お金を貯めるよりも、経験に費やしたほうが「幸せになれる」理由

若いうちからお金を貯めるべき、という意見もあれば、若いうちは思い切りお金を使って人生を楽しむべき、という意見もある。最終的にどちらを選ぶかはあなた次第ですが、「Elite Daily」のJill Pohlさんが自身の経験をもとに語るのは、こう。

「お金は使うべきだけど、モノよりも、体験や経験を大事にすること」

とくに20代のみなさんに刺さるかもしれませんね。

一生懸命貯めたお小遣いで
洋服を買った10代

10代の頃の私には、貯金箱のお金を週に1回数える習慣がありました。ただ、本物の貯金箱ではなく、10ドルのお小遣いを机の引き出しに入れて、毎週どれくらい貯まったのかをチェックするというものでした。

ある日、私はひと握りの10ドル札を取り出し、90年代の若者が夢中になっていた3つのファッションブランド (ホリスター、アバクロンビー、アメリカン・イーグル) のうちの1つで、思いっきり買い物をしました。

では、10代の頃に身につけたこれらの「貯蓄と支出」の経験から、今の私に残っているものはなんでしょうか?

ホリスターで買った、今でも何とか着られるタンクトップと、数年前に開設したばかりの預金口座だけ。

「学生ローン」があるのに
スカイダイビング!

そこからだいたい10年が経って、自分がどれだけの学生ローンを抱えているかに気付いたとき、私は勝手気ままに過ごしていた10代の頃の自分を呪いました。

なぜ貯金しなかったのだろう、と。

なのに私は反省もせず、27歳の誕生日のお祝いで家族から現金をプレゼントしてもらったとき、学生ローンの返済には充てず、スカイダイビングに出掛けちゃったんです。ローンの負担を軽くしたい、とは思っていたんですが…。

でも10代の頃、お小遣いを貯めて行った友だちとの映画や、好きな人との食事、友人とのドライブはすごく記憶に残っているし、よく「お金は体験に費やすべき」っていう話は聞きますよね?

未知の「体験」に
お金を使ってほしい

「貯金をしなさい」 という周りの大人の忠告も大切かもしれませんが、それを振り切ったときこそ、大切な何かを得られるのかも。

お金を使うことが、あなたの人生を豊かにしてくれる可能性は十分にあります。あなたの生物学的・生理学的・感情的な欲求が満たされるなら、お金でしか買えない何かに充実感を求めてもいいでしょ?

マズローの欲求段階説では、人間の生活に不可欠な基本的欲求の5つの段階が紹介されていますが、この段階の頂点にあるのは「自己実現の欲求」。これを満たす方法は複数あって、エイブラハム・マズローの研究によると「自己実現に通じる行動」には、

「安全な道に留まる代わりに、新しいものに挑戦すること」
「まるで子どものように、最大限の吸収力と集中力をもって人生を体験すること」

が必要です。

まるで子どものように、安全な道から逸れる方法が貴重なのです。たとえば、訪れたことのない国への旅行費としてお金を使うこと。珍しい料理を出す新しいレストランを試すこと。

たしかに、努力を重ねることや、責任意識を持つなど、お金をかけずに自己実現の欲求を満たす方法もあります。でも、有意義な人生を生み出すプロセスには、積極的に外に出ていくことも必要です。そして、それには少なからずお金がかかります。

退職後のことや、マイホーム購入のために貯金をすること、年金や株投資のために資金を取っておくことも素晴らしいことだし、私だってそう思っています。

でも、貯蓄ばかりの人生の場合、人間としての可能性を引き出す物事には、いつ取り組めるでしょうか?たとえば、教養を高める習い事や、旅行をすること、新しい体験や、フィットネスのクラスに通うこと、などです。

20代で経験したことは
脳に深く刻まれる

今こそ、あなたはお金を使うべきなのです。子どもや生涯のパートナー、住宅ローンなどが始まってからでは、自由にお金は使えません。

ヴァージニア大学で臨床学の助教授を務めるメグ・ジェイによると、20代はとくに人生を決定づける10年間だと言います。。

あなたが20代に経験することは、脳の中で永久的に組み込まれます。つまり、あなたの思考を変える絶好のチャンスなのです。20代は、あなたの心や体にとって大きな意味のある物事に費やしてください。

キャリアの幅を広げ、世界を見て、他の文化を学んでみてください。

健康や教育へ
お金を使うことも大切

20代のうちにこれらの「体験」にお金を使うことで、将来的に収入が高くなり、貯金がしやすくなるという考えもあります。それは、学歴と収入の関係性を見れば明らかです。

また、健康的なライフスタイルを送ることも大事です。運動は予防医療にもなるし、何より将来かかるかもしれない高額な医療費を抑える可能性だってあります。

また、経済学者で南カリフォルニア大学の教授でもあるリチャード・イースタリンの発見によると、健康や教育にお金を費やすことは「幸福度の増加」にも繋がると言われています。

つまり、お金を使うことは、自己実現の欲求を満たし、将来的な貯蓄額をアップして、幸福度を高める、と私は思うんです。

でも、あなたが買おうとしているものが、新しいトースターや新品のリップスティックなら、今すぐAmazonのショッピングカートから削除するべきかもしれません。

なぜなら、ここまでの話には注意書きがあるから。

幸せを買えるのは、お金を「正しいもの」…つまりは「非物理的なもの」に費やした場合だけです。

「体験」に投資することは
不思議な力がある

コーネル大学の研究員によると、体験にお金を使うことは、物理的なモノを買うよりも、幸福度を高める傾向にあると言います。

なぜなら、人は購入したモノを、他人が所有するモノと比較して、後悔の念に駆られることが多いからです。イースタリンの幸福のパラドックスも、このような他人との比較が全般的な幸福度や収入への満足度に悪い影響を与える、とまとめています。

たとえば、自動車を購入した場合。ご近所さんがもっといい車を購入したらショックを受けるかもしれません。さらにあなたは、せっかく購入した車そのものにも飽きてしまうかもしれません。

カリフォルニア大学リバーサイド校の心理学教授であるソンジャ・ライウボマースキー博士によると、たとえば「新品の家具」のような新しいアイテムを持つことへの喜びは、アイテム自体が日常生活の一部になるにつれて、最終的には消え去ってしまいます。新しい何かに「特別性」がなくなると、それは日常生活の一部に変わってしまうのです。

一方で、体験にお金を費やすことには、不思議な力があります。これは、思い出を作り、他者との貴重な社会的「絆」を確立できます。

たとえば、友人や愛する人との旅行にお金を使った場合、あなたは何らかの感情的な報酬を得るでしょう。マッサージの予約に罪悪感を抱いたときや、ビーチ・バケーションのチケット購入を悔やんだとき、この話を思い出してください。後悔する必要はないのです。

お小遣いを友人との夜遊びに使ったとき、10代のあなたは大切な何かを得たはずです。私も過去に戻れるなら、アバクロンビーのTシャツを大量に買うことだけは避けようと思います。

Licensed material used with permission by Elite Daily
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