“キッズメイク”が当たり前になりつつある現実。美容皮膚科の調査による、小学生のメイク事情

小学生がメイクをする。SNSや動画サイトでそんな光景を目にすることも、もはや珍しいものではなくなった。自己表現の一つとして子どもの世界に広がるメイク文化。

しかし、その成長を喜びたい気持ちとは裏腹に、親としては「肌への影響は大丈夫だろうか」という一抹の不安がよぎるのではないか。

美容皮膚科『リゼクリニック』が小学生の女子を持つ母親500名に行った調査から、現代の親子が直面する美容のリアルな実態が見えた。

“キッズメイク”が当たり前になりつつある事実。
肯定と不安が交差する、親たちの本音

調査結果が示すのは、想像以上に進んだ子どものメイク事情だ。

小学生の約6割(57.8%)がすでにメイクを経験し、約8割(79.2%)が興味を持っているという。さらに驚くべきは、子どもから「メイクしたい」と言われた際、母親の約8割(77.8%)が肯定的に捉えているという事実。子どもの「好き」を応援したいという、現代の親の柔軟な姿勢がうかがえる。

しかし、その一方で、同じく母親の8割以上(81.8%)が「子どもの肌への影響に不安を感じる」と回答。この数字は、子の気持ちを尊重したいという建前と、健康を心配する本音との間で揺れる親の複雑な心情の表れだろう。

© 医療法人社団風林会 リゼクリニック

実際に、メイクをしている子の4割以上(44.6%)が「しっかり落とせていない」というデータもあり、その不安が決して杞憂ではないことを物語る。

大人の常識が通用しない?子どもの肌が持つ危険性

では、具体的に何が危険なのか。リゼクリニックの赤岩優妃医師は、子どもの肌の特性について警鐘を鳴らす。

大人の肌に比べ、子どもの皮膚は薄くバリア機能も未熟。そのため、化粧品の成分によるかぶれやアレルギー反応といった肌トラブルを起こしやすいという。特に、二重のりやアイシャドウといったアイメイクは、刺激に対して非常に敏感な体で最も皮膚が薄い部分に使うため、安易な使用は避けるほうが好ましい。

加えて、子どもは化粧品に関する知識が不足している点も大きな懸念材料。

肌に異常が出ても気づかなかったり、そもそもメイクを落とす必要性を知らなかったりするケースも少なくない。楽しいはずのメイクが、将来にわたって肌を傷つける原因になりかねないのだ。

美容リテラシーの育て方。ルール作りと対話が、子どもの未来の肌を守る鍵

親はどう向き合うべきなのだろう。

赤岩医師は、メイクを禁止するのではなく、親子でルールを作り、安全に楽しむためのコミュニケーションが重要だと語る。どんな製品を選ぶか、メイクをする時間や場面、そして何より大切な「正しい落とし方」とスキンケアについて、親子でしっかりと話し合う必要がある。

また、SNSに溢れる情報を鵜呑みにしないよう教えることも、現代の親が果たすべき役割の一つ。

今回の調査で「こんな大人になってほしい著名人」の1位に芦田愛菜さんが選ばれた背景には、うわべの美しさだけでなく、知性や健やかさを願う親心も含まれていそうだ。

子どもの「やってみたい」という気持ちを尊重しつつ、その未来の肌と心の健康を守る。そのために必要なのは、正しい知識に基づいた親子間の対話だ。

© 医療法人社団風林会 リゼクリニック

調査結果:

【小学生(女子)の子をもつ母親500名に聞く「子どものメイク・親の心情」アンケート調査】(『リゼクリニック』調べ)より

Top image: © 医療法人社団風林会 リゼクリニック
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。