駆除対象のニシキヘビが「植物の種」を運ぶ。フロリダで新発見

米国フロリダ州の湿地帯エバーグレーズを脅かすビルマニシキヘビ。在来の小型哺乳類を激減させた破壊者として知られますが、彼らが失われた自然の役割を意図せず肩代わりしている実態が明らかになりました。

獲物の胃袋を経由した
「種子の旅」へ

ビルマニシキヘビは完全な肉食動物で、自ら植物の実を口にすることはありません。

ところが、南西フロリダ環境保護協会などの共同研究により、駆除されたヘビの体内から計25種類もの植物の種子が見つかりました。学術誌『Journal of Zoology』に掲載された報告です。

種子が運ばれる仕組みは、実にユニークです。果実を食べた直後の鳥やアライグマなどの小型動物を、ヘビが丸呑みします。

獲物の胃袋にあった種子は、ヘビの消化器官を通り抜け、排泄物とともに別の場所へと運ばれます。研究者たちはこの現象を、二次的種子散布と呼んでいます。

約40%が生き残る消化管のタフさ

ヘビに呑み込まれた種子は、果たして無事に芽吹くことができるのでしょうか。研究チームが回収した種子で発芽実験を行ったところ、驚きの結果が出ました。

湿地に自生するサバルヤシの種子のうち、およそ40パーセントがヘビの強力な消化液に耐え、正常に発芽する力を保っていたのです。

本来なら、植物の種を運んでいたはずの哺乳類はニシキヘビに食べ尽くされ、激減してしまいました。

湿地の命をつなぐ運び手が消えた地で、皮肉にも捕食者自身が、新たな種まき役として機能していました。

単純な善悪では測れない生態系の姿

もちろん、この発見はニシキヘビを免罪するものではありません。

彼らは守るべき在来植物だけでなく、生態系を乱す侵略的外来植物の種子も同じように遠くへと運んでいるからです。

生態系を破壊する存在として駆除される生きものが、壊れた自然の機能を不本意に引き継ぎ、環境を塗り替えていく。

自然界は人間が描く単純な善悪の物語では割り切れません。失われた隙間を思いがけない形で埋め合わせながら、生態系は今日もダイナミックに姿を変え続けています。

Top image: © iStock.com / Yuliia Ivanenko
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