入ることさえ簡単にはできない、世界の「離島」3選

日本のみならず世界には沢山の離島が存在します。おもしろ地理学会が編集した『世界史からこぼれ落ちた離島伝説』には、謎と神秘に満ち溢れた世界の離島について驚きの話が掲載されています。

大陸と切り離された孤高の地でどんなことがあったのか…。学生時代に習うことのなかった離島の秘密が暴かれます。ここでは、世界に遺された「簡単に近づくことのできないコアな離島」に迫ります。

現代の恐竜
コモドドラゴンの秘密とは?
【コモド島】

コモド島は、インドネシア南部にある小スンダ列島の島のひとつ。島全体が世界遺産の国立公園なので、基本的にガイドなしでは入島できません。ビジターは手続きを済ませて、料金を支払い、初めて足を踏み入れることができるのです。そこまでして人間を遠ざけるのには理由があります。この島には現代の恐竜とも称される「コモドドラゴン」が生息しているからです。

コモドドラゴンは、およそ5,000年前に地球上に出現しました。過去には人間を襲った例もありますが、島民との付き合いは古く、早いうちから保護活動に努めてきました。

現在コモドドラゴンの推定生息数は、コモド諸島だけでおよそ6,000頭。乱獲などが原因で、頭数が激減しています。つまり、この島はコモドドラゴンを保護するためだけに国立公園に指定されている、と言っても過言ではありません。

南太平洋の無人島に
もたらされた奇跡
【ヘンダーソン島】

ヘンダーソン島は、南太平洋のポリネシア地域東端のピトケアン諸島にある無人島です。南太平洋にありながらイギリス領に属しています。少なくとも600年以上にわたってポリネシア人が住んでいた記録があるのですが、なんらかの理由によって島を出てしまい、今では無人島になってしまいました。

現在、この島に出入りできるのは、動植物の生態系を調査するレンジャーなど、限られた人間のみです。もちろん空路はなく、定期船も出ていないので、旅人は立ち寄ることすらできません。ここには4種の鳥と10種の植物をはじめとする、極めて珍しい固有の生物が息づいています。

その価値が評価され、1988年には丸ごと島が世界遺産に登録されているのです。

国家を自称する人工島
【シーランド公国】

イギリス南部からおよそ10㎞の、サフォーク沖に浮かぶ島・シーランド公国。総面積は約200㎡と、バスケットボールのコートほどの大きさです。この国を教科書で探しても見つけることはできません。なぜなら“自称”の独立国家だからです。

ここを「島」とカテゴライズするかも微妙なところですが、コンクリートでできた2本の支柱の上に、金属製の甲板が乗っているだけ。その外観からわかる通り、この島は人工島なのです。

そもそもは第2次世界大戦中にイギリス軍が築いた海上要塞の跡地で、戦後は不要となって捨てられていた場所でした。放棄された要塞がシーランド公国を名乗るようになったのは、1967年のこと。元イギリス軍少尉のロイ・ベイツが勝手に要塞を占拠し、独立を宣言したことから始まります。

現在はベイツの息子が跡を継ぎ、島の統治権を売りに出しています。そんなシーランド公国ですが、今のところ、国連に加盟する国々の中で、この島を独立国と認めている国はひとつもありません。


※上記内容はすべて、書籍刊行時点での情報です。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。