夏の暑さを保存して冬に利用するテクノロジーが、スイスで開発中

毎日、厳しい冷え込みが続く「冬」。でも「夏」はあんなに暑かったのだから、その熱が今あればいいのに…。誰もが一度は思うものです。四季があるのは素敵だけれど、過ごしやすい季節が恋しくなるときもあります。

そんなふうに「夏の熱」を冬まで保存するというテクノロジーが開発されつつあるので、ご紹介したいと思います。

水酸化ナトリウムを使って
熱エネルギーを保存

この技術を開発したのは、スイスにある研究機関「Empa」。仕組みそのものは、意外なほどシンプルだと言います。

水酸化ナトリウムは、水に溶けるときに激しく発熱します。これは水酸化ナトリウムを固体にとどめている化学エネルギーが、熱エネルギーとなって放出されるため。この反応を逆に利用すると、熱エネルギーを化学エネルギーとして蓄えることができ、水を加えるだけで熱を取り出すことができるのだとか。

新型パイプで
安定した熱の取り出しを可能に

これまでは、水酸化ナトリウムが大きな結晶になってしまい、思うように反応させることができませんでした。

そこで、パイプの周囲にらせん状のフィンを設け、そのフィンの間に水酸化ナトリウムを保存する手法を開発し、安定して熱を取り出すことができるようになったそうです。

タンクに入れて移動も可能
自然の熱をあらゆるところに

「Empa」によれば、水酸化ナトリウムは比較的安定しているため、暑い夏のうちに蓄えた熱を、タンクに入れて持ち運ぶことも可能だと言います。これまで保存することが困難だった熱エネルギーを化学エネルギーに変換することで「保存・移動」することを可能にした、とのこと。

現在は、将来的な実用化に向けてスポンサーやパートナーを募っているそう。もし実用化されれば、移動コストの問題はありますが、夏の熱を冬に利用出来るだけでなく、暑い地域の熱を寒い地域に運ぶといった使い方もできるかもしれません。エネルギー問題解決の一助になることが期待されています。

Licensed material used with permission by Empa
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