イングランドでロブスターを生きたまま茹でる調理が禁止へ、痛みを感じる“意識ある存在”として認められる
英国政府が掲げる動物福祉の改革案により、イングランドにおいてロブスターやカニを生きたまま茹でる調理法が、2030年までに禁止される見通しとなった。
この決定は、甲殻類や頭足類が痛みを感じる能力を持つ“意識ある存在”であるとの科学的知見に基づいているようだ。
動物福祉の法的保護を定める新たな基準と対象範囲
この歴史的な方針転換の根拠となったのが、2022年に制定された『Animal Welfare (Sentience) Act 2022』だ。
同法では、ロブスターやカニといった十脚目、さらにはタコやイカを含む頭足類が、感情や痛みを感じ取る主体として正式に定義されている。
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)による広範な調査は、これらの生物が人間と同様に苦痛を感じた際にコルチゾールを放出することや、洗練された感覚システムを備えている事実が証明された。
これまで不十分とされてきた科学的な論拠が示されたことで、法的な保護の対象へと引き上げられた形だ。
科学的知見に基づく人道的な殺傷手法への移行
調理現場において生きたまま茹でる手法が選ばれてきた背景には、死後の細菌増殖による食中毒のリスクを抑えるという目的が存在した。
しかし、沸騰した湯に入れられたロブスターが最大で2分間も激しく暴れ続けるといった観察結果は苦痛の深刻さを物語っており、今後は、熟練した技術者による即死処理や電気ショックを用いた殺傷など、より人道的な代替手法の採用が義務付けられる方向だ。
国際的な動物保護の動向と供給網の課題
生きたまま茹でる行為の禁止は、オーストリアやスイス、ニュージーランドなど、既に複数の国々で先行して実施されてきた。
今回のイングランドにおける措置は、調理法の規制を超え、捕獲から輸送、最終的な処理に至るまでの全工程において動物福祉の基準を見直す契機となるだろう。
英国政府は、輸送中の適切な保管や専門知識を持たない者への販売禁止についても今後検討を深める意向とのこと。






