コスメトレンドは「賢い投資」時代へ。自分を変える戦略的コスメ選びとは？

物価高騰が私たちの金銭感覚に大きな影響を与えている。そんな時代だからこそ、自分への投資は賢く、そして最大限の効果を得たいと誰もが願うだろう。

2024年のコスメトレンドを紐解くと、そんな「賢い消費者心理」が如実に表れた一年だったと言えるかもしれない。

「@cosmeベストコスメアワード2024」レポートによると、2024年のコスメ業界は、例年以上に変革の年だったようだ。総合上位10商品中、7割を新作コスメと韓国コスメが占めるという結果が出ている。

これは過去のベストコスメアワードの歴史を振り返っても前例のない、快挙と言えるのではないだろうか。長引く物価高騰の影響を受けながらも、消費者の「新しいコスメとの出会い」を求める熱意は、決して冷めていないことが証明された。

では、なぜ新作コスメと韓国コスメは、こんなにも消費者の心を掴んで離さないのだろう。その背景には、コロナ禍で自粛を余儀なくされたリアルイベントへの回帰があると推測できる。

なかでも、注目すべきはポップアップイベントの存在。@cosmeのクチコミデータでは、「ポップアップ」というワードの出現率は前年比で2倍に増加。実際に商品を手に取り、ブランドの世界観に没頭できるポップアップイベントは、消費者の購買意欲を刺激する「運命の出会い」を演出しているのかもしれない。

物価高の影響で消費行動が変化するなかでも、揺るぎない人気を誇るのが「ベースメイク」。同レポートによると、総合上位10商品中の半数をベースメイク関連アイテムが占めており、その数は2023年と比較しても圧倒的に増加している。

2024年夏を振り返ると、記録的な猛暑が私たちの記憶に新しい。ユーザーアンケートでは、73%もの人が「今年の夏の暑さは化粧品選びにも影響があったと思う」と回答し、「暑さ対策のできる化粧品に投資したいと思う」と回答した人は69.1%にも上った。

真夏だけでなく、春先から秋の終わりまで厳しい暑さが続いたことで、ベースメイクの重要性を改めて認識した人も多いのではないだろうか。

今回のベストコスメアワードで、年間総合大賞に輝いたのはアテニアの「スキンクリア クレンズ オイル アロマタイプ」。クレンジングオイルが年間の総合大賞を受賞するのは、今回が初めてである。

この商品のヒットの要因は、高機能かつ手に取りやすい価格設定だけではない。同レポートでは、「詰め替え不要のエコパック」の採用も支持を集めた理由として挙げている。@cosme TOKYOでは、このエコパックの売上が前年同月比で約2倍に伸長しているというデータも。

環境意識の高まりはもちろんのこと、ユーザーの「詰め替えが面倒くさい」という正直な気持ちに寄り添った商品設計が、多くの共感を集めていると言えるだろう。

「面倒くさい」という感情に寄り添うことは、忙しい現代人にとって重要な要素。クチコミデータでは、“ズボラ民”というワードの出現率が前年比で1.4倍、3年前と比較するとなんと5.1倍にも増加している。これは、まさに「面倒くさいことはしたくないけれど、キレイでいたい」という正直な心の表れと言えそうだ。

今年のコスメトレンドを総括すると、「賢く投資し、最大限の効果を得る」という消費者心理が見えてくる。品質・価格・機能性など、あらゆる面から「本当に必要なもの」を見極める目が、これまで以上に重要になっていると言えるだろう。

2025年はこのトレンドを踏まえながら、自分にとって本当に必要なコスメを見極め、「新しい私」に挑戦してみてはどうだろう？