キャリアアップには、お金が必要!?モノよりも、経験にお金をかけるべき本当の理由
この記事をひと言で要約するならば、「正しいお金の使い道」。お金は使い方ひとつで価値が何倍にも膨らむものだと、ライターJill Pohl氏は、心理学者の研究を元に持論を展開。ポイントは、モノとして所有するよりも、経験にお金をかけること!
あなたは10代の頃、お小遣いを流行りのブランドの服以外のものに、どう使ったかを覚えていますか?例えば友達と映画を見に行ったり、高校時代の恋人とご飯に行くのに使ったり。もちろんそういう経験があるはず。そうしたことはどれも科学的には、人生において重要なことだそう。
10代のあなたは(もしくは20-30代でも)、親から「お金を貯めなさい」という助言を無視して、何かを企んだりしたことがあるはず。これが正解。お金は使うことで人生を素晴らしいものに変えてくれるから。
自己実現のために
お金は使うもの
人間は、お金でしか買えないものを得ることで、精神的にも身体的にも必要なものを補うことができるらしい。
アメリカの心理学者Abraham Maslow氏の「自己実現理論」では、人間の基礎的な欲求を5段階のピラミッド階層で表している。その階層の頂点にあるのが、自己実現の欲求であり、それは様々な方法で達成することができる。
氏の研究によると、自己実現の欲求に導く振る舞いとは、「安全地帯に留まるのではなく、新しいことに挑戦すること」であり、「子供のように夢中になって、いろんなことを体験すること」。一度も行ったことのない場所に旅行してみること以外に、子供のように冒険心を持って、何にでもトライすることが必要となる。
また、責任感を持ち、仕事に打ち込むことで自己実現の欲求を満たすこともできるけど、充実した生活を実現する過程には、どんどん外の世界に出て、視野を広げる必要がある。つまり、人生を生きるには、お金がかかるものなのだ。
お金を使うことは
キャリアにもつながる
結婚資金やマイホーム購入のために、もしくは老後のためにお金を節約することを想像してみて欲しい。ずっとお金を貯めることばかりに集中していたら、いつ自分らしさを発揮することができるだろうか?もっと勉強で上を目指すとか、旅行したり、新しい体験をしたり、習い事に通ってみたりするとか。
今こそお金を使う時!
子供ができたり、結婚したり、住宅ローンを払い始めたら、もう手遅れかもしれない。ヴァージニア大学の臨床心理学者Meg Jey氏の見解によれば、20代が最も自分というものを決定づける年代。『Forbes』誌のインタビューで彼女は20代の人々に向けて、こうアドバイスを送っている。
「普段、一緒に外出しないような人と外出してみること。そして、いつもなら断ってしまうようなイベントにも、積極的に参加するようにしてみましょう。脳は20代半ばまで、完全には成熟しないものです。特に、将来を計画する力や感情を抑制する部分は、日々の行動によっても変化を繰り返しています」
つまり、20代での経験は脳に記憶され、自分の考えや行動の仕方を変えるのなら20代が最適な時期だと言える。20代があなたというものを形成する時期なのであれば、自分の心と体に関わる大事なことを経験するべきだ。最も学問に注力し、将来のキャリアの可能性を広げる時でもあり、若いうちにいろんな世界を見て、他の文化を学ぶ時期でもある。若々しいスタイルが保てているうちにジムに励むのもいい。
そして、最もいいニュースはこれ。今、お金を何かしらに費やすことで、将来もっとお金が入ってきて貯金ができるということ。
米経済学者の調べによると、高卒以上の学位を持っている人は、高卒の人より平均17,500ドル(約217万円)多く稼ぐことができるそう。修士号を取れば、学士号を持つ人よりも年間で20〜30%多く稼げるという。
健康的な生活を送ることも、後々報われることになる。保険会社は、運動を定期的にしている人には、保険料を安くしてくれる場合もあるからだ。加えて、運動で健康維持ができれば、将来かかる医療費を軽減させることだって可能。経済学者で南カルフォルニア大学の教授でもあるRichard Easterlin氏の論文によると、健康面や学問にお金を費やすことで、幸せレベルを上げることに繋がるとも。
経験への対価として
支払うものがお金
つまり、お金を使うことで自己実現の欲求を達成することができ、長い目でお金を貯めることもでき、さらには、幸せに導いてくれる。ならば、私たちはもっとお金を使って使って、使いまくるべきなのでは?
だが、この朗報にはルールがある。お金は正しいものに使われた時しか、幸せを得ることができないということ。モノを所有するより経験にお金を使う方が幸せになれるとする学者もいる。モノに執着すると、人間は他人と比較したがる傾向にあり、そのことが後悔を招く結果につながるという見方だ。
こうした見解に対するEasterlin氏の逆説は、「比較することで収入が上がり、幸せと満足感を得られるという危うさを強調していることになる」と。
例えば、新しい車を買ったとしても、隣の住人の方がもっと高級車を買っていたら嫉妬が湧く。やがて自分の車に飽き飽きしてくる。といった具合。
カルフォルニア大学リバーサイド校の心理学教授Sonja Lyubomirsky氏によると、新しいものを購入した時の喜びは、手に入れた瞬間から、徐々に薄れていくものだと指摘する。特別感がなくなると、ただの現実の一部にすぎなくなる。という見解だ。
ただし、経験にお金を使っても、そのマジックが薄れることはない。何かを経験することにお金を使うことで思い出ができ、他人と価値あるコネクションを築き上げることだってできるからだ。
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