なぜ、女性は夏場のオフィスで「厚着」をするのか?
夏もいよいよ本格化。全国的に猛暑日が続くなど、体調管理には細心の注意を払いたいところです。
さて、そんな暑い夏なのに、あなたの職場には異様な光景が広がっていませんか?そう、多くの人が寒そうにカーディガンを羽織っているのです。しかも、なぜか「女性」ばかり。
そのからくりの一部が「TakePart」のこの記事に掲載されているので、ご紹介します。
職場のエアコンの設定温度は、男性に合うように設定されていたことが判明した。
うだるような暑さが連日続き、過去最高温度を記録しそうなこの夏も、ロサンゼルスはサンドレス、短パン、タンクトップ、サンダル姿の女性で溢れている。
そんな中、Nicole Smith氏は長ズボンにパーカー姿。ロサンゼルスを拠点とするオーディオ会社でインターン中の彼はこう話す。「オフィスがとにかく寒いんです。外がどんなに暑くても、社内ではパーカーを羽織ります。“モコモコの”靴下を履くことだってありますよ」。
多くの女性にとっては、夏でも冬用のジャケットやスカーフを職場に持っていくことは、ごく自然なこと。ある最新の研究で、オフィスを女性が寒く感じるのは、エアコンの設定温度に秘密があることが分かった。実は、エアコンの温度は、男性にとって調度いいと感じられる設定になっていたのだ。
40歳で約70kgの
スーツ着用男性がスタンダード!
この研究結果はNature Climate Changeで発表された。米国の一般的なオフィスのエアコンの温度は、1960年代に、40歳で約70kgの男性がスーツを着たときに快適に感じられるように設定されたらしい。この基準は、女性の新陳代謝率を最大で35%も高く過大評価されている可能性がある。女性と男性とでは新陳代謝率やカラダの機能が異なるのに、この過大評価により、女性は寒く感じるというワケだ。
男性と女性の間で「暑い!」「いや、寒い!」とエアコンの温度調節に関して行われてきた長きに渡る戦いは、エアコンの設定温度を「自動」にすれば終わりにすることが出来そう。それだけではなく、オフィスのエアコンの温度を調整すると誰にでもメリットがある。アメリカでは、ビルのエアコンが排出する炭素が全体の40%にも上り、毎年、100万トン近くの炭素が排出されている。しかし、エアコンの温度を自動運転で設定するだけで環境に優しくなるのである。
地球に優しくなることは、自分たちの未来が明るくなるということだ。そして、女性の要望に応えることは、多様な意見を平等に受け入れるということ。同じ仕事をして、同じ給与をもらっているのだから、当たり前のことだろう。
もちろん
筋肉量や体毛の差も!
新陳代謝率だけではなく、他にも女性が男性よりも温度に敏感な理由がある。コーネル大学の人間工学を研究するAlan Hedge教授はこう話す。「男性は女性よりも筋肉量が多いため、暑さを調整する能力が高い。また、女性は男性よりも体毛が少なく、服装も男性と女性では大いに異なる。女性は男性よりも、涼しげな服装を夏に着ることが多い」。
温度によって仕事の効率が変わるかどうかを測定するソフトを開発したHedge教授によると、昔はオフィスにいるのは男性のほうが圧倒的に多かったが、現在では女性も活躍している会社が多い。職場の半数が女性だとして、その女性たちがみんな寒いと感じていたら仕事の効率は下がってしまう、ということだ。彼は言う。「室内の温度が20℃の場合、24℃の時よりも仕事の効率が下がる」
職場の効率を上げるにはどうしたらよいのだろう?その答えは、ただ、設定温度を上げればいいのだ。
Hedge 教授と同様の研究をしたBoris Kingma氏はこう述べた。「ビル全体をキンキンに冷やさないことで電気の節約にもなり、必要としている場所にスムーズに冷気を送ることができる」。
設定温度を上げることにより、今度は「暑い!」という意見が出てくることが考えられるが、それには日本政府が推進している「クールビズ」で対応すればよいとHedge教授は意見を述べた。エアコンの設定温度を上げ、ネクタイをしない涼しい服装をよしとする政策だ。「企業は地球の未来のため、そして電力を節約するために、エアコンの設定温度を24℃前後にする必要がある。もしそれで暑いと感じる場合には、涼しい服を着ればいい」。
Licensed material used with permission by TakePart(Ali Swenson)