YouTubeの低評価数非表示が意味すること

今月10日に発表されるなり、社会に大きな衝撃を与えたYouTubeの低評価数非表示

目的は非常に明確で、クリエイターを嫌がらせから守り、メンタルヘルスへ悪影響を及ぼすのを防ぐこと。

また、小規模なクリエイターを対象に散見された、“低評価爆撃”(狙った動画の低評価数を不当に稼ぐこと)のようなハラスメント行為を防止することにも繋がる。

今年前半にYouTubeは、試験的に低評価数を非表示を施行。結果としてハラスメント行為の減少が確認できたため、全体での実装へと踏み切ったとのこと。

近年、ハラスメント対策はYouTubeに限らずSNS各社が取り組んでいる重要課題であり、直接的にクリエイターを保護できるこの施策には、一定の効果が期待できそうだ。

さて、一見すると良い効果ばかりに思えるこの施策だが、同時に懸念点も指摘されている。

まず挙げられているのは、「動画の質を判断する最も単純な基準がなくなる」ということ。上記のように不当にかさ増しされている場合もあるが、もちろんそれは一部の話。

正当に閲覧された状態で低評価が多かったものは、オーディエンスにあまり刺さらなかったということ。

これを吟味してコンテンツの質を向上させることは、クリエイターがオーディエンスに寄り添う手段の一つであり、完全に非表示となるとその指標が失われてしまうことになる。

また、いわゆる“炎上商法”“黒歴史”といったネタ的な扱いをされていることも多く、一部のクリエイターにとってはむしろ痛手となっている例も。

日本でも、有名ユーチューバーを中心に「正直、少しつまらない」といった意見が見られた。残された批評機能であるコメントから評価を読み取るのは手間がかかるし、なによりそれこそメンタルに負荷がかかるもの。

難しい「質の向上」「メンタルの保護」の両立。

すべてのSNSがこの問題に直面しているいま、正しい施策とはなんなのか。この議論が実を結び、いつかクリエイターが無理をせずにオーディエンスから評価を受けてレベルアップできる日がくることを願いたい。

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