人気小説家が、人生のどん底で娘へ送った「1通の手紙」

「グレート・ギャッツビー」で知られるアメリカの小説家、F・スコット・フィッツジェラルドは非常に多くの手紙を残しています。その中でも紹介したいのは、ショーン・アッシャーさん編集の『注目すべき125通の手紙 その時代に生きた人々の記憶』に掲載されている、当時11歳の愛娘スコッティに宛てた手紙。

この頃、フィッツジェラルドは4作目の長編小説の執筆中でしたが、最愛の妻ゼルダは遠い異国で統合失調病の治療にあたっており、父を亡くし、生活費のために短編小説を書いたりと、何もかもうまくいかない時代でした。さらに、やっと発売した4作目の長編の売り上げも芳しくなく、酒に溺れ、愛人に養ってもらったりと堕落していくことになります。

そんな絶望的な状況の彼が、愛する娘へ贈った手紙とは?

気にすべきこと
気にしてはいけないこと
考えるべきこと

ラペ、ロジャーズ鍛冶場
タウソン、メリーランド州

1933年8月8日

親愛なるパイ

 

 勉強はどんな調子なのかとても気になっている。フランス語の読解についてもう少し詳しく教えてくれないか?お前が幸せだと聞いてパパはうれしいよ。ただ、パパは幸せというものをそれほど信じてはいない。かといって不幸を信じているわけでもない。舞台や映画や雑誌で見るものであって、実際に生きているなかで起きるものではけっしてないんだ。

 パパが信じているのは長所(自分の才能に見合うもの)に対する良い報い、それから自分の務めを果たさないことへの罰、これは二倍に高くつく。もしキャンプ場の図書館にあるなら、ミセス・タイソンに頼んでシェイクスピアのソネットを調べてごらん。こういう一節がある。「腐った百合は雑草よりずっとひどい匂いを放つ」

 今日はなんの思索もしなかった。この頃はサタデー・イブニング・ポストのストーリーを考えるだけで終わっているようだ。おまえのことを思うといつでも明るい気持ちになる。でも、今度またパパを「パピー」と呼んだらあの白猫を外に出し、お前が生意気なことを言うたびに猫の尻を6回きつく叩くぞ。それでも反抗するか?

 キャンプ代は手配しておく。
 おばかさん、これをかいたら終わりにするよ。

気にすべきこと:
 勇気を気にすること
 清潔さを気にすること
 能率を気にすること
 馬術を気にすること

それから……

気にしてはいけないこと:
 人の意見を気にしてはいけない
 人形を気にしてはいけない
 過去を気にしてはいけない
 未来を気にしてはいけない
 大人になることを気にしてはいけない
 自分より先を行く人を気にしてはいけない
 勝利を気にしてはいけない
 自分のせいではないかぎり失敗を気にしてはいけない
 蚊を気にしてはいけない
 蝿を気にしてはいけない
 虫を気にしてはいけない
 親を気にしてはいけない
 男の子を気にしてはいけない
 失望を気にしてはいけない
 快楽を気にしてはいけない
 満足を気にしてはいけない

考えるべきこと:
 自分がほんとうに目指しているのは何か
 同年代の人と次の点で比べてみて私はどうか
  (a)学識
  (b)人を本当に理解しているか、人と仲良くやっていけるか
  (c)自分の体を使える道具にしようとしているか、それともおろそかにしているか


心から愛を込めて
パパ

 

追伸 今後パピーと呼ばれたら、これからおまえをエッグと呼ぶことにしよう。人生のごく最初の段階にいるという意味だ。パパがその気になればひびを入れて割ることだってできるという意味もある。それに、おまえと同じ年の友達にパパが話したら、みんなきっと忘れないだろう。「エッグ・フィッツジェラルド」。一生そう呼ばれたらどんな気分だ?想像力豊かな子なら「エッギー・フィッツジェラルド」「バッド・エッグ・フィッツジェラルド」とか言い出すかもしれない。今度パピーと言ったら、パパは神に誓ってこれからこの呼び方をするからね。そう呼ばないようになるかどうかはおまえ次第だ。よけいな悩みなど抱えたくないだろう?

とにかく愛を込めて

どんなときでも
願うのは娘の幸せ

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愛情やジョークが感じられ、これから青春時代を迎えようとする自分の娘に大切なことを教えようとする父親の気持ちが溢れています。この手紙を受け取った娘のスコッティはその後、作家やジャーナリストとしても活躍しました。

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