジェンダー・ギャップ指数」
世界第2位のノルウェー

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子育てと女性の働き方の問題は切っても切り離せませんが、ノルウェーは男女平等の国としても知られ、世界における男女格差を測る「ジェンダー・ギャップ指数」で第2位(世界経済フォーラム発表)に入っています(2015年時点)。

ちなみに日本は、145ヵ国中101位という不名誉な結果…。中国は91位で韓国は115位。アジアでの最高順位は、ダントツで7位のフィリピン。

ノルウェーのワーママに会いに
レトロなカフェへ

「せっかく首都・オスロを旅しているのだから、働くママに話を聞きたい!」 というわけで、カフェ「レトロリッケ・カッフェバー」(Retrolykke kaffebar)を経営する・トーニェ・ファーゲルへイムさんを訪ねることに。

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「レトロリッケ・カッフェバー」は、オスロ随一のおしゃれエリア・グリューネルロッカで2016年にリニューアルオープン。

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美味しいコーヒーをいただけるだけでなく、50年〜70年代のヴィンテージ雑貨や食器を買うこともできます。北欧雑貨好きの心をキュンキュンさせるアイテムばかり。

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こちらの女性が、オーナーのトーニェさん。20歳の男の子と12歳の女の子のママで、カフェを始める前は経営コンサルタントとしてオフィスワークをしていました。ノルウェーの子育て環境について、そしてそこから日本が学ぶことはあるのか、話を聞いてみました。

保育園(幼稚園)には
ほぼ全員が入れます

—— ノルウェーは働く女性にとって「仕事と子育て」を両立しやすい国として知られていますが、トーニェさんは、どんなときにノルウェーの恵まれた環境を実感しますか?

「まず、有給の育児休暇は9ヶ月〜1年間。職場復帰したあとも、赤ちゃんにお乳をあげる時間が1日2時間半もらえます。ほとんどの人は母乳タイムの1時間前に帰宅して母乳をあげてますね」

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—— 日本では、保育園に入れない「待機児童問題」が叫ばれていますが、なかなか善処されないのが現状です。ノルウェーではいかがですか?

「ノルウェーには保育園や幼稚園の違いはなく、働く親はほぼ全員、『barnehage』という施設に子どもを預けることができます。待機児童はいませんね。ノルウェーでは、働いていない親は珍しいです」

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—— 待機児童がいないからこそ、ほとんどの親が働けるのでしょうか。ところで日本では、出産した女性が職場復帰した場合、元のポジションに戻れないケースも見受けられます。保育園へのお迎えなどもあり、出産前のようには仕事に時間を割けないから、という理由もあるようです。

「え、それって、違法じゃないの?ノルウェーでは絶対にないです。そんな事態が発生したら弁護士沙汰ですよ。私たちの国でも、幼稚園に子供を預けられるのは4〜8時間ほどだけど、それ以上預けたい場合は『SFO』と呼ばれる学童保育を利用でき、小学生までお世話になることが可能なの。朝は早めに子供達をSFOに行かせ、そこで朝食を食べさせてもらった上で通学したり、放課後にもSFOのスタッフの方に宿題を手伝ってもらったりしています。夏休み期間中も預けられるので、ママは思い切り仕事に集中できて大助かり。ノルウェーは夏休みや冬休み以外にも、秋休み、クリスマス休みまで、とにかく学校の長期休暇が多いですからね」

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プライベート重視で残業はなし
15時半からラッシュアワー

—— ノルウェーの働くママのワークライフバランスはいかがでしょう?

「barnehageや小学校、SFOに子供を預けている時間が多い分、ノルウェーのママたちは、子どもといられる時間をすごく大切にする傾向があるわ。これは日本でも同じですよね? そして、オフィスでは基本的に残業はしません。定時になる前からザワザワと帰宅の準備を始めて、だいたい15時半くらいからラッシュアワー。電車やバスが混み始めるの(笑)」

—— 15時半!?

