電子音楽の新時代到来「TikTok」が切り開く未来の音楽シーン
スマートフォンで気軽に音楽を楽しむことが当たり前になった現代。毎日のように新しい楽曲が生まれ、リスナーのもとに届けられている。そんななか、新たな音楽トレンドの発信源として存在感を増しているのがショートムービープラットフォーム「TikTok」だ。「Social Media Today」の記事によると、TikTokは音楽業界への影響力をさらに強めるべく、アプリ内に「Electronic Music Hub」を開設した。
TikTokが生み出すグローバルヒットの法則
「Electronic Music Hub」は、電子音楽アーティストにさらなる活躍の場を提供し、TikTokユーザーの音楽への関心をさらに高めることを目的とした新たな試み。TikTokは、「#ElectronicMusicは、TikTokでもっとも人気のあるジャンルの1つ」と説明している。
実際に、TikTokをきっかけに世界的なヒット曲を飛ばしたアーティストは少なくない。アイルランド出身の女性アーティストJazzyの『Giving Me』は、TikTokでのバイラルをきっかけに、14年ぶりにアイルランドのチャートで首位を獲得。ケニアのアーティスト、Kenya Graceの『Strangers』も世界的なヒットとなり、Chase & Statusは『BACKBONE』で初の全英シングルチャート1位を獲得し、UKドラムンベースシーンの復活に貢献した。
TikTok上で電子音楽関連動画の投稿数は、前年比で70%増加。TikTokが2022年に発表した調査結果では、ユーザーの75%がTikTok動画を通じて新しいアーティストを発見しており、TikTokが音楽発見のプラットフォームとして機能していることがわかる。
TikTokが再燃させた音楽ジャンル
TikTokの影響力は、特定のジャンルに留まらない。近年では、AmapianoやDrum & BassといったジャンルもTikTokを通じて再び注目を集めている。TikTokは、「伝染性のあるエネルギー、グローバルな魅力、そしてコミュニティがそのジャンルを称賛する創造的な方法により、電子音楽はTikTokで成功を収めている」と分析。
TikTokユーザーは、単に音楽を共有するだけでなく、楽曲のリミックスやダンスチャレンジなどを通して新たなトレンドを生み出し、音楽を能動的に楽しむ様子が見られる。これは従来の受動的な音楽視聴体験とは一線を画す、TikTokならではの文化と言えるだろう。
音楽業界の勢力図は塗り替えられるのか?
TikTokが音楽業界に与える影響力は、今後ますます大きくなるだろう。いっぽう、Instagramも音楽関連機能を強化しており、音楽プロモーションにおけるプラットフォーム間の競争は激化している。
TikTokが新設した「Electronic Music Hub」は、アーティストとファンをつなぐ新たな場として、音楽業界の勢力図を塗り替える可能性を秘めている。近い将来、TikTok発の音楽チャートが主流になる日が来るかもしれない。
👀GenZ's Eye👀
ストリーミングサービスのプレイリストを漁り、新しい音楽を見つけるという行為は、もう一昔前のものになってきた。あまりにも情報量が多くなった現代では、TikTokやInstagramから音楽を見つけ出す方が有効となった証拠だろう。
そもそもテンポが早く疾走感のあるエレクトロニック・ミュージックは若者を中心に人気であったが、クラブカルチャーの中で消費されていた印象。その音楽が自己表現という武器を手にして、いよいよ世界中のZ世代の心を掴みに来ているということだろう。