「その服どこの?」が生む連帯。女子ラグビーチームがつくった「着るレポート」
英字新聞風のプリントに走るビビッドなコラージュ。
青々としたグランドに眩しい、白線のロゴ。
クールでユニークな洋服たち……じつはこれらすべて、“レポート”なんだそう。
英国初!女子ラグビーチームが製作
“着る”レポート
「Wearable Report(着るレポート)」と題されたこのコレクションは、ラグビー女子イングランド代表チーム「The Red Roses」がローンチしたもの。デザインを手掛けたのは、クリエイティブスタジオを主宰する同チームのEllie Kidunne選手。
通信会社「O2 Virign Media」、「Rugby Football Union (RFU)」、「Women’s Sport Trust(WST)」が先日発表した「The Red Roses」の知名度調査の結果をもとにデザインを考案。こうして、英国初となる着るレポートは完成した。
着ることで可視化する
男女ラグビーの「関心度の差」
イングランドにおける女子ラグビーの観客動員数は、年々増加傾向にあるが男子チームと比較すると、まだまだ国民の関心度は薄い。今回のレポートでも両者の認知度には15%ほどの開きがあることが判明した。
ラグビー界で権威ある国際大会「Women’s Six Nations」を6連覇している「The Red Roses」でさえ、国内ラグビーファンのうち63%がメンバーの名前を一人として知らない状態だという。
男女ラグビーのあいだに潜むこの関心度の大きな差を埋める手立てはなにか?コレクション製作の発端はそこにあった。
発表された4枚のTシャツと1枚のジャージに散りばめられた言葉や数字。よく見れば、報告書のハイライトを連想させるもの。報告書をそのまま伝えるのではなく、イケてる洋服として纏ってもらうことで、より多くの人に女子ラグビー界の抱える課題を知ってもらおうという狙いだ。
ちなみに各コレクションに印刷されているQRコードを読み取ると、報告書のインフォグラフィックにアクセスできるだけでなく、「The Red Roses」の試合日やソーシャルメディアも確認できる設計らしい。問題を周知させるだけでなく、新たなサポーターを獲得するための仕掛けも抜かりないなんて、まさに“ナイストライ”。では?
「着るレポート」は、9月9日から「O2」と「Virigin Media」の利用者を対象に限定販売されている。ローンチを発表したKiddune氏の投稿には、「全部ほしい!」、「最高すぎる!」といったコメントが多く寄せられている。
「その服かわいい!」から広がる連帯が、現状打破のタックルとなることを願って。