TikTok発、音楽業界のニューウェーブによって進む「脱レコード会社」

スマホで聴くのが当たり前になった音楽。サブスクで星の数ほどある楽曲にアクセスできる一方で、アーティストの収入源や、既存の音楽業界構造への疑問の声もあがっている。 そんななか、インディーズアーティストにとって、新たな音楽活動の場として注目されているのが「TikTok」だ。彼らを突き動かすものとは何だろうか?

「TikTok直」という選択
インディーズアーティストの戦略

海外の音楽産業分析を行う「MIDiA Reseach」の最新音楽経済レポートによると、なんでもインディーズアーティストの4人に1人が、レコード会社や音楽配信サービスを介さず、TikTokに直接楽曲をアップロードしているという。

2023年に楽曲をリリースしたミュージシャンの約半数は、楽曲出版の経験が5年未満というデータも。近年のTikTokやYouTube Shortsといったショート動画プラットフォームの台頭は、従来型の音楽制作・配信プロセスとは異なる、より手軽な楽曲発表の場を多くの若い世代に提供したと言えるだろう。

バイラルヒットを生む
TikTokの「熱狂」

TikTokで楽曲が「バズる」ことは、単なる再生回数増加を超えた意味を持つ。アーティスト自身の知名度向上、ファンベース構築、さらには収益化の可能性という側面でも。 従来の音楽業界では、時間と費用を要するプロセスを経なければならなかったスターダムへの道のりも、TikTokにおいては、個性的で魅力的な楽曲さえあれば誰でも一夜にして“夢”をつかむ可能性を秘めている。

ファンとの距離、もっと近く
新しい音楽コミュニティの可能性

「今日のクリエイターは、自分とファンとの間に壁を作らないプラットフォームを求めている」と同レポートは分析する。 コメント欄やライブ配信機能など、TikTokはアーティストとファンがより密接に関われる機能が充実しており、従来の音楽ストリーミングサービスでは難しかった双方向のコミュニケーションや、より深い共感が生まれる場がそこにはある。

TikTokをきっかけに生まれるアーティストとファンによる新しい音楽コミュニティ。 それは、既存の音楽業界の勢力図を大きく塗り替え、よりフラットで開かれたものへと変化させていく可能性を秘めているのではないだろうか。現にあなたも、TikTokで生まれた音楽の波をもうすでに体感しているのでは?

「GenZ’s Eye」

暇なとき、時間を忘れてスワイプし、たまには気になるアカウントへ飛んでみる。そうやってTikTokが生活の一部になっている人だっているし、「あれ見た?」なんて会話は良く聞こえてくる。TikTok出身アーティストの「瑛人」や「imase」たちのことは普段から音楽を聞いていない人でも知っている。もっと言えば、これだけグローバルで多様な時代に、国内だけにターゲットを絞る必要なんてないだろうし。

ボクたち若い世代は、金銭的に余裕がなく効率重視な人が多い印象。それでも自分の部屋からスマホ一本で世界中に発信することができ、うまくいけば紅白出場、CMソング起用だって夢じゃない時代。そこに乗っからない手はないのかもしれない。

Top image: © tiktok music/iStock
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。