『SATC』のパトリシア・フィールド、80年代からのアートコレクションが一挙公開

映画『プラダを着た悪魔』や『セックス・アンド・ザ・シティ』で衣裳デザイナーおよびスタイリストとして活躍し、最近はNetflixドラマ『エミリー、パリへ行く』でも知られるパトリシア・フィールド。

じつはアートに造詣が深い彼女が半世紀をかけて収集してきたコレクションを紹介する「ハウス・オブ・フィールド」展が、山梨県・小渕沢「中村キース・ヘリング美術館」にて、今月上旬より開催されている。

©中村キース・ヘリング美術館

パトリシア・フィールドはニューヨーク生まれ。

24歳の時にオープンしたブティック「パンツ・パブ(のちに自らの名を冠したパトリシア・フィールドに改称)」には、壁やショーウィンドウ、試着室の扉まで店中にアートが飾られており、というのも彼女は作品を買い、展示することでアーティストたちを支えていたそう。

そのブティックを拠点として、移転を繰り返しながらも形成してきたコミュニティの名前こそが、今回のタイトル「ハウス・オブ・フィールド」である。

ブティックは2016年に惜しまれながら閉店となり、中村キース・ヘリング美術館で主要作品約190点が収蔵されることに。

今回は、コレクションのなかから日本初公開作品を含むペインティングや写真、オブジェなど約130点が、80年代以降ニューヨークのナイトライフを記録し続ける写真家ティナ・ポールの写真とともに紹介される。

©中村キース・ヘリング美術館

マーティーン、《カット・アウト・ガール》
制作年不詳、76.3 × 216.9 × 2.0 cm

©中村キース・ヘリング美術館

スザンヌ・マルーク、《演説家ーマルコム・X》
1984年、127.5 × 138.5 cm

©中村キース・ヘリング美術館

リチャード・アルバレス、《無題》
制作年不詳、50.0 × 337.5 × 0.9 cm

©中村キース・ヘリング美術館

ポール・チェルスタッド
《ボールルーム・ペインティング・シリーズ》
1988年、229.0 × 489.1 cm

©中村キース・ヘリング美術館

スーザン・ピット、《ジョーカー》
制作年不詳、235.4 × 184.8 cm

会場は、ネオンサインやマネキンなど、実際に使われていた小道具を配置したインスタレーションによって、ハウス・オブ・フィールドの個性豊かな人々とアートであふれたブティックの雰囲気を再現。

ダウンタウンのクラブやアートシーンを記録したビデオグラファー、ネルソン・サリバンによる80年代中期のブティックの映像も常時放映され、パトリシア・フィールドやスタッフ、買い物客らの会話を聞きながら作品を鑑賞できるという。

©Tina Paul

ちなみに「ハウス」とは、1970年代以降のニューヨークのアンダーグラウンドシーンにおいて、とくに黒人やラティーノのLGBTQ+コミュニティで使われてきた、“従来の枠組みに囚われず生活を共にする集団がその結束を示す”ことを意味する言葉。

“自分らしく生きることとは何か”を問いかけてくるような総じてパワフルな作品たちを、ぜひ実際に見に訪れてみて。

会期は来年5月6日(月)まで。

『ハウス・オブ・フィールド』

【会期】2023年6月3日〜2024年5月6日
【会場】中村キース・ヘリング美術館(山梨県北杜市小淵沢町10249-7)
【公式サイト】https://www.nakamura-haring.com/

Top image: © 中村キース・ヘリング美術館
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。