「それだけ家族と過ごす時間を大切にしてるってことよ。とにかく定時の16時以降は仕事スイッチをオフにして、徹底的に子どもたちと遊びます」

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—— トーニャさんは経営カウンセラーからカフェ経営へとキャリアチェンジされましたが、それで子育てと仕事の環境が何か変わりましたか?

「経営コンサルタントとして働いていた頃は、もっと労働時間が短かったです。当時は朝8時から15時半まで勤務していたけど、カフェをやっている今は、子供のひとりが成人して家を出たこともあり、朝7時半から20時半まで働いています。お店が今の場所に移転したばかりだからワーカホリックになってるけど、もう少ししたら16時には家に帰りたいかな。子供たちが小さい頃は、仕事が忙しくて子供に悪いなと罪悪感を感じる一方、オフィスでは仕事が中途半端になって、申し訳なく思っていたのを覚えています」

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—— 恵まれた子育て環境にあっても、日本のママたちと同じようにジレンマを感じるものなのですね…。仕事と家庭を両立する際には、家事の負担も大変では?外食などはしていましたか?

「外食はまずしないですね。他のママたちもそうだと思う。独身の人や若い人たちは外で食べることもあるみたいだけど」

ノルウェー男性の
ほとんどが家事を担当する

—— 旦那さんのサポートも大きいのでしょうか?

「夫と結婚して15年になるけど、彼は料理を含めて家事をほぼすべてやってくれます。心根がとっても優しくて、私が店におきたいヴィンテージアイテムの買い物をするときも、電話すればすぐに車を飛ばして駆けつけて、手伝ってくれるわ」

—— 愛されているんですね。

「そうかしら(笑)。でも、普通のことじゃない?ノルウェーの男性の99%はちゃんと家事を担当してると思う。この数字はあくまで私の予想だけど。女性が家事をしなきゃいけないっていう古い考え方は、かなり昔からノルウェーでは存在しない。私の父も家事がすごく得意だったしね」

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—— かつては専業主婦が多かったと聞いたことがあります。

「そうね。ただ、60年〜70年代に女性の権利や解放を求める社会運動が世界的に巻き起こったでしょ?同じ頃ノルウェーでも家庭内での平等を訴えて女性たちが戦って、今の環境を勝ち取ったのよ。今、ノルウェーには専業主婦ってあまりいなくて、ともすれば専業主婦ですっていうと、子育てを理由に仕事をサボっている人、みたいな白い目で見られることもあるくらい」

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—— 日本との違いを感じますね。最後に、日本のママたちに子育てのアドバイスがあればお願いできますか?

「日本はいまだにママが働くための環境や政策が整っていない状態だとすれば、安易にアドバイスをするのは難しい気がするわ。ただ、世の中に対して『私たちにはできる!社会を変えられるのよ』っていう意志と態度を、女性たちが見せていくことはすごく大事なことだと思います。そういえば、日本にはこういうシステムないのかな?ネット上でマッチングしたほかの子育て中の女性の家に、自分の子どもを預けるっていうサービス。ノルウェーには『ダーグママ』(保育ママ)っていうサービスがあって、1回7,000円くらいで利用できるからとても便利ですよ。もしまだ日本にないなら、一刻も早く作るべきね(笑)」

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インタビュー後、輝く笑顔で生き生きとカフェを切り盛りするトーニェさんを見て思ったのです。きっと子どもたちの目にも、誇りを持ってバリバリ働く素敵なママに映っているだろうと。

そして、家庭を大切にしているのは母親だけではありません。オスロで別のカフェの取材していたときのこと。インタビューに答えてくれていたオーナーの男性が「もう子どものお迎えの時間だから、行くね!」と颯爽と取材を切り上げ去ってゆきました。通訳さん曰く、これはノルウェーではごくごく当たり前の光景だそう。日本ならば、目の前の取材(仕事)を優先する人がほとんどではないでしょうか。ノルウェーと日本の子育てや家族への意識の差を垣間見た瞬間でした。

Photo by 千倉志野(Chikura Shino)
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