スウェーデン流「丁寧な暮らし」の取り入れ方
スウェーデンには「lagom(ラーゴム)」と呼ばれる概念があります。「多すぎず少なすぎず、ちょうどよい」という意味で、物質主義や消費主義とは反対の、適度で節度あることをよしとする考え方です。
ラーゴムを目に見える形にするとどうなるでしょうか? 北欧の家具を思い浮かべてみてください。実用的で機能的だし、必要不可欠なものだけでできていて、無駄な飾りはありません。それに、心地よさ、タイムレスな魅力、万能さをとことん追求しています。
それでは、「ラーゴム」な家をつくるにはどうしたらよいでしょうか?それは、本当に必要なものだけを持つこと。ミニマリストになるのではなく、考え抜くこと。これから紹介する、シンプルで美しい、「ラーゴム」な魅力にあふれるインテリアをお手本にしてみましょう。
01.
足るを知る
ラーゴムの基本は満ち足りた気持ちです。いまあるものに幸福と満足を見いだし、自分の暮らしにはいま持っているもので十分だ、ちょうどいい、と思える心のありようです。
満ち足りていると、静かな自信が生まれます。ラーゴムなモノや空間には、煩わしさやこれみよがしなところがありません。一つひとつの要素に目的があり、ふさわしい場所に置かれています。だからこそ、おだやかで控えめだけれど、考え抜かれた空間になるのです。
02.
自然の光と新鮮な空気を取り入れる
ラーゴムなインテリアは明るく軽やかでムダがなく、それでいて温かみや居心地のよさがちゃんと感じられます。これはムダなものをなくしてすっきりさせているのに加え、自然光と外のフレッシュな空気をしっかりとりいれているおかげでもあります。
03.
サステイナブルな選択をする
「配慮した消費行動をとる」というとき、対象になるのは家具や生活雑貨だけではありません。衣服や食品、エネルギー消費などにもあてはまります。LED電球にする、資源をリサイクルする、食材は食べる分だけ適量を買う、環境への影響に配慮した家具を選ぶなど、ちょっとしたシンプルな変化を含め、暮らしのあらゆる面でサステイナブルな選択をしていくことなのです。
04.
ユーズド品を活用する
処分したり新品の家具を買ったりする代わりに、できるだけアップサイクルできないか、ユーズド品を調達できないか努めてみます。ユーズド品の多くは新品にはない歴史と味わいがありますし、サステイナブルな選択にもなります。
05.
収納を
「ものを隠す場所」にしない
本当に必要なものだけを手元に置くと決めれば、すっきり片づいた空間にできるはず。ただし本当に必要なものが何かは人によって違います。実用的なもの、機能的なもの、思い出や思い入れのあるもの、あるいは近藤麻理恵さんが『人生がときめく片づけの魔法』で提唱した「ときめく」ものなど、人それぞれです。
片付けが行き届いた空間をめざそう、となるとセットで出てくるのが、スマートな収納法を取り入れようという発想です。ただし、収納を「見えない場所にものを隠したり、あとでいるかもしれないものをとりあえずしまっておく場所」ととらえてはダメ。収納とは、家をつねに整頓された状態にし、使わない不要なものを持たないようにするための手段なのです。
06.
室内に緑を取り入れる
装飾的なオブジェやインテリア雑貨にお金をかけるのはやめて、室内に観葉植物を置いてみましょう。植物は空間に色彩と活力、生命力をもたらしてくれるほか、空気をきれいにし、さらには身体にもよい影響を与えてくれます。丈夫な多肉植物やハンギングできる植物、鉢植えのヤシ類を取り入れる、緑の壁を作るなど、選択肢はさまざまです。
07.
質の良いものにお金を使う
何かを購入するときは、質がよく長持ちするもの、多目的に使えるものを選びましょう。これを心がけると、必要なアイテムの数を抑えられますし、個々のアイテムを長く使えます。
よいものを選んで買うのはよい暮らしにつながるだけでなく、生産プロセスにとっても、環境のためにムダを減らすという点でもメリットがあります。長く使うことを前提にデザインされ製造されたものにお金を出し、大切に使う――そんな「スロー消費」への回帰といえるでしょう。
08.
節度ある暮らしを心がける
節度とは必要なものだけを持つことです。買う前に、それは本当に必要なものなのか、すでにあるものを機能面でも美しさの面でも引き立て、補ってくれるものなのか、考えてみましょう。
「ひとつ増やすならひとつ減らす」を原則にする方法もあります。何か新しいものを買ったり増やしたりするなら、いまあるものを手放したり寄付したりして減らすやりかたです。
09.
自分が心地よい
色を選ぶ
自分がハッピーな気分になれる色、いまもこの先も身近にあって飽きない色を選びます。トレンドや流行のスタイルに惑わされず、自分が心地よいと感じられて、家とライフスタイルにプラスに働きかける色がよいでしょう。
文:Rebecca Gross
翻訳:ハウズ日本版編集部
記事提供:Houzz(ハウズ)