【キャンディ界のラスボス現る】酸っぱさをレベル制にした「ゲームのようなキャンディ」が大ヒット。TikTokバズから5億円以上の資金調達に成功

舌が「ぴりっ」と痛くなるほど酸っぱいキャンディに、ついチャレンジしたくなる衝動。

『Final Boss Sour(ファイナルボスサワー)』という新興ブランドが、刺激的な体験でTikTokバズに。

2021年の創業から4年、シリーズ化した“酸味レベル”戦略とゲーミフィケーション的な演出が奏功し、資金調達第2フェーズとして400万ドルの資金調達に成功している。

ゲーム感覚で酸っぱさを楽しむ仕掛けが大ヒット。
「酸味のレベル制」で“味覚のゲーム”を創出

James Hicks氏らが2021年に立ち上げたこのブランドは、ドライフルーツに酸味成分を重ねる独自製法を採用。自然な酸味のあるクランベリーやマンゴーを“キャラ”として扱い、そこに酸性コーティングを施すことで“強化モード”へと変貌させている。

酸味の強度は3段階に分かれ、「レベル1」は初心者向け、「レベル3」はまさに“ラスボス”。これは「One Chip Challenge」や「Hot Ones」といった激辛系コンテンツに着想を得て、味覚を試す体験として設計されたもの。

また、パッケージは90年代のビデオゲームを思わせるピクセルアート、マスコットの造形には東欧のゲーム開発スタジオが関わるなど、統一されたビジュアル面も秀逸だ。

© CPG WIRE/X

TikTokからDTC強化へ、段階的な展開戦略

今回の資金調達では、GFR FundやMelitas Venturesなど6社が出資。得られた資金は、ラインナップ拡張やTikTokインフルエンサーとの連携、DTC(Direct-to-Consumer=直販)チャネルの拡充に活用される予定だ。

同ブランドは現時点で実店舗展開を見送っており、Amazonや自社サイトといったオンライン販売に集中している。

Hicks氏は「認知度をオンラインで築き上げた状態で小売へ進出する方が、より有利に立てる」と語る。商品同様、段階的に“レベルアップ”していく戦略が採用されているようだ。

また、人工香料や着色料を使用せず、果実の風味そのものを活かした設計がなされている点も特徴。、嗜好品としての満足度を保ちつつ健康志向を取り入れることに成功しており、現代人のニーズを上手く反映していると言えるだろう。

© Final Boss Sour/X

次のフードチャレンジは“酸っぱさ”か

2025年のSweets & Snack Expoでは、Nassau Candyが酸味ライン『Clever Candy』を発表し、酸味市場の拡張が進行している。他社も酸味をテーマに据えた商品開発を行っており、このカテゴリが注目領域として浮上した。

『Final Boss Sour』は、味覚を用いたゲーム体験とSNS映えの両立に成功したブランドだ。ストーリー性と参加性を伴うマーケティングモデルが、次世代の食品戦略としてどこまで展開されていくか。その動向に注目が集まっている。

Top image: © iStock.com / pialhovik
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