35年で11回引っ越してわかった、住まい選びのコツ
フリーランサー/コラムニスト
「住まい」の話をするとき、賃貸と購入はどちらが得かであったり、インテリアやリノベーションの仕方についての話になることが多いもの。しかし、世界がつながり始めたいま、もっと根本的なこと考えるべきではないでしょうか。「住まいのあり方」について、もう一度考える時期にさしかかってきたのかもしれません。
今回は、独自のノマドライフを送る安藤美冬氏に、「住まい」を中心としたライフスタイルの変化について話を伺いました。環境を積極的に変えることの重要性を学んでみませんか?
人間が変わる方法は、たった「3つ」しかない
――安藤さんというと「ノマドワーカー」のイメージが強いと思うのですが、昔からそういった働き方をされていたんでしょうか?
安藤 今では世界を旅しながらのノマドワーク&ライフスタイルを送っている私ですが、元々こんな生活をしていたわけではないんです。24歳で社会人になり、初めての一人暮らしを経験したことから、いろんな街に住んでみたいなと思うようになりました。
35年生きてきて、これまでに11回くらい引っ越しをしてきました。その内の5、6回は20代です。当初は言語化できていなかったんですが、何となく住まいを変えることの効用を感じていたんですね。
そんなあるとき、日本を代表する経営コンサルタントの大前研一さんの言葉に出会ってハッとしました。それは人間が変わる方法は3つしかないというもので、ひとつ目は「時間配分を変えること」、2つ目は「住む場所を変えること」、そして3つ目は「付き合う人を変えること」です。
これまで「スケジュールをしっかり管理しなさい」であったり「人脈を広げなさい」「人を大事にしなさい」といった教えは多々ありましたが、「住む場所を変えなさい」という視点は初めてで新鮮に感じました。住む場所を転々としていたことに、大前研一さんの言葉を借りて、ようやく理由付けできたんです。私が真剣に「住まい」について考え始めたのはこの頃からですね。
自発的な引っ越しが、自分を変える「転機」になる
ーー自発的に住まいを変えることに、安藤さんはどんな意義を見出したのでしょうか?
安藤 住み方・暮らし方を変えるということは、ひとつの「転機」をつくりだすことになると思っています。転勤が決まったとか子どもが生まれたという理由で住み方を変えるのは、外部要因によるものですよね?私は、そこに住むことによって自分がどう変われるのかをイメージすることが重要だと思っているんです。
更新期間が2年だったとしたら、2年後にはこんな仕事を、こんな人と、こんな場所で、こんな服を着て、こんな会話をしているといった具合に細かく思い描いていくんです。そうやって先んじて行動することで自発的に転機をつくり出せるんですね。
住まいであれ何であれ、「楽しい」という感情は大事。お金がなくて仕方なく…といったネガティブな理由があるかもしれませんが、もっとポジティブな選択をしてみようと伝えたいんです。
住まい選びで何を重視するか。私は「機動力」を選んだ
ーーポジティブに住まいを選んでいれば、そこで得られるものも多いでしょうね。ところで安藤さんは、住まい選びで何を重視しているのでしょうか?
安藤 私、以前はタワーマンションに住むことに憧れていました。でも、タワーマンションの高層階に住んでいると、1階にあるコンビニに行くことすら億劫になるという話を聞いたんですね。私の性格上、家に閉じこもってしまうことを怖れました。そこで、私が住まいを選ぶときに大事にしているのは「機動力」だったことに気づいたんですね。
いまの住まいで満足している部分とそうじゃない部分をハッキリさせて、より満足するためにはどんな住まいだったらハッピーになれるのかを考えてみることをオススメします。
誰かのためじゃなく、自分ために住まいを決める
――なりたい自分になるために、少し背伸びすることってありますよね。住まい選びもそうあるべきでしょうか?
安藤 ちょっと背伸びをするくらいの生き方って、よくないですか?決して見栄を張るとかハッタリをかますとか、誰かのために住まいを選ぶわけではなく、なりたい自分になるための住まい選びをすることが大事なんだと思います。本当に「住んでみたい!」と思った場所や、憧れの人が住んでいる場所を選ぶのも、それが自分を変えることにつながるのならいいんじゃないでしょうか。
この記事を読んでくれた方が、自分を変えるために環境を変え、ポジティブな一歩を踏み出してもらえたら嬉しいですね。