ルイ・ヴィトンより、ヴァージル・アブローのラストコレクションが公開
先月、41歳という若さでこの世を去ったファッションデザイナーのヴァージル・アブロー。
訃報の2日後、追悼の意を込めて、彼が手掛ける最後のコレクションがルイ・ヴィトンより発表された。
タイトルは、『Virgil Was Here』。
その言葉を胸に刻むように、コレクションは“ヴァージルらしさ“に溢れたものだった。
会場のマイアミ・マリーン・スタジアムには巨大なヴァージルの像が立てられ、その目線はLVロゴのついた赤い気球へと向かっている。
気球や黒い紙飛行機のような「フライト」を表すモチーフは、“永遠の憧れ”を象徴し、飽くなき想像力を促すメッセージの込められたものだそう。動画冒頭の少年が気球へと走っていくシーンは、まさしくそのメッセージを表している。
ヴァージルがよく用いていた「フライト」モチーフの数々、そして会場全体を照らすレインボーのライト。これらは生前の彼のコレクションを想起させる、まさに“ヴァージルらしい”ディレクションだ。
このコレクションは、既にパリで公開されていた22年春夏コレクションに、新たなルックを加えた“スピンオフショー”としてマイアミで開催されたもの。
ビビッドな色使いやタイダイなど、ヴァージルを象徴する華やかなルックの数々。
加えて今回は、彼が長年継続してきたナイキとのコラボアイテムや新作のバッグなども登場し、ヴァージル・アブローを振り返る集大成にふさわしいショーとなっている。
フィナーレでは、ヴァージルと共に働いてきたアトリエのスタッフたちが登場。スタンディングオベーションのなか、抱き合ったり、涙ぐむ人の姿も。
満開の花火で空は埋まり、「Virgil was here」の文字でショーは幕を閉じる。思わず「Virgil is here」と返したくなるほどに、まるでそこにヴァージルがいるかのようなコレクションだった。
若くして旅立った稀代の天才ヴァージル・アブロー。その美学と哲学が、服飾史に語り継がれ、新たなクリエイティビティへとつながることを願いたい。