「次代のヴァージル」は、ロンドンから生まれるかも
昨年逝去した、ファッションデザイナーのヴァージル・アブロー。
生前、彼はデザイナー/クリエイターとしては勿論、次世代の才能を育てる「教育者」としても積極的に活動していた。
その遺志を称え継承すべく、ロンドンの国立美大「The Royal Collage of Art(RCA)」が「RCA Virgil Abloh Scholarship=ヴァージル・アブロー奨学金」と呼ばれる新しい奨学金制度を発表した。
これは、RCAに通う英国籍の黒人生徒を対象に、授業料の全額を、最大3万5千ポンド(およそ580万円)まで支給するというもの。
優れた才能を持っていながら、経済的な問題で専門的な授業を受けられない人に「平等な教育」の機会を提供する制度だ。
ファッション、テキスタイル、プロダクト、サービス、モビリティなど、RCA内すべてのデザイン学科に適用される。
さらに、国内のファッションデザイナーやクリエイターによる支援を受け、業界へのコネクションを築くことができるプログラムも用意されているそう。
アート・デザイン関連の奨学金はたくさんあるが、黒人の才能にフォーカスしたプログラムは革新的で、ヴァージル・アブローという天才が世界に遺したものの大きさを示している。
世界が、黒人の才能を必要としている証拠でもある。
なお、ヴァージルはアメリカ出身だが、かつて客員教授として教鞭を取るなど、RCAとは深い関わりを持っていた。
彼自身がファッションにとどまらず、DJやアート等多岐にわたって活動をしていただけに、RCAの全学科に制度が適用されるのは納得。
マルチに活躍する天才=“次なるヴァージル”と呼ばれる新生黒人クリエイターは、イギリスから排出されるかもしれない。
制度は来年から適用される予定。新たな才能の発掘に期待したい。
Top image: © Stephane Cardinale - Corbis/Corbis via Getty Images