「生きにくさ」を感じる人へ。悩みは思考との付き合い方で解決できる。
幸せを生む材料は、日常の中に無限に散らばっています。ただ、日常生活では様々なことに気を取られて悩み、その幸せに気づけないこともあります。しかしその悩みの中には、思考との付き合い方を変えれば解決するものもあります。自著『真夜中の幸福論』より、ぼくが実践している方法を紹介しましょう。
01.
「時間がない」と感じるなら、
時間を「深く」していく
「仕事と家庭を両立させながら、自分が自由に使える時間、ひとりの時間をつくるには、どうしたらいいでしょう?」
よく受ける質問です。これに対するぼくの答えは決まっています。意識の上で、時間のとらえ方を変えること。限られた時間に深さを加えていく努力をすることです。深さとは、「瞬間に対する緊張感」のこと。時間の「濃度」や魂の「温度」と言い換えてもいいかもしれません。
では、時間を深くしていくには、どうすればいいのでしょうか。仕事と家庭以外に自分の時間がほしいと願う男性なら、家庭で奥さんに注ぐ愛情を十倍に増やすことです。花を贈るとか、奥さんに代わって家事をするとか、マッサージをしてあげるとか、かたちにして愛情を伝えるのです。そのうえで、「こういう目的があるのでひとりの時間を持ちたい」と伝えれば、きっと相手は納得するはずです。
02.
「生きにくい」と感じるときは、
「荷物」を置いてみる
もしあなたが、「どうも生きづらい」「意思がなかなか行動に結びつかない」と感じているとしたら、背負っているものが多すぎるのでしょう。目に見えない荷物(=とらわれている価値観、人、もの)が多すぎるのです。
たとえば家族関係。ぼくは、人が苦しむ原因の多くが、家族関係に置けるコンプレックスからきているのではないかと思っています。それは、家族が自分に敵対したり、害をなしたりするというよりも、善意からくる行為であることが多い。それでも、間接的に人を苦しめて、多い荷物になってしまうこともあるのです。
たとえ苦しみの原因が家族であっても、一度その荷物を置いてみる。いったん連絡をたつなどして、自分の内面で「自分と家族というものは、まったく別の存在である」という原則を、きちんと見つめることが必要だと思います。
03.
やるべきことがありすぎるなら、
物事を「縦」で考える
やるべきことが常に100個くらいあったり、会いたい人がいるのにいろいろな都合で違う人たちと会っていたり。そういう理想と現実のズレは苦しみの根源となります。
そういうときは、横並びになっているものを「縦」にして考えること。つまり、常に優先順位を考えよということです。ありきたりですが、自分にとっての基準がないと優先順位は決められません。
優先順位を決定する要素を突き詰めていくと、最終的には「自分がなんのために生きているのか」という根本的で抽象的な問いにたどり着きます。日常生活の中でこういった抽象的なことを考える機会はあまりないかもしれません。しかし、それを考えないと、判断がぶれていってしまうのです。
04.
ネガティブな感情に襲われたら
専用の「置き場」をつくる
思考、言葉、行動といったものは比較的、顕在意識によってコントロールできますが、不安などの感情は、おもに潜在意識が支配しています。それはしかたがないことだと思っているかもしれません。でも、本来ぼくたちは、この潜在意識の領域をもコントロールできる力を持っているはずです。
自分の中にネガティブな感情がある時は、「ネガティブな感情がそこにあるんだね」と、意識して存在を認めてあげるだけで、自然に消えていきます。感情の乱れをゼロにすることはできません。しかし、穏やかな状態を早く取り戻すように、考え方を変えることはできます。
05.
「生産性が悪い」と感じるなら
潜在意識をコントロール
ぼくは、夜寝る前に、やるべきことを自分に言い聞かせるようにしています。企画のように思考や発想が要求されるものは、夜は効率が悪いから考えないで、その代わり寝る前に潜在意識に言い聞かせることにしています。
「寝ている間に作業しておきなさい」と。
そうやって言い聞かせて寝た後の朝は、本当に生産性が高い。夜だったら、3時間も4時間もかかったようなことが、20分もかからずにできたりします。少なくともぼくの場合はたいへん効果があります。
騙されたと思って試してみてください。試すだけの価値はあると思いますよ。
『真夜中の幸福論』
コンテンツ提供元:ジョン・キム