「焦っちゃダメ」。20代で結婚しなかった私だから言えること

女性ライターZara Barrieが、赤裸々に綴ったのは、自身の経験を元に書いた結婚観でした。めまぐるしい変化に追われながら30代になった彼女ならではの視点には、多くの反響があったようです。以下、記事を転載します。

ようやく終わった。ワイルドで淫らで、荒波のような時代が。私もいまや30代へと仲間入り。クレイジーに遊びまわっていた20代の自分を振り返ると、ずいぶんと丸くなったものだ。柔らかく、愛らしい自分を大事にできるようになったのだから。

断っておくと、私は自分の人生にドラマ性を要求するタイプの女である。このタイミングは、「人生総振り返り」を行う良いきっかけになった。考えることはもちろん、飲み明かすこともたくさんしてきたこの10年。ワインをテーブルに置いて、お酒が喉を伝っていく感覚に酔いしれながら、いつも同じ質問を自分に問いかけている。

「後悔したことはある?」

もちろんある。例えば、ヘアースタイルを直しようがないとんでもないボブにしてしまい1年間ほど地獄を味わったことや、ザナックスとスピードを混ぜてオーバードーズしそうになったときもある(両親には本当に悪かったと思ってる)。

でも、まったく後悔していないことだってある。例えば、狂ったように遊んでできたカラフルな思い出や、一時的にでも何かを勝ち取ったこと、フラれたことや、荷物を全部まとめて人生をやり直したこと、ひどいデート、ひどいセックス、ひどすぎる二日酔いーー。

そんな中で私が最も大事にしているのは、今まで出会っては別れてきた、美しく、皮肉で、素晴らしい人たちのこと。

女の子の焦り

この前、24歳くらいの子がこう言っていた。

「結婚相手はいま見つけないと、30歳になる前に結婚できないじゃない!誰だってそれまでには結婚しておきたいでしょ?」

彼女の言葉があまりにも衝撃的で、12ドルもしたコールドプレスジュースを吹き出しそうになってしまった。

(いま一体何時代!?1950年代じゃあるまいし!)。

このご時世、女性が自分の人生にデッドラインを引くだなんて、と頭の中で私は反論の声をあげていた。

ちなみに、私はあまりにも衝撃的な会話を聞くと、たとえ自分に関係無くとも何か発言しなければという衝動に駆られる。だから、つい口に出てしまった。

20代で結婚するなんてほんとアッタマ悪いわ!自分のことをまだ1ミリもわかっていないっていうのに。絶対やめなさい!」。

アドバイスには要注意

ここで警告。赤の他人の結婚観について意見はしないこと。もしその娘が髪を完璧にセットしているアメリカの女子学生クラブなんかに所属していようものならなおさらよ。アルファ、ベータ、なんちゃらかんちゃら…の彼女たちにおふざけなんて通用しない。

とくに、旦那を見つけようとしている娘には気をつけて。気がついたら殺人者の眼差しでこちら側を見ていた。あまりにも狂気的な視線だったから椅子から転げ落ちるかと思ったわ。

まるで、いじわるな女の子に追いつめられて、図書館に逃げ込み、隙を見てタクシーを捕まえアップタウンまで逃げるような、そんな気持ちにさせられた。私も人生まだ学ぶことがたくさんある。今後は思ったことをカンタンに口に出さないようにしたい(インターネットでもね)。

とにかく、マスカラを塗りたくったまつげをバシャバシャさせてる私の目に、ニューヨークの景色は目まぐるしく映りこむ。そこで、20代で結婚していたらどうなっていたんだろう?と、妄想を巡らせてみた。

20代で結婚?

幼い頃、私の母は30までに結婚するなんて罪だと言い放った。そうしたいのなら、縁を切ってもいいとまで言った。

「ザラ、もしあなたが20代で結婚したら、私が死ぬときにあなたへ渡すものは何もないと思いなさい。ちなみに私がしているカルティエのヴィンテージ腕時計を狙っているのはお見通しよ」。

とのこと。

当時まだ幼かった私は、王女さまの教育をしっかりと受けたい一心で「なんで!?」と聞き返した(時計が死ぬほど欲しかったのだ)。

「20代は自由でいないといけないの。20代なんて、自分がどんな人間かわかってもいないでしょ?それなのに人生のパートナーを見つけようとしてるの?バカ言わないで」。

彼女は正しい。私はいま、20代で結婚せずに良かったと思っている。根本的な部分はあまり変わっていないけれど、私が人生に求めるもの、夢、性的趣向は、過去10年間を通して常に変わっていったのだ。

