「気が多い女の子」の深層心理
だって、本気で好きなひとばっかりに
一生懸命になってると
苦しいしつかれちゃうけど
他にも逃げ場があれば
よゆうができて楽じゃない
『短編集(飛鳥新社)』魚喃キリコ
漫画『短編集(飛鳥新社)』に登場する女の子が言っていたセリフです。最近、はじめてこれを読んで、ふと、ある出来事を思いだしました。
わたし、気が多い女の子を
やってみたことがあるんです
経緯を説明しますね。
20歳のころ同棲していたカメラマンの彼がすごく浮気症で。「作品のため」って言って、よくほかの女の子と遊んでたんです。わたしは「作品のためならしょうがないのかなあ、我慢しなきゃ」と思って、「やだ、行かないで!」って本音をグッとこらえながら、いつも笑顔で送りだしてました。だけど、とっても辛くて、その辛さをどこにも発散できなくて、自分の中に溜め込んでいくうちに、おかしくなっちゃって。
いろいろ端折りますが、しばらくして彼とは別れました。
ただ、その後、好きなひとができたんですけど、何かうまくいかないことがあったときに、またおかしくなっちゃうのが怖くて怖くて、いわゆるキープが欲しいなって思ったんです。
で、確保しました。
好きなひとに会いたいけど会えない、そういう日に会ってくれるひとを。「わたしのどこがダメなの?」とかいうネガティブな考えを巡らせずにすむ、気を紛らわせてくれるひとを。
苦しくてつかれちゃうのは
もういやでした
冒頭のセリフにあるように、本気で好きなひとばっかりに一生懸命になって、苦しくてつかれちゃうのは、もういやだったんです。健やかな毎日が過ごしたい、ただその一心でした。
でもね、しばらくそれを続けているうちに、たったひとりの好きなひとを想いながら、好きでもない(嫌いでもないけど)相手と一緒の時間を過ごすことに虚無感を覚えてしまって。
気が多い女の子、あっけなくやめました。
本気で好きなひとばかりに一生懸命になるのはやっぱり苦しくて、いまも傷ついたりしてるんだけど。案外すぐに立ち直れるんです。立ち直るのが上手になったっていうか。きっと、一度どん底に落ちたおかげで、耐性ができたんだろうなあ。