【特別対談】イチロー×豊田章男社長 「成長するということ」

マイアミ・マーリンズに所属するイチローとトヨタ自動車の豊田章男社長。フィールドこそ違えど、ともに世界を相手に戦う両者の対談が実現した模様です。

今回は計10回に分けて配信された映像のうちのひとつをピックアップしてご紹介。テーマは「成長するということ」。さまざまな記録を塗り替え続けてきたイチローの“成長”の捉え方とは一体?

「自分が成長していると感じたことはない」

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豊田 以前、私がイチローさんに教えていただいたこと。それは結果が良くても悪くても、毎年自分を変えていくということ。必ずしも良い結果には結びつかないけれど、それでも変える。そうすれば、長い目で見るとずっと成長し続けられるとおっしゃっていましたよね?

イチロー まず、自分が成長していると感じたことはないと言ってもいいかもしれません。もう少しかみ砕いて言えば、成長できるとするなら、後退もしなければいけないという考え方です。前だけを向いて前進するということはありえません。でも、前に進めることを信じて変えていく。

豊田 はい。

イチロー 後から見ると前に進めているとは言えなかった。でも、あの経験が今の自分を作っている。そういうことは多々あると思います。だから、自分が成長していると実感することは、なかなかないのかもしれないですね。「あいつは昔と比べて成長しているな」ってことは、他人が決めることなんじゃないかなと思います。

「限界を決めていないからこそ、まだできるんじゃないかと思える」

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豊田 あとはご自身が、ターゲットを設定していないんでしょうね。

イチロー そうですね。漠然としたものしか持っていない気がします。

豊田 自分で自分の限界を決めていない。

イチロー そう言っていいと思います。

豊田 限界を決めていないから、「まだできるんじゃないか」「何とかできるんじゃないか」と絶えず思い続けられる。おそらく、我々の業界でいうところの「カイゼン」のようなものなんでしょう。

イチロー はい。

豊田 イチローさんの話を伺っていると、自分が漠然と考えていたことを「こうだ!」と解説してもらっているような気がします。

イチロー 勘弁してくださいよ(笑)。

豊田 いやいや、本当に。今の成長の話もそうですよ。私はいろいろなところで「成長し続けるんだ」と言うことがありますが、さきほどおっしゃった「後退するときもある」という話は、本当にグサッと心に刺さりましたね。


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Licensed material used with permission by トヨタ自動車株式会社

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