自分の身に起きた
めまぐるしい変化

20歳のときに私が付き合った男の子は、バイクに乗ってデスメタルを聴く、心優しい男の子だった。同時に彼は敏腕シェフで、私に食べ物のありがたみを教えてくれた。

レストランに行ったら必ず「シェフのおすすめ」を頼むこと。そして、国を知りたいのなら食を知ること。このふたつは、彼から学んだことだ。食はアートだなんて言う代わりに、食べることが敵だという概念を覆してくれた。

そんな彼に惹かれながらも、21歳から22歳にかけて自分の性的な欲求は、女性でしか満たせないということに気がついた。そのときに、「あ!私はレズビアンなんだ!」と閃いたのだ。

うつ時代突入

それからしばらくはひとりで過ごした。照りつける太陽が毎日眩しいLAから、暗くてロマンチックなロンドンに移住した。出会いはあったけど、どれもイマイチ続かず、友達もそこまで出来なかったし、肩を貸してくれる家族もいなかった。

怖くて、暗い時期だったかと聞かれれば、そのとおり。うつの深みにハマってしまい、もう希望なんてないのではないかと思った。その不安にたったひとりで立ち向かったのだ。ぐちゃぐちゃになってしまった自分を救ってくれるピカピカの鎧を着たナイトは、ひとりたりとも現れなかった。

弱い自分を許す
そして、強くなる

そんな独り身の20代を過ごして得られたことは、自分を静められるようになったこと。自分を救えるのは自分だけということに気がついたのである。

うつになると、抜けるための近道はない。つらく、心を苦しめられる経験かもしれないけれど、その苦しみを全力で受け入れる力が必要になってくる。とにかく「自分」に重点を置くこと。私のように愛情深く、尽くしてしまうタイプは、誰かと一緒にいるとそれが難しくなってしまう。だからこそ孤独を選んだ。

20代後半にさしかかり、私は強い女性に変わっていった。フロリダに移り住み、シアターで働いた。映画に出たり、演劇をやったり、コマーシャルに出たり、と俳優の道を志した。そのあとNYに戻り、作家になった。恋に落ちた。そして、ハートが2回ほど粉々に砕け散った。

恋愛経験から得た宝物

お互いに自分をよく知るいい経験になったと思う。ただ自分を知るだけでなく、自分の価値を知った。受け入れられることやそうでないことが何なのか。どういう人と一生を過ごしたいのか。そういうものが明確に見えてきた。

相手が誰であれ、たとえ私の性欲を満たしてくれたとしても、新しい生き方を見せてくれたとしても、壁をぶち破ってくれたとしても、彼女たちなしにいまの私は語れない。

そして、私は何よりもいまの自分が好きなのだ。そう言える日が来るとは微塵にも思っていなかった。けど、これは現実。自分が大事に育てあげてきた関係ほど、強いものはない。結婚していたら、こういう出会いには一生お目にかかれなかったかもしれない。

30歳の女性が語る
居心地の良い人生

私はようやく30歳になった。ひとりでも全然大丈夫だ。結婚なんて、最高に美味しいケーキの上に塗りたくる、アイシングみたいなもの。

20代のとき、私は恋に落ちることが怖かった。傷ついて、嫌な思いをしてしまうと思っていたからだ。けれど、何度も何度も傷つけられてきて、それでいて未だにどうにか生きている。だから、また恋に落ちてもいいと思える。

きっと大丈夫。そう思うだけで愛に対する姿勢が変わってくるものだ。自分がその人に惹かれているからというまっとうな理由で、恋愛ができる。

安定のために誰かと一緒にいるのは、そもそも違う。虚しい気持ちを埋めるためだけに誰かと一緒にいるなんて、私はこの先一生しない。でもそれは、20代の頃にどちらも経験しているからこそ言えること。それに、いま私は安定を手にしているから、虚無感は自分で埋められる。

誰かと結婚するのは、その相手と一緒にいたいから。

締め切りが迫っているからじゃない。

何かを恐れているからじゃない。

寂しいからじゃない。

20代になんども心が破けて、めちゃくちゃになって、それでも自分ひとりで生き抜いてきたからこそ、いまこうして話ができる。ここは居心地がいい。だから、私はこのままでいいと思っているのだ。

Licensed material used with permission by Elite Daily
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