音楽を共有するリスニングパーティーがストリーミング時代の対案に
ストリーミングサービスによる音楽消費が主流となった現代において、「リスニングパーティー」というオフラインイベントが注目を集めている。
RosalíaやBillie Eilish、Frank Oceanといったアーティストから草の根の音楽コミュニティに至るまで、アルバムをじっくりと聴き、その体験を共有する場として急速に普及しているようだ。
音楽への没入と静寂の共有
Rosalíaがウィリアムズバーグの元銀行で行ったイベントは、プロモーションというより現代アートの儀式に近かったという。
スマートフォンは封印され、ほぼ完全な暗闇の中で音楽に集中する環境が作られた。ストリーミングによって手軽に音楽へアクセスできるようになった反面、深く関わることが難しくなった今、こうしたイベントは「静寂」と「没入」を提供し、アルバムというフォーマットの価値を再確認させる機会となっている。
参加したファンにとって、その場の空気を共有することは音楽そのものと同じくらい強力な体験だという。ある参加者は、全員が同じ楽曲に反応し、その後に感想を語り合うことで、アーティストや他のファンとのつながりが深まったと語っている。
Z世代が求めるアナログな体験と親密さ
リスニングパーティーは、ライブとインスタレーション、そしてコミュニティの儀式の中間に位置するものであり、Z世代が求める「アナログ」な体験への欲求とも合致しているようだ。パフォーマンスを見るだけでなく、その場に「存在する」ことが重視されている。
ロンドンの「Shai Space」のように、デジタル過多やアルコール中心のナイトライフへのアンチテーゼとして生まれたコミュニティも存在する。
そこでは映画館のような集中力で音楽を聴き、瞑想にも似た癒やしの時間を共有しているという。DJにとっても、クラブではプレイしにくい楽曲を紹介し、音楽的な文脈を伝える教育的な場として機能しているようだ。
アーティストとリスナーをつなぐ新たなプラットフォーム
アーティストにとっても、リスニングパーティーは実利的なメリットがある。ツアーコストが高騰する中、大規模なライブを行わずに音楽を適切な環境で届ける手段となるからだ。
また、アルバムの意図や背景を直接伝えることで、ストリーミングでは失われがちな物語性を補完する役割も果たしている。
音楽が単なるコンテンツとして消費されるのではなく、時間をかけて味わい、共有される体験へと回帰する。
リスニングパーティーは、音楽の価値を「バイラル性」から「存在感」へとシフトさせる新たな潮流と言えるかもしれない。






